振戦せん妄で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
振戦せん妄はアルコール離脱症候群の最も重篤な病態であり、神経系の過興奮状態が特徴です。この過興奮を鎮め、症状を緩和するために、GABA受容体に作用して抑制を強めるベンゾジアゼピン系薬剤が主要な治療薬として使用されます。これにより、不穏、幻覚、振戦、痙攣などをコントロールし、致命的な合併症を防ぎます。
選択肢ごとの解説
- 1. 振戦せん妄は、呼吸不全や循環虚脱などにより死に至る可能性もある、生命に危険を及ぼす状態です。正しくは:振戦せん妄は生命への危険性が高い状態です。選びやすい理由:「せん妄」という言葉から、精神症状が主で身体的危険は低いと誤解しやすいため。混同注意:単なるアルコール離脱症状(軽い不安や振戦)と、重篤な振戦せん妄とを混同する可能性があります。
- 2. 羽ばたき振戦(asterixis)は肝性脳症や腎不全などで見られる不随意運動であり、振戦せん妄の主要な症状ではありません。振戦せん妄では、全身性の粗大な振戦が見られます。正しくは:振戦せん妄では、全身性の粗大な振戦がみられます。選びやすい理由:「振戦」という言葉から、何らかの振戦の一種である羽ばたき振戦を連想しやすいため。混同注意:様々な種類の振戦(本態性振戦、パーキンソン病の安静時振戦、小脳性振戦など)と、羽ばたき振戦の鑑別ができていない可能性があります。
- 3. 正解。振戦せん妄の治療においては、興奮状態を鎮め、けいれんを予防するためにベンゾジアゼピン系薬剤が第一選択薬として広く使用されます。離脱症状による過剰な神経活動を抑制する効果があります。
- 4. 振戦せん妄は、飲酒停止後通常48〜96時間(2〜4日)で発症することが多いとされています。24時間以内は、むしろアルコール離脱による手の振戦や不安などの軽症な症状が見られる期間です。正しくは:飲酒停止後48〜96時間で発症することが多いです。選びやすい理由:アルコール離脱症状が飲酒停止後比較的早期に出現するため、その延長として振戦せん妄も早い時期に発症すると誤解しやすいため。混同注意:アルコール離脱症候群の初期症状(軽度の振戦、不安、不眠など)と、重篤な振戦せん妄の発症時期を混同している可能性があります。
- 5. 振戦せん妄は、アルコール血中濃度が低下する、またはゼロに近づくことで生じる離脱症状の一つです。アルコールによる抑制効果が消失することで、神経系の過興奮状態が発生します。正しくは:アルコール血中濃度が低下するに伴って生じます。選びやすい理由:アルコール摂取が原因であるため、アルコール濃度が高い時に症状が出ると誤解しやすいため。混同注意:アルコール酔いの症状と、アルコール離脱症状である振戦せん妄のメカニズムを混同している可能性があります。
国試ポイント
振戦せん妄の病態、症状、および治療に関する基本的な知識が問われています。特に、アルコール離脱症候群の段階や、生命への危険性、適切な薬物療法について正確に理解しているかが重要です。
混同注意
アルコール離脱症候群の軽度な症状(振戦、発汗、不安など)と振戦せん妄の区別。他の種類のせん妄(ICUせん妄など)との症状の共通点と相違点。様々な種類の振戦(本態性振戦、パーキンソン病振戦、小脳性振戦、羽ばたき振戦)の鑑別。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出た場合、振戦せん妄の具体的な症状(幻覚、見当識障害、自律神経症状など)や、合併症(脱水、電解質異常、発熱、痙攣)に関する内容、また非薬物療法(環境調整、精神科OTの役割)についても問われる可能性があります。
関連知識
アルコール依存症の診断基準、アルコール離脱症候群の経過と症状の段階、肝性脳症の病態と症状、ベンゾジアゼピン系薬剤の薬理作用と副作用、ビタミンB1(チアミン)投与の重要性(ウェルニッケ脳症予防)。