11種類の筆記検査と4種類の器具検査から9つの適正能を測定し、適職を吟味することができる職業評価はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
GATB(General Aptitude Test Battery:一般職業適性検査)は、知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手の器用さの9つの適性能力を、11種類の筆記検査と4種類の器具検査によって総合的に測定する厚生労働省開発の職業適性検査です。個人の持つ潜在的な職業能力を客観的に評価し、適切な職業選択や職業指導に資する情報を提供します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。GATBは、厚生労働省が開発した総合的な職業適性検査であり、設問の通り11種類の筆記検査(ペーパーテスト)と4種類の器具検査(実技テスト)から、以下の9つの適性能力(知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手の器用さ)を測定します。この結果を基に、個人の職業適性を評価し、職業選択や職業指導の参考に利用されます。
- 2. MODAPTSは、作業分析や時間測定に用いられる標準時間設定のためのシステムです。人の動作を基本動作要素に分解し、それぞれの標準時間を積算することで、作業に必要な時間を客観的に算出します。これは個人の適性能力を測定する職業評価ツールではなく、作業効率化や賃金設定などに利用される手法です。正しくは:MODAPTSは、動作要素を分析し、作業時間を標準化するための手法である。選びやすい理由:「作業」や「効率」といった言葉から職業評価に関連すると思われがちですが、目的が大きく異なります。混同注意:職業評価や適性検査と混同しやすいが、これは作業測定・作業分析の手法であり、個人の適性を直接測定するものではありません。
- 3. マイクロタワー法は、主に脳機能障害者の高次脳機能、特に遂行機能障害(計画性、問題解決能力など)を評価するために用いられる検査です。特定の構成課題を通して、認知機能の側面を評価しますが、設問にあるような多角的な職業適性全体を測定するものではありません。正しくは:マイクロタワー法は、高次脳機能障害における遂行機能などを評価する検査である。選びやすい理由:「タワー」という言葉や作業課題を用いることから、作業能力評価と関連する印象を持つかもしれませんが、対象が異なります。混同注意:ワークサンプル法や他の作業能力評価と混同しやすいですが、これは脳機能障害に特化した評価であり、一般的な職業適性を評価するものではありません。
- 4. ワークサンプル幕張版は、実際の職務内容に近い課題(ワークサンプル)を通して、対象者の作業遂行能力や職業適性を評価するツールです。しかし、設問に記載されている「11種類の筆記検査と4種類の器具検査から9つの適性能力」という具体的な検査構成を持つものではなく、GATBとは異なるタイプの職業評価です。特定の職種や作業能力の評価に特化しています。正しくは:ワークサンプル幕張版は、実際の職務内容に即した課題を通して、対象者の作業遂行能力や職業適性を評価する。選びやすい理由:「ワークサンプル」という言葉から職業評価ツールであることは正しいですが、GATBの具体的な検査構成とは異なるため、誤りです。混同注意:GATBのような多角的な適性検査と、特定の作業遂行能力を見るワークサンプル法を混同しやすいです。
- 5. 内田クレペリン精神検査は、連続した簡単な足し算作業を通じて、作業能力の量と質、作業曲線の変化パターンから、その人の性格や行動特性、精神機能の状態を評価する検査です。設問が問うているような、知的能力、運動能力などを含む多角的な適性能力を包括的に測定するものではありません。正しくは:内田クレペリン精神検査は、連続した計算作業を通して、作業の量と質の変化から性格や行動特性、精神機能の状態を評価する。選びやすい理由:採用試験などで広く用いられるため職業評価と関連すると考えがちですが、適性能力の測定とは目的が異なります。混同注意:職業適性検査全般と混同しやすいですが、これは精神機能や性格特性を評価する検査です。
国試ポイント
作業療法士国家試験では、職業評価に関する各種検査の名前、目的、特徴、評価項目、対象者、適用範囲などが頻繁に問われます。特にGATB、VRT(職業レディネス・テスト)、各種ワークサンプル法、職業興味検査といった代表的な評価ツールの詳細な知識は必須です。各検査の具体的な構成や測定項目、評価の着眼点を正確に理解しておくことが重要です。
混同注意
GATBと混同しやすいのは、職業評価に用いられる他の検査(VRT、ワークサンプル法、職業興味検査など)、作業測定の手法(MODAPTS、MTMなど)、特定の脳機能評価(マイクロタワー法など)、精神機能評価(内田クレペリン精神検査など)です。それぞれの目的、評価項目、実施方法の違いを明確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず問題文がどのような『能力』や『目的』の評価を求めているのかを正確に読み取ることが重要です。特に検査の具体的な構成要素(例:筆記・器具検査の種類や数、測定される適性能力の数や種類)が示されている場合は、それが特定の検査の特徴と一致するかを判断の鍵とします。各検査の基本情報(名称、開発者、目的、対象、評価項目、実施方法)をしっかり確認してください。
関連知識
GATBの9つの適性能力それぞれの定義や、VRT(職業レディネス・テスト)の「7つの職業分野」と「8つの基礎的職業行動」、ワークサンプル法の具体的な種類や特徴、職業興味検査(KVIS-IIなど)の意義、就労支援における職業評価の位置づけとプロセスについても理解しておく必要があります。作業測定については、MODAPTSだけでなくMTM(Methods-Time Measurement)などもあり、それぞれの目的を明確に区別することが重要です。