急性期後期のうつ病患者に対する作業療法導入期の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
うつ病の急性期後期の作業療法導入期では、患者が成功体験を積み、自己肯定感を高められるような配慮が必要です。未経験の作業は、過去の失敗体験に引きずられることなく、新たな興味や達成感を得やすい環境を提供します。また、うつ病の回復には十分な休養が不可欠であり、作業療法を進める上でも無理なく進めるための前提として、休養の重要性を伝えることは患者の安心感に繋がり、治療への主体的な参加を促します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。うつ病患者、特に急性期後期の導入期では、過去の失敗体験が自己肯定感を低下させることが多いため、未経験の作業は成功体験を得やすく、自己効力感を高めるのに役立ちます。また、新しい興味の発見にも繋がります。
- 2. うつ病患者は集中力や思考力の低下が見られることが多いため、複雑な作業は負担が大きく、失敗体験に繋がりやすいです。正しくは:作業工程が単純で、短時間で達成感を得られる作業を選ぶべきです。選びやすい理由:達成感を得るには複雑な作業をやり遂げることが重要だと誤解する可能性がありますが、導入期には段階的な成功体験がより重要です。混同注意:患者の能力を過大評価したり、導入期の目標設定を誤解したりする可能性があります。
- 3. うつ病患者にとって、「頑張って」という言葉は、すでに頑張っているのに結果が出ない自分を責めたり、プレッシャーを感じさせたりする原因となることがあります。患者の状態によっては負担になります。正しくは:患者のペースを尊重し、具体的な行動や小さな成果を認めたり、共感的な声かけをしたりすることが適切です。選びやすい理由:良かれと思って励ましの言葉をかけたくなるのは自然な感情ですが、うつ病患者の精神状態を理解していないと逆効果になることがあります。混同注意:一般的なポジティブな声かけと、うつ病患者に対する配慮ある声かけの区別ができていない可能性があります。
- 4. 正解。うつ病患者は心身ともに疲弊しており、回復には質の高い休養が不可欠です。作業療法は活動を促しますが、無理なく進めるために休養の重要性を理解してもらうことは非常に大切です同時に、休息に対する罪悪感を取り除く効果も期待できます。選びやすい理由:作業療法で活動を促すことと、休養の重要性を伝えることが矛盾すると感じるかもしれませんが、これらは両立する重要な要素です。
- 5. うつ病は『気の持ちよう』といった精神論で解決できるものではなく、脳の機能的な問題やストレスなどが複雑に絡み合った疾患です。このような説明は患者の苦痛を軽視し、不信感を与え、病識を歪める可能性があります。正しくは:うつ病は病気であり、治療によって改善することを伝え、安心して治療に取り組めるような説明をすべきです。選びやすい理由:「頑張れば治る」という誤った通念に囚われていると、このような説明が適切だと考えてしまうかもしれません。混同注意:うつ病を単なる心理的な問題と捉え、精神疾患に対する正しい理解が不足している可能性があります。
国試ポイント
うつ病患者、特に急性期後の導入期における作業療法の原則と、避けるべき対応を理解しているか。特に、励ましの言葉や、気の持ちようといった精神論が逆効果になることを問う問題です。
混同注意
作業療法導入期の「活動を促す」ことと、うつ病患者の「休養の重要性」を伝えることのバランスをどう取るかという点で迷いやすいです。また、良かれと思って行う励ましが、かえって患者の負担になるという点は頻出です。
次に同じ論点が出たら
うつ病の病態生理、薬物療法、精神科リハビリテーション全体における作業療法の位置づけ、ならびに精神疾患患者に対するコミュニケーションの原則が理解できているかを確認する問題が考えられます。
関連知識
うつ病の病期別の作業療法の目標と内容、作業療法の禁忌事項、治療的なコミュニケーション技術。