精神科デイケアの小集団療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
精神科デイケアの小集団療法では、参加者同士の相互作用や交流を促進することが、社会機能の改善、問題解決能力の向上、自己理解の深化につながるため、最も重要な要素の一つです。スタッフは、その交流が安全かつ建設的に行われるよう支援する役割を担います。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。精神科デイケアの小集団療法では、メンバー間の交流を通じて、社会性の回復、問題解決能力の向上、自己理解の深化を促すことが重要な目的の一つです。スタッフは促進役であり、主役はメンバーの相互作用であるべきです。
- 2. 精神科デイケアの集団療法では、個々のメンバーの意見や感情に寄り添い、傾聴することが重要です。多数決は、少数意見を切り捨てたり、十分な検討なしに結論を出したりする可能性があり、特に精神的に不安定な参加者がいる場合、不安を増大させるリスクがあるため、常に適切な解決策とは限りません。正しくは:意見がまとまらない状況では、全ての意見を傾聴し、スタッフが話し合いを促進して合意形成を図るか、一時中断して個別対応を検討します。選びやすい理由:一般的な会議や集団活動では多数決が用いられることが多いため、自然な解決策だと感じるかもしれません。混同注意:一般的な集団意思決定のルールと、治療的な集団力動を重視する精神科デイケアのグループワークの原則。
- 3. 小集団療法におけるスタッフの役割は、メンバーの自律性を尊重し、自主性を育むことにあります。常にスタッフが主導権を取ると、メンバーの主体的な参加や相互交流が阻害され、依存を強める可能性があります。スタッフは「ファシリテーター」としての役割が主です。正しくは:スタッフはファシリテーターとして、メンバーの自主性を尊重しながら、グループの活動を円滑に進めるための支援を行います。必要に応じて介入しますが、主導権はグループ全体、あるいはメンバー間で分かち合われることが望ましいです。選びやすい理由:集団をまとめる役割として、スタッフがリーダーシップを発揮するのは当然だと感じるかもしれません。特に、混乱しやすい精神科領域の患者を相手にする場合、スタッフがしっかりリードすべきだと考える人もいるでしょう。混同注意:指示的療法と非指示的療法、あるいは、集団の統制とメンバーの自律性の尊重。
- 4. 精神科デイケアの集団療法では、メンバーが自分の感情を安全に表現できる場を提供することが非常に重要です。感情的な発言を避けることは、感情の抑圧につながり、治療的な意味でのカタルシスや洞察の機会を失うことになります。スタッフは、感情的な発言を適切に受け止め、グループ内で安全に共有・処理できるように支援すべきです。正しくは:感情的な発言が出た場合は、それを否定せず、傾聴し、グループ全体で共有・受容する場とします。スタッフは、感情的な発言が建設的に扱われるよう支援します。選びやすい理由:集団の混乱や、他のメンバーへの影響を恐れて、感情的な発言を避ける方が良いと考える人もいるかもしれません。混同注意:集団の秩序維持と、感情表出の治療的意義。
- 5. グループ内の沈黙には、メンバーが考えている時間、感情が渦巻いている時間、抵抗、あるいはグループの自律性を試す時間など、様々な意味があります。安易にスタッフが議題を提供することは、メンバーが沈黙の意味を探求する機会や、自力で状況を打開する機会を奪ってしまうことになります。スタッフは沈黙を許容し、その意味を観察・考察することが求められます。正しくは:沈黙が生じた場合は、スタッフはすぐに介入せず、その沈黙の持つ意味を観察・考察します。メンバーが自ら沈黙を破り、新しい議題を提示したり、沈黙について語り始めたりする機会を待ちます。必要に応じて、スタッフは沈黙の意味を問いかけたり、感情を言語化するよう促したりします。選びやすい理由:進行が滞ることを恐れて、積極的にスタッフが介入して場を繋ぐべきだと考えるかもしれません。混同注意:集団の停滞と、沈黙が持つ治療的な意味。
国試ポイント
精神科デイケアにおける小集団療法(グループセラピー)の基本的な運営原則とスタッフの役割について問われる問題です。特に、メンバーの主体性を尊重し、相互交流を促すという治療的な視点が重要であり、指示的な関わりや、一般社会の集団活動とは異なる点がひっかけになりやすいポイントです。
混同注意
一般的な集団活動のルール(多数決、リーダーシップ、進行のスムーズさ)と、精神科領域における治療的集団の原則。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、集団療法の具体的な技法(例:テーマ別グループ、作業グループ)や、各フェーズ(導入、作業、終結)におけるスタッフの関わり方、あるいは特定の症状を持つ利用者への対応(例:妄想的発言への対応)について問われる可能性があります。
関連知識
精神科デイケアの目的と効果、小集団療法(グループセラピー)の治療要因(普遍性、希望の注入、利他主義、情報提供、矯正的家族再演、対人関係的学習、模倣行動、カタルシス、実存的要因、集団凝集性)、スタッフの役割(ファシリテーター、コ・リーダーの機能)。