58歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅣ、クラス3。左手の写真(別冊No. 1)を別に示す。使用する装具で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
写真と病歴から、患者は関節リウマチによる重度の手関節変形(尺側偏位、掌側亜脱臼)を呈しており、手関節の支持と安定化が喫緊の課題であることが示唆される。PEライト製の手関節装具は、熱可塑性プラスチックであるPEライト(ポリエチレンフォーム)を用いて作成され、手関節を強固に固定し、変形の進行を抑制したり、疼痛を軽減したりする効果が期待できる。他の選択肢は、指関節の軽度な変形や特定の方向への運動制限に対応するものであり、この症例の手関節の重篤な状態には不適切である。
選択肢ごとの解説
- 1. ナックルベンダーは主にPIP関節やMP関節の屈曲拘縮に用いられる装具ですが、写真からは強い変形が見られ、主に手関節の安定性や固定がより優先される状況と考えられます。MP関節の伸展を補助するものであり、この症例の状態とは異なります。正しくは:この症例のように手関節の固定や安定化が必要な場合は、別の装具が適しています。選びやすい理由:関節リウマチの指関節変形に用いる装具として名前が知られているため、選択肢として選びたくなるかもしれません。混同注意:他の指関節装具(例:スワンネック装具、ボタンホール装具)との適応の違い。
- 2. Oppenheimer型装具は主にMP関節の伸展補助に用いられ、尺側偏位の矯正も目的とすることがありますが、写真の状況では手関節の固定・安定化がより緊急性の高い課題であり、MP関節の伸展補助装具だけでは不十分です。正しくは:手関節の安定化が主な目的であるため、手関節を支持する装具が適切です。選びやすい理由:MP関節の変形が見られるため、その矯正を目的とする装具として検討されやすいかもしれません。混同注意:他のMP関節用装具(例:ダイナミックスプリント)との区別。
- 3. IP関節伸展補助指装具は主にPIP関節やDIP関節の伸展制限がある場合に用いられますが、写真からは手関節の強い尺側偏位や掌側亜脱臼が示唆されており、IP関節の伸展補助のみでは対応できません。まず手関節の安定化が重要です。正しくは:この症例には手関節の固定や支持を行う装具が必要です。選びやすい理由:指の変形も目立つため、指用の装具として検討されやすいです。混同注意:スワンネック変形やボタンホール変形に対する指装具との違い。
- 4. タウメル継手式手関節装具は、主に手関節の掌背屈を制限しつつ、回内外運動を許容する装具です。しかし、写真では強い尺側偏位と掌側亜脱臼が見られ、このような不安定性の高い手関節には、より強固な固定性を持つ装具が求められます。正しくは:強い手関節の変形と不安定性に対しては、さらに高い固定性を持つ装具が必要です。選びやすい理由:手関節の装具であるため、一見正しい選択肢のように思えるかもしれません。混同注意:手関節の安定化を目的とする装具全般。
- 5. 正解。写真では手関節の強い尺側偏位と掌側亜脱臼が明瞭に示されており、SteinbrockerのステージⅣ(活動性の関節炎による関節変形、強直、線維性または骨性の強直、関節破壊があり、隣接する関節にも影響がある状態)とクラス3(ADLが著しく制限されている状態)という情報からも、手関節の高度な不安定性を示唆しています。この状態では、手関節を安定させ、変形を矯正または進行を遅らせる目的で、PEライト(熱可塑性プラスチック)のような素材で作成された比較的強固な手関節装具(短腕装具など)が必要です。軟性装具という記述がありますが、PEライト製は一般的に熱可塑性樹脂であり、ある程度の硬さを持つため、手関節の固定と支持に有効です。
国試ポイント
関節リウマチによる手関節の代表的な変形(尺側偏位、掌側亜脱臼)を画像から読み取り、その状態に適した装具の種類を判断する能力が問われている。特に、Steinbrockerの分類やステージを考慮した臨床推論が重要。
混同注意
指関節の変形と手関節の変形に対する装具の適応を混同しやすい。特に、リウマチ患者では指と手関節の両方に変形が生じることが多いため、主要な問題点を見極める必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、画像の所見(変形の種類、程度)と患者の機能レベル(ADLの制限度合い)から、最も優先すべき装具の目的(例:固定、可動域確保、疼痛軽減)を判断し、その目的に合致する装具を選択する。
関連知識
関節リウマチにおけるSteinbrockerの機能分類とステージ分類、手関節および指関節の典型的な変形(スワンネック変形、ボタンホール変形、尺側偏位、掌側亜脱臼など)、各装具の適応と目的(例:ナックルベンダー、短腕装具、長腕装具)。