作業療法中に「脳が溶けて流れ出す」と辛そうに訴える患者の症状として考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
体感幻覚は、身体の内部に異常な感覚が生じていると感じる幻覚であり、具体的には「内臓が動く」「血液が逆流する」「脳が溶ける」といった、現実にはありえない身体内部の変化を知覚するものです。設問の「脳が溶けて流れ出す」という訴えは、まさにこの体感幻覚の典型的な例に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. 作為体験は、自分の行動や思考が他者に操られていると感じる体験です。本事例では、『脳が溶けて流れ出す』という身体内部の異常感覚を訴えており、外部からの操作感はありません。正しくは:作為体験は「誰かに自分の体を動かされている」「自分の考えが操られている」など、自分の意思によらない行動や思考を他者に支配されていると感じるものです。選びやすい理由:精神病症状の一つであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:思考吹聴、思考奪取、思考挿入などの思考の異常と混同しやすいです。
- 2. 被害妄想は、他者から危害を加えられている、嫌がらせをされているといった非現実的な確信です。本事例は身体内部の異常な感覚を訴えており、他者からの被害という内容ではありません。正しくは:被害妄想は「誰かに命を狙われている」「常に監視されている」といった、周囲の人物が自分に悪意を持っていると強く思い込む状態です。選びやすい理由:精神病症状の一つであり、患者の苦痛を伴う訴えであるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:関係妄想、注察妄想、追跡妄想など、妄想の種類と混同しやすいです。
- 3. 思考奪取は、自分の考えていることが他者に抜き取られてしまう、消されてしまうと感じる体験です。本事例は身体の感覚に関する訴えであり、思考内容の異常ではありません。正しくは:思考奪取は「自分の考えていることが誰かに盗まれてしまった」「頭の中から考えが消えてしまった」といった、思考が失われる感覚を伴います。選びやすい理由:精神病症状として有名な症状の一つであるため、選びやすいかもしれません。混同注意:思考吹聴、思考挿入など、思考の異常体験と混同しやすいです。
- 4. 正解。体感幻覚とは、自分の身体内部で異常な感覚が生じていると感じる幻覚です。設問の「脳が溶けて流れ出す」という訴えは、脳という身体内部器官に異常な感覚が生じているという体験であり、体感幻覚に該当します。正しくは:体感幻覚は「内臓が動く」「虫が体内を這い回る」「電気が流れる」など、身体の深部に異常な感覚を覚えるものです。
- 5. 連合弛緩は、思考の連結が緩み、話の筋道が通らなくなる思考障害の一種です。本事例は思考内容ではなく、身体の異常な感覚に関する訴えであるため、異なります。正しくは:連合弛緩は、話の内容が次々と脱線したり、関連性の薄い言葉が唐突に出てきたりするなど、思考のまとまりが失われる状態を指します。選びやすい理由:精神病症状の一つであり、話のまとまりのなさを連想させるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:思考途絶、思考奔逸、滅裂思考など、思考障害の他の症状と混同しやすいです。
国試ポイント
精神科領域の国家試験では、幻覚や妄想といった精神病理学の基本的な症状について、その定義と具体的な症例を結びつけて理解しているかが問われます。特に、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体感など様々な幻覚の種類や、妄想の種類を正確に把握しておく必要があります。
混同注意
幻覚には様々な種類(幻視、幻聴、幻臭、幻味、体感幻覚)があり、それぞれ特徴的な訴えがあります。また、妄想(被害妄想、関係妄想、注察妄想など)や思考障害(思考奪取、思考吹聴、連合弛緩など)といった他の精神症状との区別も重要です。似たような精神病症状であるため、それぞれの定義と具体例を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、幻覚の各種類(幻視、幻聴、幻臭、幻味、体感幻覚、運動幻覚など)の定義と具体的な事例、さらに妄想の各種類(被害妄想、関係妄想、注察妄想、誇大妄想、罪業妄想、心気妄想など)の定義と具体例を区別できるかを確認します。
関連知識
幻覚とは、対象がないのに感覚が生じる知覚の異常です。妄想は、訂正不能な誤った確信です。精神科リハビリテーションでは、これらの症状を理解し、患者さんの体験を尊重しながら支援を進めることが重要です。