回復初期のうつ病患者への作業療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
回復初期のうつ病患者は、心身ともに疲労しやすく、集中力や持続力が低下しています。そのため、無理なく取り組めるよう、一度あたりの活動時間を短く設定し、達成感を得やすい簡単な活動から始めることが重要です。これにより、自己効力感を少しずつ高めていくことを目指します。
選択肢ごとの解説
- 1. 回復初期のうつ病患者は集中力や判断力が低下していることが多いため、詳細すぎる指示はかえって負担となり、混乱を招く可能性があります。簡単な指示から始めるのが適切です。正しくは:指示は簡潔で分かりやすく、一度に伝える量を少なくする。選びやすい理由:丁寧に教えることが良いと考えがちですが、回復初期のうつ病患者には情報過多が負担になります。混同注意:健常者や回復期後期、あるいは他の疾患(例:高次脳機能障害)で詳細な指示が必要な場合と混同しやすい。
- 2. 回復初期のうつ病患者は、意欲の低下や決断力の欠如が見られることが多く、自己決定を求めすぎると負担や苦痛を感じやすいです。まずは治療者が選択肢を限定し、簡単な選択から始めるべきです。正しくは:最初は治療者が活動内容を提示し、少しずつ簡単な選択から自己決定の機会を増やしていく。選びやすい理由:自己決定を促すことは自立支援の基本ですが、うつ病の回復初期では時期尚早です。混同注意:回復期後期や、意欲を向上させたい他の精神疾患患者に対するアプローチと混同しやすい。
- 3. 回復初期のうつ病患者は、不眠や食欲不振、抑うつ気分などの症状が強く、励ましがプレッシャーとなり、かえって自己肯定感を低下させる可能性があります。共感的な態度で接することが重要です。正しくは:励ますのではなく、患者の感情に寄り添い、共感的な態度で接する。選びやすい理由:一般的に「励まし」は良いことと思われがちですが、うつ病患者には逆効果になることがあります。混同注意:意欲低下はあるが、うつ病ではない患者に対する一般的な支援方法と混同しやすい。
- 4. 正解。回復初期のうつ病患者は、集中力、持続力、意欲が低下しており、疲労しやすい状態にあります。そのため、短時間で完了できる活動から始め、達成感を味わいやすくすることが重要です。
- 5. 回復初期のうつ病患者は、集中力や持続力が低下しているため、長期間かかる作業は負担が大きく、途中で投げ出してしまうと失敗感を抱きやすくなります。短期間で達成感を味わえる作業から始めるべきです。正しくは:短期間で区切りがつき、達成感を味わいやすい作業を勧める。選びやすい理由:継続できることは治療において重要ですが、回復初期には達成感が得やすい短期間の作業が優先されます。混同注意:回復期後期や、目標設定を重視する他の疾患患者へのアプローチと混同しやすい。
国試ポイント
うつ病の回復段階に応じた作業療法の基本的なアプローチが問われています。特に回復初期の患者の特性(意欲低下、集中力・持続力低下、疲労しやすさ)を理解し、負担をかけずに達成感を促す介入原則を把握しているかが重要です。
混同注意
うつ病患者への介入は、その病期(急性期、回復期、維持期)によって内容が大きく異なります。特に回復初期の慎重なアプローチと、回復期後期や維持期のより積極的なアプローチを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、うつ病患者に対する作業療法に関する問題が出題された場合、まず『患者がどの病期にあるか』を判断し、その病期に合わせた適切な介入原則(例:急性期は休息と環境調整、回復期初期は短時間・簡単な活動、回復期後期は役割再獲得・社会参加支援)を適用できるかを確認する。
関連知識
うつ病の症状とその病態生理、抗うつ薬の効果と副作用、リエゾン精神医学、ストレスマネジメント、認知行動療法、精神科リハビリテーションにおける作業療法の役割。