個人情報保護の観点から、事例報告における記載内容と記載方法の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
事例報告においては、個人が特定され得る情報は可能な限り匿名化する必要があります。年齢を「50歳代前半」のように幅を持たせた表現にすることは、具体的な生年月日や年齢を記載するよりも個人特定のリスクを大幅に低減し、個人情報保護の観点から適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者の氏名をイニシャルで表記することは、個人が特定されるリスクを高める可能性があります。同姓同名の人物がいた場合に混乱を招く上、他の情報と組み合わせることで容易に特定される危険性があります。正しくは:患者氏名は原則として記載せず、匿名化されたIDなどを使用するのが適切です。選びやすい理由:イニシャルなら個人が特定されにくいと感じるかもしれないが、完全な匿名化にはならない。混同注意:イニシャル表記が許容されるケースもあるが、事例報告ではより厳格な匿名化が求められる。
- 2. 生年月日は特定の個人を識別するための強力な情報です。たとえ日付の一部を伏せたとしても、年と月が特定されている場合、他の情報と組み合わせることで個人が特定される可能性が非常に高いです。正しくは:生年月日は記載せず、年齢のみを「50歳代」といった漠然とした表現にするか、あるいは記載自体を避けるべきです。選びやすい理由:日付を伏せることで匿名性が確保できると思われがち。混同注意:一部を伏せれば匿名化されるという誤解。
- 3. 正解。「50歳代前半」という表記は、特定の個人を直接的に識別する情報にはなりにくく、個人情報保護の観点から適切です。具体的な年齢ではなく、広い範囲で示すことで匿名性を確保しています。正しくは:この記載方法は適切です。
- 4. 現住所は、個人を特定する上で極めて重要な情報であり、詳細に記載することは個人情報保護に反します。たとえ一般的な地名であっても、番地まで含めると個人が容易に特定されてしまいます。正しくは:現住所は記載すべきではありません。地域を示す場合は、「関東地方」や「都内」など、極めて広い範囲に限定する必要があります。選びやすい理由:官公庁の所在地であるため、一見匿名性が高いように感じるかもしれない。混同注意:勤務先住所と患者の居住地との区別がつかなくなること。
- 5. 特定の職業と勤務先、さらには部署らしき数字まで記載することは、個人が特定されるリスクが非常に高い情報です。特に、厚生労働省のような特定の職場で、かつ特定の部署であれば、情報源によっては容易に個人が識別されかねません。正しくは:職業は「公務員」など一般的な表現に留め、勤務先の詳細な記載は避けるべきです。選びやすい理由:職業の情報を記載することは、症例の背景を理解する上で重要だと感じるため。混同注意:職業情報が症例理解に役立つという点で、詳細な記載が必要だと誤解すること。
国試ポイント
医療・介護分野における個人情報保護の重要性を理解し、事例報告などでの具体的な匿名化の方法について問われています。特に、どの情報が個人特定に繋がりやすいかを判断する能力が試されます。
混同注意
イニシャル表記や一部伏字など、不完全な匿名化と、完全に個人が特定できないような匿名化の区別が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、氏名、生年月日、住所、電話番号、職業、家族構成、病名、具体的な疾患の状態など、個人を特定し得る情報の具体的な匿名化方法(例:地名を都道府県までにする、疾患名を分類名にする、合併症のみ記載する、など)について詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
個人情報保護法、医療・介護情報に関するガイドライン、事例報告倫理、匿名加工情報の定義など。