心臓の刺激伝導系で正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
洞房結節で発生した電気的興奮は、心房筋を伝播した後、房室結節に到達し、そこからHis束へと伝わります。この順序から、房室結節の興奮はHis束より先に生じることが分かります。また、心臓の刺激伝導系を構成する細胞、特に洞房結節や房室結節の細胞は、外部からの神経刺激がなくても自律的に活動電位を発生させる「自動能」という特性を持っています。
選択肢ごとの解説
- 1. 洞房結節は右心房の上大静脈開口部付近に位置しており、心室中隔には存在しません。心室中隔には房室束(His束)の脚が走行します。正しくは:洞房結節は右心房の上大静脈開口部付近に位置する。選びやすい理由:心臓の主要な刺激源であるため、心臓の中央部分(心室中隔)にあると誤解しやすいかもしれません。混同注意:房室結節やHis束が心室に近い位置にあるため、それらと混同する可能性があります。
- 2. 房室結節の伝導速度は刺激伝導系の中で最も遅く、心房から心室への興奮伝播を意図的に遅らせる役割(房室伝導遅延)があります。これは、心房収縮後に心室が十分に血液で満たされる時間を確保するためです。His束は房室結節に比べると伝導速度が速いです。正しくは:房室結節での刺激伝導速度はHis束よりも遅い。選びやすい理由:刺激伝導系全体が速い伝導を担うというイメージから、房室結節も速いと誤解する可能性があります。混同注意:Purkinje線維などの非常に速い伝導部位と混同したり、心臓のポンプ機能の効率性から全ての伝導が速いと錯覚したりするかもしれません。
- 3. 正解。心臓の電気的興奮は洞房結節で始まり、心房筋を伝わって房室結節に到達します。房室結節を通過した後に初めてHis束へと伝播するため、興奮の発生順序は洞房結節→心房筋→房室結節→His束となります。したがって、房室結節の興奮はHis束より先に起こります。
- 4. 正解。洞房結節をはじめとする刺激伝導系の特定の細胞(特に洞房結節や房室結節)は、安定した静止膜電位を持たず、膜電位が徐々に脱分極していくペースメーカー電位(緩徐脱分極)によって、外部からの刺激なしに自律的に活動電位を発生させる能力を持っています。これを「自動能」と呼びます。
- 5. Purkinje線維の活動電位は、心室筋と同様にプラトー相が長く、持続時間も非常に長いです(約300ms)。一方、洞房結節の活動電位はプラトー相が短く、持続時間はPurkinje線維よりも短い(約100ms)です。洞房結節は発火頻度が最も高いですが、個々の活動電位の持続時間は短いです。正しくは:洞房結節の活動電位持続時間は、Purkinje線維の活動電位持続時間よりも短い。選びやすい理由:洞房結節が心臓のペースメーカーであり、最も活動が活発であるというイメージから、「活動時間が長い」と誤解する可能性があります。混同注意:活動電位の「発生頻度(速さ)」と「個々の活動電位の持続時間」を混同しやすいです。洞房結節は最も頻繁に活動電位を発生しますが、その持続時間は短いです。
国試ポイント
心臓の刺激伝導系の解剖学的な配置、興奮伝播の経路と時間的順序、そして各部位が持つ生理学的特性(自動能、伝導速度、活動電位の波形)を正確に理解しているかが問われる問題です。各部位の名称と機能を結びつけて覚えることが重要となります。
混同注意
刺激伝導系の各部位の解剖学的名称と機能(特に自動能の有無、伝導速度の速い遅い、活動電位持続時間の長短)が混同されやすい点に注意が必要です。特に、洞房結節がペースメーカーであることと、活動電位の持続時間の長さは直接的な関係ではないため、混同しないように理解することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出題される場合は、刺激伝導系の各部位における活動電位の具体的な波形の特徴(プラトー相の有無やその長さ、最大拡張期電位など)、あるいはイオンチャネル(Na+チャネル、K+チャネル、Ca2+チャネルなど)が活動電位のどの相に関与しているかを詳細に問われる可能性があります。また、心電図の異常波形が刺激伝導系のどの部位の機能不全を示唆するかといった臨床応用的な問題も想定されます。
関連知識
心臓の基本的な解剖学(心房、心室、中隔の位置関係)、心電図の基礎知識(P波、QRS波、T波が刺激伝導系のどの活動を反映しているか)、細胞のイオンチャネルと活動電位発生メカニズム(特にペースメーカー電位と緩徐脱分極)について学習しておくことが、この問題の理解を深めます。