心筋について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心筋は骨格筋と比較して、受動的な伸展に対する抵抗が大きく、静止時(拡張期)にも比較的高い張力を保持しています。これは、心臓が血液を充満させる際に伸展されることに抵抗し、効率的な収縮を準備するため、また、心臓が急激な過負荷に陥らないように保護するメカニズムの一部と考えられます。骨格筋は通常、静止時にはほとんど張力を持ちません。
選択肢ごとの解説
- 1. 心筋は、骨格筋と同様に横紋構造を持つ横紋筋の一種であり、自律神経によって不随意的に動くという点で平滑筋と共通点がありますが、筋組織の分類としては異なります。平滑筋は消化管や血管壁などに存在し、横紋を持ちません。正しくは:心筋は、骨格筋と同じく横紋筋の一種です。選びやすい理由:不随意筋であるという点で平滑筋と共通するため、混同しやすいかもしれません。混同注意:不随意筋という機能的分類と、横紋筋・平滑筋という形態的・組織学的分類を混同している可能性があります。
- 2. 心筋は心臓のポンプ機能を維持するために、テタニー収縮(強縮)を起こさず、興奮した後に比較的長い不応期を持ちます。これにより、次の収縮が起こる前に完全に弛緩する時間が確保され、規則的な拍動が可能です。ただし、単収縮そのものが生じないわけではありません。心筋細胞一つ一つは単収縮を起こし、それが連続して心臓全体の拍動となります。ここでいう単収縮は、個々の細胞や筋線維レベルでの一度の収縮反応を指します。国試で問われる文脈では「テタニー収縮を起こさない」が重要視されます。正しくは:心筋はテタニー収縮を起こしません。選びやすい理由:心筋がテタニー収縮を起こさない、という知識と混同し、単収縮自体も起こらないと誤解しやすいかもしれません。混同注意:単収縮とテタニー収縮(強縮)の概念を混同している可能性があります。
- 3. 心筋細胞間にはギャップ結合(ネクサス結合、間隙結合)が豊富に存在します。これにより電気的興奮が隣接する心筋細胞へ速やかに伝わり、心臓全体が同期して収縮することが可能となります。ギャップ結合は、細胞間の情報伝達や物質輸送にも重要な役割を果たします。正しくは:心筋にはギャップ結合が豊富に見られます。選びやすい理由:細胞間の結合について漠然とした知識しか持っていないと、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:デスモソームなど他の細胞結合と機能や役割を混同している可能性があります。
- 4. 正解。心筋は、心臓が血液を全身に送り出すポンプとして常に働くため、拡張期にもある程度の張力(静止張力または前負荷)を保持しています。これは心臓が血液で満たされることによる伸展に抵抗し、効率的な収縮を準備するためです。骨格筋に比べて心筋は伸展性が低く、わずかな伸展でも大きな張力を発生します。そのため、同じように伸展された状態であれば、骨格筋よりも高い静止張力を持つとされています。正しくは:この記述は正しい。選びやすい理由:一見すると心筋は収縮していない時も張力が高いというイメージが湧きにくいかもしれませんが、心臓のポンプ機能を考えると理解できます。混同注意:活動時の張力と静止時の張力を混同したり、筋肉の種類による特性の違いを理解していないと誤る可能性があります。
- 5. 骨格筋の活動電位持続時間が数ミリ秒であるのに対し、心筋の活動電位はプラトー期があるため、約200-400ミリ秒と非常に長く持続します。この長い活動電位持続時間とそれに伴う不応期が、心筋がテタニー収縮を起こさず、律動的なポンプ機能を発揮するために不可欠です。正しくは:活動電位の持続時間は約200~400ミリ秒(msec)程度と長いです。選びやすい理由:骨格筋の活動電位の持続時間と混同しやすいです。混同注意:骨格筋と心筋の活動電位の波形や持続時間の違いを混同している可能性があります。
国試ポイント
心筋と骨格筋の生理学的特性の比較、特に活動電位の持続時間、収縮様式、細胞間結合、そして静止張力に関する知識が問われています。心筋の特性が心臓のポンプ機能にどのように関連しているかを理解しているかが重要です。
混同注意
心筋と骨格筋、または心筋と平滑筋の生理学的特性(特に活動電位の持続時間、不応期、収縮様式、細胞間結合、静止張力)の違い。
次に同じ論点が出たら
心筋の生理学について問われた場合、活動電位の波形と持続時間、それに伴う不応期の長さ、テタニー収縮の有無、細胞間の電気的結合の有無とその重要性、静止張力の特性、そして心臓のポンプ機能との関連性を多角的に確認する。
関連知識
心筋の活動電位のプラトー期、心電図のPQRST波と心筋活動電位の関係、心臓のポンプ機能における拡張期と収縮期の役割、フランク・スターリングの法則、ギャップ結合の構造と機能。