精神科作業療法のインテイク面接(初回面接)で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
初回面接では、患者が安心して治療を受けられるように、作業療法の目的、具体的な内容、期待される効果などを明確に説明することが不可欠です。これにより、患者の治療への理解を深め、主体的な参加を促し、治療者との信頼関係の基盤を築きます。これはインフォームド・コンセントの原則にも則った基本中の基本です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。初回面接では、患者さんが安心して治療に取り組めるよう、作業療法の目的、進め方、得られる効果などを明確に伝えることが重要です。これにより、治療への理解と主体的な参加を促し、信頼関係の構築にも繋がります。
- 2. 幻聴があるからといって、直ちに面接を中止する必要はありません。幻聴の内容や患者さんの状態を評価し、必要であれば面接を継続し、内容を傾聴したり、対処法を検討したりします。幻聴があってもコミュニケーションが可能な場合も多く、中止は患者さんの不信感につながる可能性があります。正しくは:幻聴が認められる場合でも、患者さんの状態を観察し、幻聴の内容やそれが面接に与える影響を評価しながら、対応を検討する。面接の継続が困難なほど興奮している場合などを除き、必ずしも中止するとは限らない。選びやすい理由:幻聴は精神疾患の重い症状であり、面接の妨げになると考え、中止が適切だと判断してしまうかもしれない。混同注意:幻覚妄想状態が強く、患者さんの安全が確保できない、またはコミュニケーションが著しく困難な場合(例:指示が通らないほどの興奮状態)と混同しやすい。そのような極端な場合は中止・延期も検討されるが、単に幻聴があるだけで中止するわけではない。
- 3. 原則として、初回面接はプライバシーが確保され、落ち着いて話せる面談室などで実施することが望ましいです。ベッドサイドは他の患者さんの目があるなど、プライバシーの確保が難しく、落ち着いた環境とは言えないことが多いです。ただし、患者さんの身体状況や精神状態によっては、ベッドサイドでの実施も選択肢となりますが、「基本」とは言えません。正しくは:面接は、患者さんのプライバシーが保護され、集中して話ができるような、静かで落ち着いた環境(例えば面談室など)で行うのが原則である。選びやすい理由:身体合併症がある場合や、病棟内での介入が主になることが多い状況を想像して、ベッドサイドが適切だと誤解する可能性がある。混同注意:身体的な介入が必要なケースや、急性期の身体的拘束など、患者が移動できない場合の介入と混同しやすい。しかし、インテイク面接の「基本」としては適切ではない。
- 4. 緊張が強い患者さんに対しては、正面から向き合う対面同位法は、患者さんにとってプレッシャーや威圧感を与え、かえって緊張を高める可能性があります。やや斜めに座るなど、直接的な視線が交錯しにくい配置の方が、患者さんはリラックスしやすいことが多いです。正しくは:緊張が強い患者さんの場合は、正面からの対面を避け、やや斜めに座るなど、患者さんに圧迫感を与えないような座席配置を考慮する。選びやすい理由:丁寧な対応や目線を合わせることが重要だという一般的な面接の基本と混同し、対面同位法が適切だと考えてしまうかもしれない。また、同じ目線で話すこと自体は正しいが、「対面」という点が緊張を強める可能性があることを看過してしまう。混同注意:ラポール形成において目線の高さや相手を尊重する姿勢が重要であるという原則と混同しやすい。しかし、対面同位法が必ずしも「全て」の状況で最善ではない、特に精神科領域で緊張の強い患者に対しては配慮が必要である。
- 5. 作業療法士自身の氏名や役割を伝えることは必要ですが、治療に関係のない詳細な個人情報を開示することは、専門職としての倫理に反する行為であり、患者さんとの適切な治療的関係を損なう可能性があります。患者さんとの境界線を曖昧にし、信頼関係を損ねる原因にもなりかねません。正しくは:作業療法士は、自身の氏名や専門職としての役割を明確に伝えるが、治療目的と無関係な詳細な個人情報を開示することは避けるべきである。選びやすい理由:患者との距離を縮め、親近感を持ってもらうために有効だと誤解する可能性がある。混同注意:自己開示が治療的に機能する場合(ただし、あくまで治療目標に資する場合に限定され、内容も厳選される)と混同しやすいが、初回面接で詳細な個人情報を説明することは不適切である。
国試ポイント
精神科における作業療法の初回面接の基本的な対応について問う問題です。患者さんとの信頼関係構築、インフォームド・コンセント、および専門職としての適切なコミュニケーションの原則が理解できているかを確認しています。精神科特有の患者さんの心理状態への配慮(不安、緊張、精神症状など)を踏まえた面接技術が問われるポイントです。
混同注意
精神症状(幻聴、緊張など)がある患者への対応として、過度に中断や回避を選択してしまう傾向。患者との距離を縮めるための自己開示や、丁寧な対応と、専門職としての適切な境界線の維持との区別。一般的な面接技法と、精神科領域の患者特性に合わせた配慮(例:座席配置)の区別。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、面接の目的(アセスメント、ラポール形成、インフォームド・コンセント)と患者の安全・プライバシー保護、そして治療的関係の維持に焦点を当てて選択肢を判断する。特に、精神症状への個別的な対応(症状があるから即中止ではなく、症状を評価し対応を検討する)や、環境設定の重要性、専門職としての倫理的境界線が問われる。
関連知識
インフォームド・コンセントの原則、精神科における治療者-患者関係、コミュニケーション技法(傾聴、受容、共感)、精神科特有の症状(幻覚、妄想、不安、緊張)への対応、治療環境の整備、倫理原則。