75歳の男性。糖尿病でインスリン療法中。胸部不快感で受診した。半年前と今回の心電図(別冊No. 2)を別に示す。今回発症したと考えられる病態はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
半年前の心電図と比較して、今回の心電図ではQ波の増大とST上昇が認められます。これは冠動脈が閉塞し、心筋が不可逆的な壊死を起こしている心筋梗塞に特徴的な所見です。特に胸の不快感を訴えている75歳糖尿病患者であることから、心筋梗塞が最も考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 狭心症では通常、ST上昇ではなくST低下が認められるか、発作時のみの一過性変化にとどまります。異常Q波は出現しません。正しくは:狭心症の心電図所見はST低下またはT波の平坦化・陰転化が特徴です。選びやすい理由:胸の不快感という症状は狭心症と共通するため。混同注意:心筋梗塞(ST上昇・異常Q波)
- 2. 正解。今回の心電図では、半年前の心電図と比較して明らかなQ波の増大(異常Q波)とST上昇が認められます。これは急性心筋梗塞の典型的な心電図所見であり、患者の胸部不快感という症状と合わせて、新たに心筋梗塞が生じたと判断されます。選びやすい理由:胸部不快感は心筋虚血を示唆する症状であり、心電図変化がそれと合致するため。混同注意:急性冠症候群の他の病態(不安定狭心症など)
- 3. 心房細動はP波の消失とR-R間隔の不整が特徴ですが、今回の心電図ではP波は確認でき、R-R間隔も比較的整であるため、心房細動の所見はありません。正しくは:心房細動の心電図所見は、P波の消失と基線の不規則な微細なf波、およびR-R間隔の絶対的不整です。選びやすい理由:高齢者で糖尿病を患っているため、不整脈を合併しやすいという漠然とした知識から。混同注意:その他の不整脈(心房粗動、上室性期外収縮など)
- 4. 房室ブロックではP波とQRS波の関連に異常が見られますが、今回の心電図ではP波に続いてQRS波が規則的に出現しており、PR間隔もほぼ一定で延長も認められません。よって房室ブロックの所見はありません。正しくは:房室ブロックの心電図所見は、P波とQRS波の伝導遅延または途絶です。選びやすい理由:高齢者で虚血性心疾患の可能性があるため、伝導障害が合併する可能性を考慮してしまう。混同注意:脚ブロック、洞不全症候群
- 5. 心室性期外収縮はQRS波が早期に出現し、幅が広く変形した形をしていますが、今回の心電図ではそのような所見は認められません。全般的に洞調律が保たれています。正しくは:心室性期外収縮の心電図所見は、P波に先行しない幅の広い変形したQRS波の早期出現です。選びやすい理由:不整脈の一つとして可能性を考慮するため。混同注意:上室性期外収縮、心室頻拍
国試ポイント
心電図から心筋梗塞の所見(異常Q波、ST上昇)を正確に読み取れるか。
混同注意
心筋梗塞と狭心症の心電図変化は混同しやすいが、狭心症はST低下が主で異常Q波は出現しない。
次に同じ論点が出たら
心電図における異常Q波、ST上昇の有無と、患者の症状・既往歴(糖尿病、胸部症状)を総合して判断します。
関連知識
心筋梗塞の合併症(心破裂、心室瘤、乳頭筋機能不全など)、糖尿病患者では非典型的な症状で心筋梗塞を発症することがある(無痛性心筋梗塞)。