作業の選択の要素で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
作業療法における作業の選択要素は、作業分析(activity analysis)の視点と密接に関わります。これらは、作業の目的、対象者のニーズ、そして作業自体の特性を考慮して、治療効果を最大化するために作業を細分化して評価する際の視点です。具体的には、「時間」(所要時間、ペース)、「運動範囲」(身体運動の必要性、身体部位への影響)、「対人交流」(単独か共同か、コミュニケーションの有無)、「素材の特性」(使用する道具や材料の物理的・感覚的特性)などが挙げられます。これらは作業が持つ固有の性質や、遂行する上で必要となる具体的な側面を指します。「使役」は、他者に作業をさせる行為や、労働・奉仕といった目的を指す言葉であり、作業そのものの構成要素や分析項目としては不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。「使役」は、他者に作業を「させる」ことや、労働・奉仕といった目的を示す言葉であり、作業療法における「作業そのものを構成する要素」や「作業を分析・選択する際の具体的な側面」としては適切ではありません。作業を選択する際の要素は、その作業が持つ性質や要求される能力を指します。
- 2. 作業を遂行するのに必要な時間や、その作業を行う適切な時間帯は、クライエントの注意持続力、疲労度、生活リズムなどを考慮する上で重要な要素です。正しくは:適切な選択肢であるため、修正不要です。選びやすい理由:作業の実行可能性や効果に直結するため、非常に重要な要素と認識されやすいです。混同注意:活動の継続性やペース配分と関連しますが、「時間」そのものが独立した要素です。
- 3. 作業を行う際に動かす関節の範囲や必要な筋活動の程度は、身体機能の回復や維持を目指す目的において、作業選択の根幹をなす要素です。正しくは:適切な選択肢であるため、修正不要です。選びやすい理由:身体機能へのアプローチが多い作業療法では、直感的に重要な要素として選びやすいです。混同注意:筋力、協調性、バランスなど他の身体機能要素と密接に関連しますが、運動範囲は個別の分析項目です。
- 4. 作業が単独で行われるか、他者との協力が必要か、あるいはコミュニケーションを伴うかといった対人交流の側面は、社会性の向上や対人関係スキルの獲得を目指す場合に不可欠な要素です。正しくは:適切な選択肢であるため、修正不要です。選びやすい理由:精神科領域や小児領域など、社会性への介入が重視される場合、特に重要な要素と認識されます。混同注意:コミュニケーション能力、集団参加、社会的役割などと関連しますが、対人交流はそれらを評価・選択する際の広い概念です。
- 5. 作業で使用する材料(例:紙、木材、粘土)の質感、硬さ、重さ、加工しやすさなどは、触覚刺激、微細運動、認知機能、問題解決能力に影響を与えるため、作業選択の重要な考慮点です。正しくは:適切な選択肢であるため、修正不要です。選びやすい理由:手工芸や調理など具体的な作業を想定すると、素材の選択が作業の難易度や感覚入力に大きく影響すると理解しやすいためです。混同注意:道具の特性、環境要因、感覚刺激などと関連しますが、素材そのものの特性は独立した分析項目です。
国試ポイント
作業療法士国家試験では、作業分析や作業選択の基本的な概念が問われます。特に、作業のどのような側面が治療的効果に結びつくのか、また、どのような視点から作業を評価するのかについて、具体的な用語と結びつけて理解しているかが試されます。この問題では、一般的な用語と専門用語の区別、および作業分析の具体的な視点を問うことで、受験者の基礎知識を評価しています。
混同注意
「使役」は、文脈によっては「仕事を与えること」や「役割を担わせること」といった意味で用いられることがあり、広義には「作業」と関連付けて捉えられがちです。しかし、作業療法における「作業の選択要素」は、作業が持つ内在的な特性や、その作業を遂行する上で必要となる具体的な能力・環境要因を指すため、「使役」という言葉は直接的に合致しません。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、受験者は作業分析の具体的な項目(例:身体機能、認知機能、感覚、社会性、文化的側面、環境要因など)が選択肢として提示され、「この作業のどの要素に着目しているか」といった形式で問われる可能性があります。また、特定の疾患やクライエントの状況に応じた作業選択の妥当性を問う応用問題も考えられます。
関連知識
作業分析の要素には、他にも「空間」(広さ、配置)、「道具」(種類、使い方)、「認知要求」(記憶、注意、問題解決)、「感覚刺激」(視覚、聴覚、触覚)、「文化的意味」など多岐にわたります。これらを総合的に評価することで、個々のクライエントに最適な作業を選択することが可能になります。