関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準1995年)を図に示す。基本軸と移動軸で正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
選択肢1の股関節屈曲は、基本軸が大転子を通る体幹正中線、移動軸が大腿骨外側中央線とされており、図の基本軸が体幹の長軸に平行に描かれ、移動軸が大腿骨の長軸に沿って描かれているため適切です。選択肢5の足関節背屈は、基本軸が腓骨小頭と外果を結ぶ線に平行な下腿外側中央線、移動軸が第5中足骨と第5趾基部を結ぶ線とされており、図の基本軸が下腿に平行に描かれ、移動軸が足の長軸に沿って描かれているため適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。股関節屈曲の測定において、基本軸は体幹の長軸(床上)に平行で、移動軸は大腿骨の長軸(大転子より遠位)に平行であり、図はこれを正確に示しています。選びやすい理由:基本軸と移動軸の概念を理解している受験者にとっては、一般的な肢位と軸の組み合わせとして認識しやすく、正しい選択肢として選びやすいです。混同注意:股関節伸展や外転・内転、または股関節の回旋運動における軸との混同。特に屈曲・伸展では基本軸は同じですが、移動軸の基準点が異なる場合があります。
- 2. 肩水平屈曲の基本軸は体幹正中線、移動軸は上腕骨、測定肢位は仰臥位または立位で肩関節90度外転位とされています。しかし、図では体幹に垂直な線が基本軸として描かれており、不適切です。正しくは、患者を仰臥位にして上腕を90度外転させ、基本軸は肩峰を通る正中線(床上)、移動軸は上腕骨とします。正しくは:肩水平屈曲の基本軸は、患者を仰臥位にした場合の肩峰を通る体幹正中線であり、図のように体幹に垂直な線ではありません。選びやすい理由:肩関節の運動は複雑で、水平屈曲は一般的にあまり馴染みがないため、図の軸がそれらしいと誤解されやすいです。また、肩関節の一般的な屈曲・伸展の軸と混同しやすいです。混同注意:肩関節の通常の屈曲・伸展、または肩関節外転における基本軸と移動軸。水平屈曲は特殊な運動方向であるため、その軸も特殊であることを理解していないと混同します。
- 3. 手尺屈の基本軸は第3中手骨の長軸、移動軸は第3中手骨と指の長軸を通る線とされています。図では基本軸が手関節の中央を通る線に描かれていますが、移動軸が指の長軸に沿っていません。正しくは、第3中手骨の長軸を基本軸とし、第3中手骨と中指の長軸を結ぶ線を移動軸とします。正しくは:手尺屈の基本軸は第3中手骨の長軸、移動軸も第3中手骨の長軸と中指の長軸を結ぶ線であり、図はこれを正確に示していません。選びやすい理由:手関節の運動は細かく、尺屈と橈屈の軸を混同しやすいです。また、手全体を基準にするというイメージから、図のような線が正しく見える可能性があります。混同注意:手関節の橈屈の基本軸と移動軸、あるいは手関節の掌屈・背屈の軸。手関節の運動は小さく、軸の特定が難しいため、誤りやすいです。
- 4. 股外旋の基本軸は、股関節と膝関節の中央を結ぶ線に平行な大腿中央線であり、移動軸は下腿の中央線とされています。図では基本軸が下腿に垂直な線に描かれており、移動軸も下腿の長軸に沿っているように見えますが、これは基本軸が誤っています。正しくは、基本軸は大腿中央線、移動軸は下腿中央線です。正しくは:股外旋の基本軸は、股関節と膝関節を結ぶ大腿中央線であり、図のように下腿に垂直な線ではありません。移動軸は下腿中央線です。選びやすい理由:股関節の回旋運動は膝関節屈曲位で測定されることが多く、その姿勢から図のような軸が正しく見えることがあります。また、下腿を基準にするというイメージから選びやすいです。混同注意:股関節の内旋や、膝関節の屈曲・伸展、足関節の運動の軸。特に回旋運動は、その性質上、軸がわかりにくいことがあります。
- 5. 正解。足関節背屈の測定において、基本軸は腓骨小頭と外果を結ぶ線に平行な下腿外側中央線、移動軸は第5中足骨と第5趾基部を結ぶ線であり、図はこれを正確に示しています。選びやすい理由:足関節の運動は比較的わかりやすく、背屈の方向も明確なため、図の軸が正しく見えることが多いです。そのため、正しい選択肢として選びやすいです。混同注意:足関節底屈や、足部内がえし・外がえし、または足指の運動における基本軸と移動軸。特に足関節の複合運動は混同しやすいです。
国試ポイント
関節可動域測定における基本軸と移動軸の正確な位置を理解しているか。
混同注意
各関節の異なる運動方向(屈曲、伸展、外転、内転、内外旋など)での基本軸・移動軸と混同しやすい。特に、多関節運動や複合運動における測定法は注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず測定している関節と運動方向を正確に特定します。次に、その運動における日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準の基本軸と移動軸の定義を想起し、図に示された軸がその定義と一致しているかを確認して判断します。
関連知識
日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定めた関節可動域表示ならびに測定法(1995年改訂)は、全関節について基本軸・移動軸が規定されているため、よく出題される主要な関節や、画像で判別しにくい特殊な運動については暗記しておくことが重要です。また、関節可動域の正常値についても合わせて覚えておきましょう。