42歳の女性。多発性硬化症による両側視神経炎を伴う四肢麻痺。筋力低下が進行し、移動には車椅子を使用している。MMTは上肢近位部で段階3、遠位部で段階4。有痛性けいれんがある。この患者に対する作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
両側視神経炎による視覚障害があり、上肢近位部の筋力も段階3に低下しているため、小さな物を見ながら扱う細かな作業や、上肢を大きく使う重い作業は適しません。卓上編み機は机上で行え、視覚的な精密さをあまり要さず、成果物も得やすい作業です(公式正答3)。
選択肢ごとの解説
- 1. 小さなビーズを扱う作業は、視神経炎による視覚障害がある患者には困難です。
- 2. 本棚を作る木工作業は上肢を大きく使う負荷の高い作業で、上肢近位部の筋力が段階3の患者には負担が大きく、疲労しやすい多発性硬化症の患者にも適しません。
- 3. 正解。卓上編み機は机上で行え、視覚的な精密さをあまり要さず、作品を完成させやすい作業です。
- 4. 小さな刻印で模様をつける作業は精密な視覚と巧緻性を要し、視覚障害がある患者には困難です。
- 5. ネット手芸はネットの細かい穴に糸を通す作業で、視覚障害がある患者には困難です。
国試ポイント
国家試験では、疾患の特性と患者の具体的な身体機能(MMT、感覚、視覚など)を正しく評価し、それに基づいて最適な作業活動を選択できる能力が問われます。特に、残存機能の活用と活動の難易度設定の適切さが重要です。
混同注意
患者が「手芸」を好むかもしれないという一般論と、個々の手芸が要求する具体的な身体能力・認知能力のレベルを混同しやすい。卓上編み機が「手編み」よりも操作が簡便である点を理解していないと、選択肢から除外してしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず患者の残存機能(特に筋力レベル、関節可動域、感覚、視力)を正確に把握する。次に、各活動が要求する身体的・認知的・感覚的な要件を分析し、両者を照らし合わせて最も負担が少なく、かつ達成感を得やすい活動を選択する。
関連知識
多発性硬化症の症状(四肢麻痺、視神経炎、有痛性けいれん、疲労)、MMTの評価と活動選択への応用、視覚障害を持つ患者への活動調整、達成感や自己効力感を高める活動の重要性、自助具や補助具の活用。