近時記憶検査で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
RAVLT(Rey Auditory Verbal Learning Test)は言語性記憶の学習・保持・再生能力を評価する世界的に汎用される検査であり、三宅式記銘力検査は日本で広く用いられる言語性・視覚性の記銘力(近時記憶)を評価する検査です。これらは直接的に近時記憶の評価を目的としています。一方、CATは脳形態画像検査、TMTは注意・遂行機能検査、ハノイの塔は遂行機能検査であり、近時記憶を主たる評価対象とはしていません。
選択肢ごとの解説
- 1. CAT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)は、脳の形態的な構造を画像として捉える検査であり、記憶機能そのものを直接評価するものではありません。正しくは:近時記憶機能を評価する認知検査に置き換える必要があります。選びやすい理由:脳に関連する検査であるため、認知機能の評価と関連があるように思えるかもしれませんが、その評価対象は異なります。混同注意:脳の構造を評価する画像検査と、脳機能(認知機能)を評価する心理検査の目的を混同しやすいです。
- 2. TMT(Trail Making Test:トレイルメイキングテスト)は、主に注意機能、視覚探索、情報処理速度、遂行機能を評価するための検査であり、近時記憶を直接評価する主たる目的とは異なります。正しくは:近時記憶機能を評価する検査に置き換える必要があります。選びやすい理由:認知機能の広範な評価バッテリーに含まれることが多いため、記憶と関連する検査であると誤解する可能性があります。混同注意:注意機能や遂行機能の検査と、記憶機能を直接測定する検査を混同しやすいです。
- 3. 正解。RAVLT(Rey Auditory Verbal Learning Test:レイ聴覚性言語学習テスト)は、言語性記憶の学習曲線、短期保持、遅延再生、再認、干渉の影響などを総合的に評価するための標準的な検査であり、近時記憶の評価に非常に適しています。
- 4. ハノイの塔は、主に計画能力、問題解決能力、ワーキングメモリといった遂行機能(高次脳機能の一部)を評価する課題であり、近時記憶そのものを主目的として評価するものではありません。正しくは:近時記憶機能を評価する検査に置き換える必要があります。選びやすい理由:複雑な認知処理を伴う課題であるため、記憶と関連が深いように思えるかもしれませんが、主要な評価領域は異なります。混同注意:遂行機能やワーキングメモリの検査と、エピソード記憶や近時記憶を評価する検査を混同しやすいです。
- 5. 正解。三宅式記銘力検査は、日本で開発された代表的な記銘力検査の一つで、視覚性および言語性の記銘力(新しい情報を覚え、保持する能力、すなわち近時記憶)を評価するのに用いられます。
国試ポイント
この問題は、作業療法士として臨床で用いられる代表的な認知機能検査について、それぞれの検査がどの認知機能(特に記憶の種類)を主に評価するのかを正確に理解しているかを問うものです。特に、記憶検査と、注意・遂行機能などの他の高次脳機能検査との区別ができるかが重要です。
混同注意
記憶検査は、注意機能検査(例:ストループテスト)、遂行機能検査(例:WCST、BADS)、失語症検査(例:SLTA、WAB失語症検査)、半側空間無視検査(例:BIT、行動性無視検査)など、他の高次脳機能検査と混同されやすいです。また、記憶の種類(即時記憶、近時記憶、遠隔記憶、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶など)や、言語性記憶か非言語性記憶かによって適応される検査が異なることも理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、選択肢の検査が『どの認知機能領域を、どのような側面から評価しているのか』を具体的に想起し、設問で問われている認知機能(例:近時記憶)と直接的に結びつくかを判断することが重要です。特に、『主たる目的』が何かを見極める視点が必要です。
関連知識
代表的な記憶検査としては、MMSEの遅延再生、WMS-R(ウェクスラー記憶検査)、RBMT(リバーミード行動記憶検査)、ADAS-J cog(アルツハイマー病評価尺度日本版)などがあります。これらの検査の目的、評価内容、実施方法について学習しておくことが重要です。また、高次脳機能障害の評価全体を俯瞰し、各検査の適用範囲を理解することも求められます。