多発性硬化症で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
多発性硬化症は自己免疫疾患であり、疫学的に女性に多く見られることが知られています。他の選択肢は、多発性硬化症の特徴や関連する現象とは異なるか、誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。多発性硬化症は自己免疫疾患であり、疫学的に女性に多く見られる特徴があります。男女比は約2~3:1で女性に多いとされています。
- 2. 多発性硬化症の患者では、体温が上昇すると神経症状が悪化する「ウートホフ現象」が見られます。症状が改善することは通常ありません。正しくは:体温が高くなると、症状が悪化することがあります。選びやすい理由:一般的な疾患では温めると筋肉が緩んだり血行が促進されたりして症状が和らぐイメージがあるため、逆の作用であることに気づきにくい可能性があります。混同注意:「温めることで血行が良くなる」といった一般的な考え方や、他の疾患の症状改善メカニズムと混同しやすいです。
- 3. 多発性硬化症の有病率は、一般的に高緯度地域(赤道から離れた地域)で高く、低緯度地域(赤道に近い地域)では低いとされています。これは、日照時間やビタミンDとの関連が指摘されています。正しくは:有病率は、赤道から離れた高緯度地域で特に高い傾向があります。選びやすい理由:地理的要因が関与する疾患は多く、どちらが高いか低いかといった情報を正確に覚えていないと誤った選択をしてしまうことがあります。混同注意:他の疾患の地理的分布や、ビタミンD欠乏との関係性を正確に理解していないと混乱しやすいです。
- 4. Phalenテストは、手根管症候群の診断に用いられる誘発テストであり、正中神経の圧迫を示唆するものです。多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患であり、Phalenテストが陽性となることは直接的な関連がありません。正しくは:手根管症候群の患者では、Phalenテストが陽性を示します。選びやすい理由:多発性硬化症が神経系の疾患であるため、何らかの神経学的検査が関連すると思わせる点で、知識が曖昧だと選びやすい可能性があります。混同注意:Phalenテストがどの疾患の診断に用いられるのか、また多発性硬化症がどの部位の疾患であるのかを混同しやすいです。
- 5. 多発性硬化症は自己免疫疾患であり、免疫系が自己の神経組織を誤って攻撃する(免疫系の異常な活性化・過剰反応)ことで発症します。免疫機能が低下した「免疫不全」の状態とは異なります。正しくは:免疫系の異常な活性化により発症しやすいです。選びやすい理由:「免疫」というキーワードから、免疫系の疾患であることは理解できても、それが「不全」なのか「過剰反応」なのかを正確に区別できていないと誤解することがあります。混同注意:免疫不全症(例:AIDSなど)と、免疫系が過剰に反応して自己を攻撃する自己免疫疾患のメカニズムを混同しやすいです。
国試ポイント
多発性硬化症に関する基本的な知識、特にその疫学(性差、地理的分布)、特徴的な症状(ウートホフ現象)、そして診断に関わる検査や病態生理について問う問題です。他の疾患の知識や一般的な医学的常識と混同しやすい点が狙われやすい傾向があります。
混同注意
多発性硬化症のウートホフ現象(体温上昇による症状悪化)と症状改善を混同しやすい。有病率の地理的分布(高緯度地域と低緯度地域)を混同しやすい。自己免疫疾患と免疫不全疾患の病態を混同しやすい。Phalenテストの対象疾患を多発性硬化症と誤って関連付けやすい。
次に同じ論点が出たら
次に多発性硬化症に関する問題が出題される場合、診断基準、治療薬の作用機序、リハビリテーションにおける評価と介入方法(特に疲労管理やウートホフ現象への対応)、または合併症や予後に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
多発性硬化症は中枢神経系の脱髄疾患で、脳や脊髄、視神経の様々な部位に病変が生じます。主な症状には、視力障害、感覚障害、運動麻痺、平衡機能障害、排泄障害などがあります。再発と寛解を繰り返すことが多いです。診断にはMRI検査が重要で、脳や脊髄の脱髄斑を確認します。特徴的な症状としてLhermitte(レルミット)徴候も挙げられます。治療には、急性増悪期のステロイドパルス療法や、再発予防のための疾患修飾薬(インターフェロンβ、フィンゴリモドなど)が用いられます。リハビリテーションでは、ウートホフ現象を考慮した運動処方や、症状に応じた日常生活活動(ADL)への介入が重要です。