図のような腕神経叢損傷で障害される動きはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
図の損傷部位はC5とC6の神経根が合流してできる上神経幹の損傷を示唆しています。上神経幹が障害されると、筋皮神経、腋窩神経、橈骨神経の一部に影響が及び、特にC5-C6支配の肘関節屈筋群(上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋)が麻痺するため、肘関節の屈曲が障害されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩甲帯の挙上は主に僧帽筋(副神経支配)や肩甲挙筋(C3-C5支配)が関与しますが、図の損傷部位は主に上神経幹(C5, C6)に影響を与えるため、直接的な主要な障害とはなりにくいです。正しくは:肩甲帯の挙上は、僧帽筋(副神経)や肩甲挙筋(C3-C5)の麻痺で障害されます。選びやすい理由:C5神経根は肩甲挙筋にも関与するため、一部の機能を想起しやすいため。混同注意:C5単独の神経根症、または上神経幹よりも上位の損傷。
- 2. 正解。上神経幹(C5, C6)が損傷されると、筋皮神経(C5, C6, C7)が主に支配する上腕二頭筋や上腕筋が麻痺するため、肘関節の屈曲が著しく障害されます。選びやすい理由:(正答なので特になし)混同注意:他の運動機能の障害。
- 3. 手関節の背屈は主に橈骨神経(C5-Th1)が支配する伸筋群(長・短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋など)によって行われます。上神経幹損傷では橈骨神経の一部が影響を受ける可能性はありますが、背屈全体が高度に障害されるのは稀で、下神経幹損傷(C8, Th1)や橈骨神経自体の損傷でより顕著です。正しくは:手関節の背屈は、橈骨神経麻痺で障害されます。選びやすい理由:橈骨神経がC5からも繊維を受け取るため、一部影響があるかと考えるため。混同注意:下神経幹損傷(クルンプケ麻痺)や橈骨神経麻痺。
- 4. 肩関節の外転は主に三角筋(腋窩神経:C5, C6)と棘上筋(肩甲上神経:C5, C6)によって行われます。上神経幹損傷はC5, C6に影響するため、これらの神経が障害され、肩関節の外転は著しく障害されます。しかし、この選択肢は肘関節の屈曲と並んで上神経幹損傷の代表的な症状であり、どちらも正解となりうるため、より直接的かつ上位型損傷の特徴として挙げられる肘関節の屈曲が優先される場合があります。正しくは:肩関節の外転は、腋窩神経や肩甲上神経の麻痺で障害されます。選びやすい理由:エルブ麻痺の代表的な症状の一つであるため、迷いやすい。混同注意:肘関節屈曲以外の他の上神経幹損傷による症状。
- 5. 肩関節の水平伸展は主に広背筋(胸背神経:C6, C7, C8)や三角筋後部線維(腋窩神経:C5, C6)によって行われますが、上神経幹損傷では広背筋への影響は比較的限定的であり、三角筋後部線維への影響も、水平伸展という複雑な動き全体を大きく障害するほどではありません。肩関節の水平伸展は、広背筋や三角筋後部線維の麻痺で障害されます。正しくは:肩関節の水平伸展は、広背筋(胸背神経)や三角筋後部線維(腋窩神経)の麻痺で障害されます。選びやすい理由:三角筋が関与するため、C5,C6支配を連想しやすいため。混同注意:腋窩神経単独損傷。
国試ポイント
腕神経叢の解剖と各構成要素の支配筋、それによって起こる運動機能障害を理解する。
混同注意
胸郭出口症候群や他のレベルの腕神経叢損傷との鑑別。
次に同じ論点が出たら
腕神経叢の損傷部位が示された場合、その部位から派生する神経が支配する筋の運動機能を確認し、対応する選択肢を選ぶ。
関連知識
上位型(エルブ・デュシェンヌ麻痺)と下位型(クルンプケ麻痺)の病型、それぞれで障害される神経と臨床症状(例:上位型では肩関節の外転・外旋、肘関節屈曲が障害、下位型では手内筋麻痺が主)。