パニック障害に対する作業療法導入初期の作業療法士の対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
パニック症の導入期では、パニック発作への対処と不安の軽減が最優先されます。リラクセーション技法は、患者が自己で不安や身体症状をコントロールする感覚(自己効力感)を高め、発作への恐怖を軽減するために非常に有効な手段です。これにより、患者は安全な環境で徐々に活動に取り組む準備ができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。パニック症の初期段階では、発作に対する不安や恐怖が非常に強く、身体症状への対処が優先されます。リラクセーションは不安や身体症状を軽減し、自己効力感を高める上で有効な手段であり、導入期に適しています。
- 2. パニック症の導入期にある患者さんは、人前での発作を恐れる広場恐怖を伴うことが多く、集団での活動や役割を持つことは強いストレスとなり、状態を悪化させる可能性があります。正しくは:症状が安定し、他者との交流に自信が持てるようになってから、段階的に集団活動や役割付与を検討します。選びやすい理由:役割を持つことは責任感や自己肯定感を育む一般的な治療効果があるため、一見良さそうに見えます。混同注意:うつ病など他の精神疾患で、活動性低下が問題となるケースでの介入と混同しやすいです。
- 3. 導入期では、まず発作への対処法や不安軽減に焦点が当てられます。自己洞察は、病気の背景や心理的な要因を理解する上で重要ですが、初期段階で深い洞察を促すと、かえって不安が増大する可能性があります。症状が安定し、心理的な準備が整ってから行うべきです。正しくは:症状が安定し、病気への理解を深める段階で、自己洞察を促す活動を導入します。選びやすい理由:精神科リハビリテーションにおいて自己洞察は重要な要素であり、良質な作業活動は自己洞察を促すため、適切な介入に思えるかもしれません。混同注意:治療後期での認知行動療法的なアプローチや、他の精神疾患の治療目標と混同しやすいです。
- 4. パニック症の患者さんは、心拍数上昇などの身体感覚をパニック発作の前兆と捉えやすく、スポーツ活動のような身体負荷の高い活動は、発作への恐怖や不安を増強させる可能性があります。導入期には適していません。正しくは:症状が安定し、身体感覚への過敏性が軽減されてから、徐々に身体活動を導入し、その中で体力向上を図ります。選びやすい理由:運動は全般的に心身の健康に良い影響を与えるため、良い介入だと誤解しやすいです。混同注意:うつ病や統合失調症などで身体活動性が低下しているケースや、不安障害の中でも全般性不安障害など、身体感覚への過敏性が低いケースへの介入と混同しやすいです。
- 5. 患者さんがパニック発作への不安を訴えることは、病気の特徴であり、そのような状況でただ中止するのではなく、不安を軽減するための支援(例:リラクセーション、不安への対処法の指導、環境調整)を行うのが作業療法士の役割です。安易な中止は、患者の回避行動を強化し、治療機会を奪うことになります。正しくは:パニック発作への不安を訴える場合は、患者さんの訴えを傾聴し、安全な環境を提供しながら、その場で実践できる不安対処法(例:深呼吸、漸進的筋弛緩法)を一緒に試したり、必要に応じて作業活動を変更・中断したりして、患者さんが安心して治療に取り組めるよう支援します。選びやすい理由:患者さんの苦痛を取り除くことは重要なので、中止が一時的な解決策に見えるかもしれません。混同注意:患者さんの身体的な安全が最優先される緊急時対応と混同しやすいです。精神的な不安は、適切に介入することで乗り越えられる可能性があります。
国試ポイント
精神科作業療法における各疾患の病態理解と、導入期、中期、終末期といった治療段階に応じた適切な介入方法が問われています。特にパニック症では、発作への対処と回避行動の是正が初期の重要な課題であることを理解しているかが試されます。
混同注意
他の精神疾患(うつ病、統合失調症など)の初期介入や、パニック症の中期以降の介入と混同しやすいです。特に、集団活動や身体活動は精神科リハビリテーションで一般的に用いられますが、パニック症の導入期では慎重な検討が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、疾患の特性(特に不安や恐怖の対象)と治療段階(導入期、中期、終末期)を照らし合わせ、その時期に最も効果的かつ安全な介入は何かを判断する必要があります。
関連知識
パニック症の症状(パニック発作、予期不安、広場恐怖)、認知行動療法(暴露療法、呼吸法、リラクセーション法)、不安障害の病態生理、作業療法の段階的アプローチ。