49歳の女性。多発性筋炎で入院中である。ステロイドによる寛解を認め、ベッドサイドでのリハビリテーションが開始された。この患者の運動負荷を調節する際に指標となる血液検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
多発性筋炎は筋肉の炎症性疾患であり、活動期には筋細胞の破壊が進行します。クレアチンキナーゼ(CK)は筋細胞内に豊富に存在する酵素で、筋細胞が破壊されると血中に逸脱し、その値が上昇します。そのため、CK値は多発性筋炎の病勢や筋破壊の程度を示す重要な指標となります。リハビリテーションを開始し運動負荷をかける際、過度な負荷は筋細胞の破壊を助長し、CK値の再上昇や症状の悪化を招く可能性があります。したがって、運動療法中はCK値をモニタリングし、その変動に応じて運動負荷量を慎重に調整することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 総ビリルビンは肝機能や溶血性疾患の指標であり、多発性筋炎による筋破壊やその後の運動負荷量を直接評価する項目ではありません。正しくは:運動負荷量の指標としては適切ではありません。選びやすい理由:血液検査項目の一つではあるため、知識が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:肝機能を示す他の項目(AST、ALTなど)と混同することがあるかもしれません。
- 2. クレアチニンは主に腎機能の指標であり、多発性筋炎における筋活動性や運動負荷による筋への影響を直接示すものではありません。正しくは:腎機能の指標であり、運動負荷量調整の直接的な指標にはなりません。選びやすい理由:筋肉由来の物質であるため、筋疾患と関連があると誤解する可能性があります。しかし、腎臓での排泄能を評価します。混同注意:クレアチンキナーゼと名称が似ているため混同しやすいですが、検査の目的は全く異なります。
- 3. 血中尿素窒素(BUN)も主に腎機能や栄養状態、脱水などの指標であり、多発性筋炎の活動性や運動負荷による筋への影響を直接評価する項目ではありません。正しくは:腎機能や代謝状態の指標であり、運動負荷量調整の直接的な指標にはなりません。選びやすい理由:腎機能の指標としてよく用いられるため、選択肢として違和感がないと感じるかもしれません。混同注意:クレアチニンと同様に腎機能指標であるため、セットで覚えておくとよいでしょう。
- 4. 正解。クレアチンキナーゼ(CKまたはCPK)は、骨格筋や心筋、脳などに多く存在する酵素で、筋細胞が破壊されると血液中に流出します。多発性筋炎のような筋炎では、筋細胞の炎症や破壊が活動期に顕著であり、運動負荷により筋細胞へのストレスが増加するとCK値が上昇する可能性があります。そのため、運動療法中のCK値の変動は、筋への過負荷や炎症の再燃の指標として非常に重要です。正しくは:この選択肢が正しいです。
- 5. アルカリフォスファターゼ(ALP)は、主に骨、肝臓、胆道などに多く存在する酵素で、骨疾患や肝胆道疾患の指標となります。多発性筋炎の筋破壊や運動負荷量を評価する項目としては適切ではありません。正しくは:骨疾患や肝胆道疾患の指標であり、多発性筋炎の運動負荷量調整には直接関係しません。選びやすい理由:体内の様々な部位に存在する酵素であるため、関連があるかと考えてしまうかもしれません。混同注意:他の酵素(AST, ALT, CKなど)と混同しやすいですが、それぞれの由来や機能が異なります。
国試ポイント
多発性筋炎の病態生理と、運動療法における運動負荷量調整の指標として、筋破壊の程度を示す血液検査項目(特にクレアチンキナーゼ)の知識が問われています。疾患特異的な病態とリハビリテーションの注意点を関連付けて理解しているかが重要です。
混同注意
クレアチンとクレアチニン、クレアチンキナーゼは名称が似ていますが、それぞれが示す生体内の役割や検査の目的が異なります。クレアチンは筋肉中に存在するエネルギー源、クレアチニンはクレアチンの代謝産物で腎機能の指標、クレアチンキナーゼは筋細胞破壊の指標です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、多発性筋炎だけでなく、その他の筋疾患(筋ジストロフィーなど)や、心疾患における心筋逸脱酵素(心筋梗塞におけるCK-MBなど)についても、関連する血液検査項目と臨床的意義を結びつけて理解できているかを確認する問題が出る可能性があります。
関連知識
多発性筋炎・皮膚筋炎の病態、診断基準、治療(ステロイド療法など)。リハビリテーションの原則(活動期の安静、寛解期からの段階的な運動療法)。運動負荷量調整の原則、バイタルサインモニタリング。筋原性酵素(CK、AST、ALT、LDH)の意義と臨床的解釈。