作業療法で提供する課題の難易度を上げる段階付けとして適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
作業療法の課題設定における段階付けでは、クライエントの能力向上に合わせて課題の難易度を適切に調整することが重要です。意思決定の機会が多い課題は、より高度な認知機能(判断力、問題解決能力、計画性など)を要求するため、難易度が高いと判断されます。したがって、意思決定の機会が少ない課題から徐々に意思決定の機会が多い課題へと移行させることは、認知機能の向上を目指す上での適切な難易度設定の原則に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 難易度を上げる場合、工程数は『少ない課題から多い課題へ』段階付けを行うのが適切です。工程が少ない方が難易度が低いと一般的に考えられます。正しくは:工程数が少ない課題から多い課題へ段階付ける。選びやすい理由:工程が多い課題の方が難易度が高いという直感から、『多い方から少ない方へ』と誤解しやすい。しかし、これは難易度を下げる方向への段階付けである。混同注意:難易度を下げる方向への段階付けと混同しやすい。
- 2. 難易度を上げる場合、活動時間は『短い課題から長い課題へ』段階付けを行うのが適切です。短時間でできる活動の方が難易度が低いと一般的に考えられます。正しくは:作業時間が短い課題から長い課題へ段階付ける。選びやすい理由:長時間集中を要する活動が難しいという直感から、『長い方から短い方へ』と誤解しやすい。しかし、これも難易度を下げる方向への段階付けである。混同注意:持久力を要する課題の難易度と混同しやすいが、ここでは単に『時間』が指標である。
- 3. 正解。意思決定の機会が多い課題ほど、思考力や判断力、選択能力が求められるため、難易度は高くなります。そのため、『意思決定が少ない課題から多い課題へ』と進めるのは、難易度を上げる段階付けとして適切です。
- 4. 難易度を上げる場合、姿勢は『安定した課題から不安定となる課題へ』段階付けを行うのが適切です。安定した姿勢の方が難易度が低いと一般的に考えられます。正しくは:姿勢が安定した課題から不安定となる課題へ段階付ける。選びやすい理由:不安定な姿勢での活動が難しいという直感は正しいが、これは難易度を下げる方向への段階付けである。混同注意:バランストレーニングなど、目的とする介入と混同しやすい。
- 5. 難易度を上げる場合、使用する関節数は『少ない課題から多い課題へ』段階付けを行うのが適切です。多くの関節を使う課題ほど、運動協調性や制御が複雑になり、難易度は高くなります。正しくは:運動の際に用いる関節の数が少ない課題から多い課題へ段階付ける。選びやすい理由:多くの関節を使う方が難しいという直感は正しいが、これは難易度を下げる方向への段階付けである。混同注意:単純な運動から複合的な運動への段階付けと混同しやすいが、これは『数』の指標である。
国試ポイント
作業療法における課題の難易度設定、特に段階付けの原則を理解しているかが問われています。身体機能だけでなく、認知機能や精神機能の側面から見た難易度調整の視点が重要です。
混同注意
各選択肢が「逆」の方向を示しているため、難易度を「上げる」のか「下げる」のかを正確に判断する必要があります。特に、認知的な側面での難易度調整の理解が不足していると誤答につながりやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、身体的な運動負荷だけでなく、認知的・心理社会的な課題の難易度をどのように調整するか(例:環境の複雑さ、予測不可能性、社会的交流の有無など)という視点も確認する可能性があります。また、活動分析を通じて具体的な課題のどの側面を調整すれば難易度が変化するかを理解しているかが問われるでしょう。
関連知識
作業療法の評価(FIM、バーセルインデックス、COPMなど)、活動分析、作業遂行における要素(身体機能、認知機能、精神機能、環境要因)、治療的介入の原則(漸進的負荷の原則など)。