統合失調症の患者が「不気味な何かが起こりそうだ」と不安緊迫感を訴えた。この症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
妄想気分は、統合失調症の初期段階や急性期に見られることが多く、患者は世界全体が奇妙で不気味に感じられ、何かが起こりそうな漠然とした不安や緊張感を抱きます。まだ具体的な妄想内容が形成されていない段階の、前駆的な異常体験と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 考想伝播は、自分の考えていることが他者に伝わっている、または盗まれていると感じる現象です。正しくは:自分の考えが他人に筒抜けになっている、あるいは外部に漏れていると感じる。選びやすい理由:統合失調症の代表的な思考の異常であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:思考奪取、思考挿入といった思考内容の障害と混同しやすいです。
- 2. 作為体験は、自分の行動や感情、思考が、自分の意思とは関係なく他者や外部の力によって操られていると感じる現象です。正しくは:自分の体や思考が、誰かに操られているように感じる。選びやすい理由:統合失調症によく見られる自我意識の障害の一つであるため、これも関連症状として認識されやすいです。混同注意:思考奪取や被影響妄想などと関連しますが、主体性の喪失に焦点を当てたものです。
- 3. 正解。妄想気分とは、具体的な内容はないものの、漠然とした不安、不気味さ、何か異常なことが起こりそうだと感じ、世界全体が奇妙で意味深長に感じられる状態を指します。設問の「不気味な何かが起こりそうだ」という訴えは、まさにこの妄想気分に該当します。
- 4. 妄想知覚は、ごく普通の知覚対象(例:電話が鳴る、人が歩いている)に対して、異常な意味付けや関連付けを行い、そこに妄想的な確信を抱く現象です。正しくは:目の前のありふれた出来事(例:誰かが咳をした)に、特別な意味や予兆を感じてしまう。選びやすい理由:「不気味な何か」という部分から、知覚に関連する症状ではないかと推測しやすいかもしれません。混同注意:知覚の異常(幻覚など)や、具体的な出来事から妄想が形成される過程と混同しやすいです。妄想知覚はまず知覚があり、その知覚に意味付けがなされますが、妄想気分は知覚以前の漠然とした感覚です。
- 5. 連合弛緩は、思考の流れが緩み、言葉のつながりが不明瞭になったり、脈絡のない発言が多くなったりする、思考形式の障害です。正しくは:話の内容に一貫性がなく、次々と話題が飛んだり、論理的なつながりが失われたりする。選びやすい理由:これも統合失調症に特徴的な思考の障害ですが、患者の訴えの内容とは直接関連しません。混同注意:思考奔逸や観念奔逸(躁病に多い)と異なり、思考の連鎖自体がバラバラになるものです。
国試ポイント
統合失調症の基本的な精神症状、特に妄想の形成過程における初期の異常体験(前妄想状態)に関する知識が問われています。具体的な妄想内容が提示される前の、漠然とした不気味さや不安感を表す用語を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
妄想気分と妄想知覚、あるいはその他の思考障害(考想伝播、作為体験など)との区別が曖昧な場合、誤答しやすいです。妄想気分は具体的な内容がない漠然とした異常感覚であるのに対し、妄想知覚は具体的な知覚対象に異常な意味付けをする点、考想伝播や作為体験は自我障害の一種である点に違いがあります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、具体的な妄想内容が提示された際に、それがどのような種類の妄想(被害妄想、関係妄想、注察妄想など)に当たるか、またその他の思考障害(思考途絶、思考奪取など)や自我障害(離人症、非現実感など)との区別ができるかが問われるでしょう。
関連知識
統合失調症の症状は、陽性症状(幻覚、妄想、思考の障害)、陰性症状(意欲・感情の減退)、認知機能障害などに分類されます。妄想気分は妄想の初期段階の症状であり、その後、妄想知覚を経て、具体的で組織化された妄想(被害妄想、関係妄想など)へと発展することがあります。クループ病理学における妄想の発生機序の理解も関連します。