インシデントレポートで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
インシデントレポートは、医療事故につながる可能性があった「ヒヤリ・ハット」事例を広く収集し、その原因を分析することで、同様の事象の再発を防止するための重要な仕組みです。実際に患者に被害が及ばなかった場合や、治療が不要であった場合でも、潜在的なリスクを特定し、組織全体の安全性を高めるために報告が求められます。特に、医療スタッフ間の情報伝達ミスは、重大な事故の原因となる典型的なインシデントであり、速やかに報告し改善策を講じる必要があります。報告は原則として事象の当事者または発見者が行い、個人の責任追及ではなく、システム改善が主たる目的です。
選択肢ごとの解説
- 1. インシデントレポートは、原則としてその事象に遭遇した医療従事者本人、またはその事象を発見した者が報告するものです。責任者は報告の集約や分析、改善策の策定には深く関わりますが、一次的な報告義務者ではありません。正しくは:原則として、事象の当事者または発見者が報告します。選びやすい理由:管理者が最終的に内容を確認し、集計・分析するため、管理者が報告主体であると誤解しやすいです。混同注意:報告の提出先や集約者と、報告の作成・提出者を混同している可能性があります。
- 2. インシデントレポートは、医療安全の観点から自律的に行われるべきものであり、特定の職種の指示を必要としません。職種を問わず、誰もが報告できる体制が重要です。正しくは:医療安全の確保のため、医師の指示の有無にかかわらず、全ての医療従事者が報告します。選びやすい理由:多くの医療行為が医師の指示に基づいて行われるため、それに付随する報告も指示が必要だと考えてしまいがちです。混同注意:医療行為の実施要件とインシデントレポートの報告要件を混同している可能性があります。
- 3. 正解。インシデントレポートの対象は、実際に医療事故に至らなかった「ヒヤリ・ハット」事例や、患者に直接的な被害がなかった場合も含まれます。スタッフ間の伝達ミスは、重大な事故につながる可能性のあるヒヤリ・ハット事例の典型であり、再発防止のために報告が不可欠です。
- 4. インシデントレポートの目的は、事故を未然に防ぐための情報収集と分析です。治療の必要がなかったとしても、事故につながる可能性があった事象(ヒヤリ・ハット)は全て報告対象となります。実害の有無に関わらず、潜在的なリスクの特定と改善が重要です。正しくは:患者への治療の有無にかかわらず、事故につながりかねない事象は全て報告の対象です。選びやすい理由:患者に実害がなければ問題ないと安易に考えてしまいがちです。混同注意:医療事故とインシデント(ヒヤリ・ハット)の定義、および報告の目的を混同している可能性があります。
- 5. インシデントレポートは、個人の責任追及ではなく、組織全体のシステム改善を目的としています。当事者の反省の有無に関わらず、客観的な事実として事象を報告し、再発防止策を検討する必要があります。感情ではなく事実に基づいた対応が求められます。正しくは:当事者の反省の有無にかかわらず、客観的な事実として報告し、再発防止に役立てるべきです。選びやすい理由:倫理的な側面から反省しているならそれで十分だと考えてしまうことがあります。混同注意:個人の倫理観や感情と、組織的なリスク管理の概念を混同している可能性があります。
国試ポイント
インシデントレポートの目的(再発防止、システム改善)、報告対象(ヒヤリ・ハット全般、実害の有無は問わない)、報告者(当事者または発見者)、そして報告の意義(個人の反省ではなく組織的対応)について理解しているかを問う問題です。
混同注意
インシデント(ヒヤリ・ハット)と医療事故(アクシデント)の区別、インシデント報告の目的(責任追及ではない)、報告の主体と集約・分析の主体を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、「インシデントレポートの主目的は何か?(個人ではなく組織の改善)」「どのような事象が報告対象か?(実害の有無を問わず、事故につながる可能性があれば全て)」「報告の主体は誰か?(当事者・発見者)」の3点を中心に選択肢を検討しましょう。
関連知識
医療安全管理体制、ヒヤリ・ハット事例収集分析事業、医療事故調査制度、リスクマネジメント。