65歳の女性。Parkinson病。Hoehn & Yahrの重症度分類ステージⅢ。屋内歩行は伝い歩きをしている。薬物コントロールができ次第、退院予定である。運動機能維持を目的とした作業療法で優先順位が低いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
パーキンソン病のHoehn & Yahrの重症度分類ステージⅢの患者は、姿勢反射障害が出現し、立位・歩行能力が低下しているものの、介助があれば歩行が可能な段階である。薬物調整により退院を目指す時期であり、伝い歩きで屋内移動している現状から、屋外での移動や転倒予防、バランス能力の向上を目的とした運動機能の維持・改善が優先される。一方、選択肢5の訓練は手指の巧緻性や細かい作業を対象としており、現状の患者の生活能力と直結した高次動作能力の改善よりも、基盤となる移動能力の改善が優先されるため、優先順位が低いと判断される。
選択肢ごとの解説
- 1. 介助下でのバスケットボールは、体幹の回旋運動やリーチ動作を促し、バランス能力の向上や協調性の改善に繋がり、移動能力の維持・向上に寄与するため優先順位は高い。選びやすい理由:介助があるため、患者にとって負荷が大きすぎると誤解する可能性がある。混同注意:介助レベルの判断基準。
- 2. 手すりを使った階段昇降訓練は、屋外移動や日常生活での段差昇降に必要な能力であり、下肢筋力やバランス能力の維持・向上に直結するため優先順位は高い。選びやすい理由:パーキンソン病患者は階段昇降が難しいとされているため、高負荷と誤解する可能性がある。混同注意:活動レベルと難易度の見極め。
- 3. 介助下での立ち上がり訓練は、着替えやトイレ動作など日常生活の基本動作に必要不可欠であり、伝い歩きをしている患者にとって重要なバランス能力や下肢筋力の強化に繋がるため優先順位は高い。選びやすい理由:上肢でのリーチ動作が含まれるため、過剰な負荷と誤解する可能性がある。混同注意:基本動作の重要性。
- 4. 介助下でのボールキャッチは、上肢と体幹の協調性や反応速度、予測能力を高め、バランス反応の改善に繋がり、転倒予防や移動能力の維持・向上に寄与するため優先順位は高い。選びやすい理由:遊びの要素が強く、リハビリ効果が低いと誤解する可能性がある。混同注意:レクリエーションと機能訓練の区別。
- 5. 正解。選択肢5は、座位での手指の巧緻性訓練であり、この患者の現状(Hoehn & YahrⅢ、屋内伝い歩き)では、より基本的な移動能力や転倒予防、バランス能力の向上に繋がる全身運動の優先順位が高い。手指の巧緻性も重要ではあるが、退院後の生活において優先すべきは移動能力の安定であるため、相対的に優先順位は低い。正しくは:この患者の現状では、移動能力や転倒予防に直結する運動(例:歩行訓練、バランス訓練、立ち上がり訓練)が優先されるべきである。選びやすい理由:パーキンソン病では手指の巧緻性も低下するため、これも重要なリハビリと考えるかもしれない。混同注意:症状の多岐性とリハビリの優先順位の判断。
国試ポイント
パーキンソン病のHoehn & Yahr重症度分類と、それぞれのステージに応じたリハビリテーションの優先順位を理解しているか。
混同注意
Hoehn & Yahrの重症度分類ステージと、それに伴うADLや運動能力の具体的な特徴の理解が不十分だと、どのリハビリが優先されるか判断を誤りやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の症例が出題された場合は、Hoehn & Yahrの重症度分類のステージと、現在の生活状況(屋内での伝い歩きなど)から患者の運動機能レベルを正確に把握し、そのレベルで最も必要とされる機能改善(例:移動能力、転倒予防)に繋がる訓練を優先的に選択する。
関連知識
Hoehn & Yahr分類の各ステージ(ステージⅠ:片側性、日常生活に支障なし、ステージⅡ:両側性、姿勢反射障害なし、ステージⅢ:姿勢反射障害あり、介助があれば歩行可能、ステージⅣ:重度の障害、歩行・立位にかなりの介助を要する、ステージⅤ:車椅子またはベッドでの生活)と、それぞれの段階でどのような動作が困難になるかを関連付けて覚える。また、パーキンソン病患者の転倒リスクが高いことを認識し、バランス訓練や歩行訓練の重要性を理解する。