50歳の男性。糖尿病。1か月前からインスリンによる治療が開始されている。空腹時血糖150 mg/dL、HbA1cは7.5 %であった。これまでに低血糖症状は認めていない。血糖コントロールの改善に向けた運動療法、生活指導で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
糖尿病の運動療法ガイドラインにおいて、有酸素運動は『中強度で週に合計150分以上』行うことが推奨されています。選択肢5の「週に合計60分」では推奨量に満たず、血糖コントロールの改善には不十分であるため、不適切な指導となります。その他の選択肢は、糖尿病患者の運動療法や生活習慣改善において一般的に推奨される内容です。
選択肢ごとの解説
- 1. これは適切な指導です。歩数計は運動量を客観的に把握し、運動習慣を促進するのに有効です。正しくは:この指導は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:一般的な健康増進策であり、糖尿病患者にも推奨されるため、誤りとは考えにくいです。混同注意:具体的な運動内容ではないため、指導として不十分だと誤解する可能性がありますが、行動変容を促す良いツールです。
- 2. これは適切な指導です。食後の運動は、食後高血糖を抑制する効果があり、低血糖のリスクも比較的低いとされています。食後30分~1時間後が推奨されることが多いです。正しくは:この指導は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:具体的な時間指定があるため、他の選択肢と比較して不安を感じるかもしれませんが、医学的に推奨されるタイミングです。混同注意:運動のタイミングについて、食直前や食前を思い浮かべるかもしれませんが、糖尿病患者の血糖コントロールには食後が効果的です。
- 3. これは適切な指導です。日常生活における身体活動量を増やすことは、血糖コントロール改善に繋がります。階段の利用はその手軽な方法の一つです。正しくは:この指導は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:これも一般的な健康増進策であり、糖尿病患者の生活習慣改善に役立つため、誤りとは考えにくいです。混同注意:運動療法というと「スポーツ」をイメージしがちですが、生活活動量の増加も重要な運動療法の一環です。
- 4. これは適切な指導です。糖尿病患者にとって、レジスタンス運動は筋力を向上させ、インスリン感受性を改善する効果があります。特に低強度から始めることは安全性を確保する上で重要です。正しくは:この指導は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:レジスタンス運動のイメージから高強度な運動を連想しがちですが、低強度から始めることは安全で推奨されます。混同注意:有酸素運動とレジスタンス運動のどちらか一方しか推奨されないと誤解することがありますが、両方を組み合わせることが効果的です。
- 5. 正解。糖尿病の運動療法において、有酸素運動の推奨される総時間は「週に合計150分以上(中強度)」とされています。1週間で合計60分では推奨量に満たず、血糖コントロールの改善には不十分であるため、この指導は不適切です。正しくは:「1週間で合計150分以上の有酸素運動を行う」と修正するのが適切です。選びやすい理由:運動を全くしないよりは良いと考えるかもしれませんが、糖尿病治療における運動療法のガイドラインでは明確な推奨量があり、この量では不足します。混同注意:運動の推奨量は疾患や目的によって異なるため、糖尿病における具体的な推奨時間を覚えていないと誤って選んでしまう可能性があります。
国試ポイント
糖尿病患者に対する運動療法の具体的な内容(種類、強度、頻度、時間)と、その一般的な推奨基準について問われています。特に、運動量の具体的な数値が正確に理解できているかがポイントです。
混同注意
糖尿病患者の運動療法における「量(時間、頻度)」に関する数値基準が曖昧だと誤答しやすい。有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせや、運動のタイミングなども混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出た場合、糖尿病患者の運動療法ガイドラインにおける有酸素運動・レジスタンス運動それぞれの具体的な推奨量(時間、回数、セット数など)や、運動を行う上での禁忌・注意点(例えば、血糖値が極端に高い・低い場合、増殖性網膜症がある場合など)に注目して判断する。
関連知識
糖尿病の運動療法の原則(運動の種類、強度、時間、頻度、タイミング)、運動による合併症の注意点(低血糖、眼底出血など)、運動処方の実際、身体活動量の増加の重要性。