廃用症候群によって低下しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
廃用症候群では、循環血液量の減少や自律神経系の変化により、安静時の心拍数は低下するのではなく、むしろ増加する傾向にあります。心臓が少ない血液量でも身体に必要な酸素を供給しようと代償的に働くためです。その他の選択肢である筋力、肺活量、身体活動性、胃腸管運動は、いずれも廃用症候群によって低下する項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 廃用症候群では、活動量の減少により骨格筋の萎縮が進行し、筋力が低下します。特に下肢の抗重力筋に顕著に現れます。正しくは:筋力は低下します。選びやすい理由:廃用症候群の代表的な症状であり、誰もが容易に想像できるため、正答として選びにくいでしょう。混同注意:活動量減少による筋萎縮と、加齢によるサルコペニアなど他の原因による筋力低下。
- 2. 長期臥床や活動不足により呼吸筋が弱まり、胸郭の動きが制限されることで、肺活量(最大吸気後の最大呼気量)は低下します。正しくは:肺活量は低下します。選びやすい理由:直接的なイメージが湧きにくいかもしれませんが、呼吸機能の低下は廃用症候群の重要な要素です。混同注意:肺疾患による肺機能低下と、廃用による呼吸筋力低下・胸郭可動性低下。
- 3. 正解。廃用症候群、特に長期臥床状態では、安静時の心拍数はむしろ増加する傾向にあります。これは、循環血液量の減少や起立性低血圧への代償反応として、心臓がより多くの血液を送り出そうとするためです。正しくは:心拍数は低下しません(むしろ増加傾向が見られます)。選びやすい理由:安静時心拍数が低下するのは、心肺機能が向上したアスリートなどに見られる現象であり、廃用症候群で身体機能が低下するというイメージから、心拍数も「低下する」と誤解しやすいです。混同注意:安静時心拍数の低下(心肺機能向上)と、廃用症候群による心機能への影響。
- 4. 廃用症候群は、活動量の減少、つまり身体活動性の低下によって引き起こされる症候群であるため、身体活動性自体が低下します。正しくは:身体活動性は低下します。選びやすい理由:廃用症候群の定義そのものであり、明らかに低下するため、正答とは考えにくいでしょう。混同注意:身体活動性そのものと、それによって引き起こされる他の身体機能の低下。
- 5. 活動量の減少や臥床状態が続くと、消化管の蠕動運動が不活発になり、便秘などの胃腸管運動機能の低下が見られます。正しくは:胃腸管運動は低下します。選びやすい理由:直接的な関連が見えにくいかもしれませんが、自律神経系の変化や腹部の圧迫減少なども影響します。混同注意:消化器疾患による運動機能低下と、廃用による全身機能低下の一環としての消化管運動低下。
国試ポイント
廃用症候群が身体の様々な系に与える影響について、具体的な生理的変化を正確に理解しているかを問う問題です。特に、直感とは異なる生理反応(例:心拍数の増加)を知っているかがポイントになります。
混同注意
廃用症候群における「低下」という言葉に引きずられ、すべての機能が低下すると誤解しがちです。特に心拍数については、健康な状態でのトレーニングによる心拍数低下のイメージと混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、廃用症候群によって『増加するもの』『変化しないもの』、あるいは『起こりやすい合併症』など、低下以外の側面を問う問題が出る可能性があります。各身体機能の具体的な生理学的変化を正確に把握しているかを確認しましょう。
関連知識
廃用症候群による循環器系への影響(循環血液量減少、起立性低血圧、心拍数増加傾向、血管反応性低下)、筋骨格系への影響(筋萎縮、骨粗鬆症)、呼吸器系への影響(肺活量低下、肺炎リスク増加)、消化器系への影響(便秘)、精神神経系への影響(認知機能低下、うつ状態)。