16歳の男子。乳幼児健診で異常を指摘されたことはなかったが、乳幼児期、母親の後追いをせず、履いている靴がボロボロになっても他の靴では嫌だと強いこだわりを見せた。大人びた話し方をし、小学校では自分の関心事について熱中して一方的に話すために、友達から避けられるようになって孤立していた。中学校入学後は不登校になり、ゲームに熱中するようになったため、心配した母親が児童思春期専門の医療機関を受診させた。評価に用いるテストとして適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
症例は16歳の男子で、乳幼児期からの発達上の特性(後追いをしない、強いこだわり、大人びた話し方、一方的な発話、孤立)が示されており、これらは自閉スペクトラム症(ASD)の特性と合致します。ASQ(Ages and Stages Questionnaires)は、乳幼児期の発達スクリーニングに用いられる質問紙であり、発達の遅れや懸念のある領域を早期に特定するのに有効です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ASQは乳幼児期の発達スクリーニングに用いられる質問紙であり、症例で示された乳幼児期からの発達特性を評価する初期段階のツールとして適切である。選びやすい理由:症例が乳幼児期からの発達特性を示しているため、適切なスクリーニングツールとして選択しやすい。混同注意:確定診断に用いるツールや、学童期以降の評価ツール。
- 2. HTPテスト(家-木-人テスト)は投影法による心理検査であり、精神病理やパーソナリティの評価に用いられるが、発達障害のスクリーニングには直接的ではない。正しくは:HTPは個人の内面や感情を間接的に評価するための投影法検査であるため、発達特性のスクリーニングにはより客観的な質問紙や観察が適している。選びやすい理由:心理検査の一つであるため、漠然と「評価テスト」として選択肢に入ってくる可能性がある。混同注意:客観的な発達評価ツール。
- 3. WAIS-Ⅲ(ウェクスラー成人知能検査 第3版)は、成人の知能を測定する個別式の知能検査である。16歳は適用年齢内だが、知能検査であり、発達障害のスクリーニングを主目的とするものではない。症状からASDが疑われる場合、知能検査も有用だが、評価に用いる最初のテストとしては不適切である。正しくは:WAIS-Ⅲは知能指数を測定し、認知特性を把握するために用いられる。発達特性の評価には、ASD診断のための専門的な評価ツールや行動観察がより直接的である。選びやすい理由:16歳という年齢から、成人向けの知能検査を選択肢として考慮する可能性がある。発達障害の診断過程で知能検査が実施されることもあるため、誤って選択しやすい。混同注意:発達特性のスクリーニングや診断に特化した検査。知能検査と発達評価の目的の混同。
- 4. バウムテストも投影法による心理検査であり、描画を通してパーソナリティや精神状態を評価するが、発達障害のスクリーニングには直接的ではない。正しくは:バウムテストは投影法検査であり、個人の内面的な葛藤やパーソナリティの特徴を評価する。発達特性のスクリーニングには、行動観察や保護者からの情報収集がより重要となる。選びやすい理由:HTPと同様に、心理検査の一つとして選択肢として考慮される可能性がある。混同注意:客観的な発達評価ツール。
- 5. CAARS (Connersʼ Adult ADHD Rating Scales) は、成人期における注意欠如・多動症(ADHD)の評価尺度であり、この症例の主な症状(強いこだわり、一方的な発話、孤立など)はADHDよりも自閉スペクトラム症を強く示唆する。また、乳幼児期からの発達特性をスクリーニングする目的とは異なる。正しくは:CAARSはADHDの評価に特化しているが、本症例の症状はASDの特性が強く、また評価の目的が乳幼児期からの発達特性の全体的なスクリーニングであるため、より広範囲な発達評価ツールが適切である。選びやすい理由:不登校やゲーム熱中という行動から、ADHDの可能性を連想し、ADHDの評価尺度であるCAARSを選択してしまう可能性がある。また、発達障害全般を評価するツールと誤解されやすい。混同注意:ASDの評価尺度や、乳幼児期からの発達全般をスクリーニングするツール。
国試ポイント
乳幼児期における発達障害のスクリーニングツールとその適用年齢を理解すること。特にASQはスクリーニング段階で用いられるツールであることを覚える。
混同注意
ASQはスクリーニングツールであり、確定診断には至らない。確定診断には詳細な発達評価や専門家による診察が必要となる。
次に同じ論点が出たら
乳幼児期の「発達のスクリーニング」を問う問題が出た場合、ASQが適切であると判断する。また、症例の年齢や示されている特性が発達障害を疑わせるものであれば、その段階に応じた評価ツールを選択する。
関連知識
ASQは保護者が記入する質問紙であり、コミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決、個人-社会の5つの領域で発達を評価する。早期介入の必要性を判断するのに役立つ。スクリーニングで陽性だった場合、より詳細な評価や専門機関への紹介が検討される。