68歳の男性。半年前から睡眠中に奇声をあげたり、気分が沈みがちになることがあった。次第に物忘れや立ちくらみ、手の震えが出現した。最近、「玄関に小人が立っている」と言うことが増えたため、家族に付き添われて精神科病院に入院し、作業療法が開始された。この患者にみられる特徴はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
設問の事例は、睡眠時の異常行動(レム睡眠行動障害)、抑うつ、物忘れ、立ちくらみ(自律神経症状)、手の震え(パーキンソニズム)、幻視(「玄関に小人が立っている」)という特徴的な症状を呈しており、レビー小体型認知症を示唆しています。レビー小体型認知症の主要な臨床特徴として、パーキンソニズム(動作緩慢など)と、認知機能の変動(日によって症状が大きく変わる)が挙げられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。レビー小体型認知症では、パーキンソン病に似た運動症状として、動作緩慢、固縮、振戦などが高頻度で出現します。
- 2. 正解。レビー小体型認知症の認知機能障害は、覚醒レベルや注意力によって変動しやすいことが特徴です。良い日と悪い日の差が大きいことがあります。
- 3. 食事の献立に対する強いこだわりは、広範囲な認知症患者に見られることがありますが、レビー小体型認知症に特異的な主要症状ではありません。正しくは:レビー小体型認知症では、むしろ幻覚やせん妄により食事摂取が困難になることがあります。選びやすい理由:認知症患者が日常動作にこだわりを示すことは一般的であるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:他の認知症(例:アルツハイマー型認知症)の行動心理症状と混同しやすいかもしれません。
- 4. 一方的な要求は認知症全般に見られる行動の一つですが、レビー小体型認知症に特徴的な中核症状ではありません。むしろ、抑うつや意欲低下が先行することが多いです。正しくは:レビー小体型認知症では、抑うつや無気力、不安が強い傾向があります。選びやすい理由:認知症の行動心理症状として一般的な項目であるため、正しいと判断してしまう可能性があります。混同注意:前頭側頭型認知症などで見られる脱抑制や常同行動と混同しやすいかもしれません。
- 5. レビー小体型認知症では、注意機能障害や視空間認知障害、幻視などにより集中力の維持が困難であり、特に症状の変動があるため、外部刺激の影響を受けやすいです。正しくは:環境からの刺激があると、集中力が途切れやすくなるのが特徴です。選びやすい理由:「集中できる」という肯定的な表現から、認知症の初期段階をイメージして誤って選ぶ可能性があります。混同注意:アルツハイマー型認知症の初期段階と比較して、レビー小体型認知症では注意機能障害がより顕著です。
国試ポイント
レビー小体型認知症の主要な臨床症状と診断基準に関する知識が問われています。特に、中核症状である認知機能の変動、パーキンソニズム、幻視、レム睡眠行動障害を理解しているかを確認しています。
混同注意
他の認知症型(アルツハイマー型、血管性、前頭側頭型など)の症状と混同しやすい。特にパーキンソニズムはパーキンソン病、幻視はせん妄と鑑別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、レビー小体型認知症の初期症状と進行に伴う症状の変化、または鑑別が必要な疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、せん妄など)との比較問題が出題される可能性があります。また、作業療法介入のポイント(幻視への対応、転倒予防、日中の活動維持など)も問われるかもしれません。
関連知識
レビー小体型認知症の診断基準(DLB診断基準)、レム睡眠行動障害、パーキンソニズム、幻視の具体的な症状、自律神経症状(起立性低血圧など)。治療としては、ドネペジルなどのコリンエステラーゼ阻害薬が有効な場合があること、抗精神病薬の使用には注意が必要なこと(薬剤過敏性)。