統合失調症の作業療法で観察される患者の特徴はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
統合失調症の患者さんは、認知機能障害(特に注意、記憶、実行機能、情報処理速度など)を抱えていることが多く、これにより問題解決能力が低下し、エラーからの学習が困難になります。そのため、作業療法における活動の中で、同じ種類のミスを繰り返すことが頻繁に観察されます。これは、実行機能障害やフィードバック学習の障害として理解できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 統合失調症の患者さんは、一般的に活動への意欲低下や無関心(陰性症状の一つ)を示すことが多いため、この記述は適切ではありません。正しくは:活動への関心や意欲が低下する。選びやすい理由:回復期や症状が安定している時期であれば、活動への関心が少しずつ戻る可能性もあるため、限定的な状況を想定して選んでしまうかもしれませんが、一般的な特徴としては当てはまりません。混同注意:抑うつ状態における意欲低下と混同しやすいかもしれませんが、統合失調症のそれは陰性症状として区別されます。
- 2. 正解。統合失調症の患者さんは、認知機能障害(特に実行機能障害、注意障害、ワーキングメモリの低下など)を抱えることが多く、これにより問題解決能力が低下し、過去の失敗から学べずに同じ過ちを繰り返す傾向が見られます。これは、作業療法における活動を通じた評価でよく観察される特徴です。
- 3. 統合失調症の患者さんは、しばしば集中力の維持や注意の切り替え、複数の情報を同時に処理する能力に困難を抱えます(認知機能障害)。そのため、複数の課題を並行して効率的にこなすことは難しいことが多いです。正しくは:複数の課題を並行して実施することが困難である。選びやすい理由:混乱している様子を「複数のことを同時にやろうとしている」と誤解するかもしれませんが、それは効率的な並行作業とは異なります。混同注意:ADHDなどの多動性や注意散漫と混同する可能性もありますが、統合失調症の場合は認知機能低下による処理能力の限界が原因です。
- 4. 統合失調症の患者さんの中には、陽性症状(例:思考内容の障害、被害妄想)や社会性の障害から他者との関わりに問題を抱える方もいますが、一般的に「他者の活動に口出しする」ことが主要な特徴として観察されるわけではありません。むしろ、人間関係の回避や引きこもり、感情表出の乏しさといった陰性症状が目立つこともあります。正しくは:他者との交流が少なく、自分の活動に集中できないことがある。選びやすい理由:思考の障害や妄想内容によっては、他者の行動に干渉することがあるという側面から、この選択肢を選んでしまうかもしれません。しかし、これは一般的な特徴とは言えません。混同注意:強迫性障害における他人への干渉や、パーソナリティ障害における対人関係の問題と混同するかもしれません。
- 5. 統合失調症の患者さんは、柔軟な思考や問題解決能力に困難を抱えることが多く(認知機能障害)、予期せぬ状況への適応が苦手な傾向があります。計画外の出来事には混乱したり、対応が遅れたりすることがよくあります。正しくは:予定外の出来事に対処することが難しい。選びやすい理由:ストレス耐性が高い患者さんであれば、一部は対応できると誤解するかもしれませんが、全体的な傾向としては難しいです。混同注意:自閉スペクトラム症における変化への適応困難と混同するかもしれませんが、統合失調症の場合は認知機能障害全般から生じます。
国試ポイント
統合失調症患者の認知機能障害とその作業療法における具体的な行動観察について問う問題です。特に陰性症状や認知機能障害が作業遂行に与える影響を理解しているかが試されます。
混同注意
他の精神疾患(例:うつ病、ADHD、パーソナリティ障害など)の症状との区別、特に認知機能障害が様々な疾患で見られるため、統合失調症に特有のパターンを理解しているかどうかが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、統合失調症の認知機能障害の具体的な側面(例:注意の持続困難、ワーキングメモリの低下、計画性の欠如など)や、それが日常生活動作や社会参加にどう影響するかを問う問題が出ると考えられます。また、陰性症状と認知機能障害の鑑別や、それらに対する作業療法の介入方法についても注目されるでしょう。
関連知識
統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、思考の障害)、陰性症状(感情の平板化、意欲低下、自閉、思考の貧困)、認知機能障害(注意、記憶、実行機能など)、作業療法の評価(作業遂行能力評価、認知機能評価など)、症状と作業遂行能力の関連性。