酸塩基平衡で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
過換気は体内の二酸化炭素(CO2)を過剰に排出するため、血液中のPaCO2が低下します。これにより、H+濃度が減少し、血液がアルカリ性に傾き、呼吸性アルカローシスとなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正常な動脈血のpHは7.35~7.45の範囲です。pH 6.4は重度の酸血症を示します。正しくは:正常の動脈血のpHは7.35~7.45である。選びやすい理由:pH値に関する知識の有無を問うシンプルな選択肢に見えるため、うろ覚えの数字で判断してしまう可能性がある。混同注意:血糖値や他の生体指標の正常値と混同したり、酸性・アルカリ性の概念と数値の関係を混同したりする可能性がある。
- 2. 嘔吐によって胃酸(塩酸)が大量に失われるため、体内のH+が減少し、代謝性アルカローシスを引き起こします。正しくは:嘔吐では代謝性アルカローシスになる。選びやすい理由:「嘔吐」という症状が体調不良全般を連想させ、アシドーシスのような重篤な病態に繋がるという漠然としたイメージから選んでしまう可能性がある。混同注意:下痢による重炭酸イオンの喪失(代謝性アシドーシス)と混同したり、体液喪失に伴う電解質異常の全体像と混同したりする可能性がある。
- 3. 正解。過換気によりCO2が過剰に排出されると、PaCO2が低下し、血液中のH+濃度が減少するため、呼吸性アルカローシスになります。正しくは:正解のため修正不要。選びやすい理由:正しい記述なので、知識があれば迷わず選べる。混同注意:呼吸性アシドーシスとアルカローシスの原因(CO2貯留か排出過剰か)を混同しないように注意が必要。
- 4. 呼吸性アルカローシスでは、腎臓は重炭酸イオンの排出を増やし、H+の再吸収を促すことで代償しようとします。そのため、尿はアルカリ性になります。正しくは:呼吸性アルカローシスでは尿はアルカリ性になる。選びやすい理由:腎臓の代償作用の方向性を誤解していると、酸性尿になると思い込む可能性がある。あるいは、身体が「酸を排出」しようとするため、尿も酸性になるという単純な誤解を生む可能性がある。混同注意:アシドーシス時の腎臓の代償作用(酸性尿)と混同しやすい。また、腎臓の代償作用のメカニズム(重炭酸イオン排泄とH+再吸収)を正確に理解していないと間違えやすい。
- 5. Kussmaul呼吸は、体内の酸を排出するために行われる深くて速い呼吸であり、代謝性アシドーシスの代償性呼吸として出現します。代謝性アルカローシスでは、CO2を貯留させるために呼吸回数は減少または浅くなる傾向があります。正しくは:代謝性アシドーシスではKussmaul呼吸がみられる。選びやすい理由:呼吸パターンと酸塩基平衡の関連性が問われているため、なんとなく関連があるように感じてしまう。Kussmaul呼吸が「呼吸による代償」であるという点で、アシドーシスとアルカローシスを混同しやすい。混同注意:Kussmaul呼吸が代謝性アシドーシスに対する代償反応であることを理解していないと、呼吸パターンと病態の組み合わせを誤解しやすい。特に、アシドーシスとアルカローシスのどちらにKussmaul呼吸が伴うのかを混同しやすい。
国試ポイント
酸塩基平衡の基本的な概念、各病態(アシドーシス、アルカローシス)の原因、身体の代償機構(呼吸性、腎性)について正確な知識が問われています。特に、症状と具体的な酸塩基平衡の異常、そして代償反応の組み合わせを理解しているかが重要です。
混同注意
アシドーシスとアルカローシス、呼吸性と代謝性の区別、各病態の原因と代償反応、そして正常値の範囲。特に、嘔吐と下痢がそれぞれ引き起こす酸塩基平衡の異常や、Kussmaul呼吸がどの病態に対する代償であるかは混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、まず各選択肢で提示されている症状や状態が、どのタイプの酸塩基平衡異常(呼吸性/代謝性、アシドーシス/アルカローシス)に繋がるのかを判断します。次に、その病態に対する身体の代償反応(呼吸性代償や腎性代償)が適切に記述されているかを確認します。特に、具体的な数値(pH正常値)や、特定の呼吸パターン(Kussmaul呼吸)がどの病態と関連するかを正確に覚えている必要があります。
関連知識
酸塩基平衡の評価指標(pH, PaCO2, HCO3-)、Henderson-Hasselbalch式、呼吸器系・腎臓の代償メカニズム、主な酸塩基平衡異常の分類と原因(例:糖尿病性ケトアシドーシス、慢性閉塞性肺疾患、腎不全、薬物中毒など)。