上肢装具と目的の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
指用ナックルベンダーは、MP関節の過伸展を抑えつつPIP関節の屈曲を補助することで、鉤爪指変形を予防・改善したり、機能的な把持動作を促したりする目的で使用されます。この組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. ウェブスペーサの主な目的は、母指と示指の間のウェブスペース(股部)の拘縮を予防・改善し、母指の内転拘縮を防ぐことです。母指外転筋の短縮予防とは直接関連しません。正しくは:ウェブスペーサ:母指内転拘縮の予防・改善選びやすい理由:母指に関する装具であるため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:母指の他動的・自動的運動を制限する装具と混同しやすいです。
- 2. Thomasスプリントは下肢装具の一種であり、主に大腿骨骨折などで下肢の固定や牽引に用いられます。上肢装具でもなく、手関節の固定を目的とするものではありません。正しくは:Thomasスプリント:大腿骨骨折時の牽引・固定選びやすい理由:スプリントという名称から何らかの固定具であると想像しやすいですが、部位が全く異なります。混同注意:様々な種類のスプリント(装具)の名称と適用部位を混同しやすいです。
- 3. 正解。指用ナックルベンダーは、MP関節を伸展位に保ちつつ、PIP関節を屈曲させる力を補助するために用いられる装具です。主に内在筋の麻痺などによる鉤爪指変形(MP過伸展、PIP屈曲位)の改善や、PIP関節の可動域訓練、機能的把持の獲得を目指します。選びやすい理由:指の装具としては一般的であり、機能がそのまま名前に現れています。
- 4. 肘屈曲型アームスリングは、主に肩関節の脱臼や骨折、腱板損傷などで上肢を安静に保つために、肩関節を内転・内旋位(三角巾で腕を吊るような姿勢)で固定する装具です。肩関節の外転位を保持する目的には使用されません。正しくは:肘屈曲型アームスリング:肩関節の内転・内旋位保持、上肢の安静保持選びやすい理由:アームスリングが上肢を固定する装具であることは正しいですが、保持する肢位が誤っています。混同注意:様々なタイプの肩肘装具が保持する肢位と混同しやすいです。
- 5. フレクサーヒンジ・スプリントは、手関節の背屈運動を利用して手指を屈曲させ、把持動作を補助する装具です。手関節の『背屈(伸展)』機能を利用するものであり、『屈曲』機能を利用するものではありません。特に脊髄損傷などで手関節背屈筋が残存している場合に用いられます。正しくは:フレクサーヒンジ・スプリント:手関節背屈機能を利用した把持動作選びやすい理由:把持動作を補助する装具であることは正しいですが、そのメカニズム(利用する機能)が誤っています。手の機能に関する問題として、ひっかけやすいポイントです。混同注意:手関節の屈曲・背屈(伸展)の方向と、それを利用する装具のメカニズムを混同しやすいです。『屈曲機能』と『背屈機能』の言葉の違いを正確に理解しておく必要があります。
国試ポイント
上肢装具の名称、適用部位、主な目的、そして具体的な機能メカニズム(どの関節のどの運動を補助・制限するか)を正確に理解しているかが問われています。特に、名称から機能を推測できるものや、特定の残存機能を利用する装具(例:フレクサーヒンジ・スプリント)は頻出です。
混同注意
各装具の名称と適用部位・機能が類似しているもの、あるいは言葉のひっかけ(例:屈曲と背屈)に注意が必要です。特に、特定の神経麻痺や疾患に対する装具は、その症状と装具の機能が密接に結びついているため、セットで覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず各装具が『上肢のどの部位』に装着され、『どのような運動を補助または制限する』のかを具体的にイメージできるかを確認します。特に、名称にその機能が隠されているもの、あるいは特定の残存機能を利用する装具については、そのメカニズムを正確に理解しているかどうかが正答のカギとなります。また、ひっかけとして『屈曲』と『伸展(背屈)』のような逆の運動方向を提示していないかにも注意が必要です。
関連知識
・上肢の主要な装具(静的装具、動的装具)の分類と種類 ・各装具の適用疾患、適応・禁忌 ・装具が目的とする関節運動の方向と原理 ・解剖学的な運動方向(屈曲、伸展、外転、内転、背屈、掌屈など) ・各関節の拘縮予防・改善の原則