うつ病について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
うつ病の診断と治療を始める前に、患者が過去に躁病エピソードを経験していないかを確認することは極めて重要です。これは、躁病エピソードの既往がある場合、単極性うつ病ではなく双極性障害のうつ状態である可能性が高く、その場合、治療法(特に薬物療法)が大きく異なるためです。双極性障害のうつ状態に抗うつ薬を単独で投与すると、躁転を誘発したり、病状を悪化させたりするリスクがあるため、診断の鑑別は必須となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 脱感作法は主に恐怖症やPTSDなどの不安障害の治療に用いられる技法であり、うつ病の主要な治療法ではありません。正しくは:うつ病には認知行動療法や対人関係療法などが有効です。選びやすい理由:心理療法の一つであるため、一見すると有効なように思えるかもしれません。混同注意:暴露療法や系統的脱感作法といった不安障害の治療法と混同しやすいです。
- 2. うつ病の治療において心理教育は非常に重要です。患者さんやその家族に病気の性質、症状、治療法、再発予防などについて情報を提供し、病気への理解を深めることで、治療への主体的な参加や服薬アドヒアランスの向上に繋がります。正しくは:心理教育は積極的に行うべきです。選びやすい理由:精神疾患に対する偏見から、情報提供が控えめになるべきと誤解する可能性があります。混同注意:心理教育が治療に直接的な効果がないと誤解する可能性がありますが、治療を円滑に進める上で不可欠な要素です。
- 3. 正解。うつ病と診断する前に、過去に躁病エピソードがなかったかを確認することは非常に重要です。もし躁病エピソードがあれば、それは双極性障害のうつ状態である可能性があり、単極性うつ病とは異なる治療アプローチ(特に薬物療法)が必要となるためです。誤って抗うつ薬単独で治療を開始すると、躁転を誘発するリスクがあります。混同注意:単なる気分障害として一括りに考えてしまい、双極性障害との鑑別の重要性を見落とすことがあります。
- 4. 修正型電気けいれん療法 (m-ECT) は、重症のうつ病、特に薬物療法に抵抗性のうつ病や、自殺リスクが高い場合、迅速な効果が必要な場合などに有効な治療法の一つです。重症例では第一選択となることもあります。正しくは:修正型電気けいれん療法は重症のうつ病に有効な治療法の一つです。選びやすい理由:「けいれん」という言葉の印象から、現代の治療法として有効ではないと誤解しやすいかもしれません。しかし、修正型電気けいれん療法は麻酔下で行われ、筋弛緩剤を使用するため、けいれん自体は起こりません。混同注意:昔ながらの非修正型電気けいれん療法と混同しやすいですが、現代のm-ECTは安全性・有効性が大きく向上しています。
- 5. うつ病の薬物療法の第一選択薬は通常、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬です。ベンゾジアゼピン系薬物は抗不安作用が強く、速効性があるため、うつ病に伴う不安や不眠の症状に対して一時的に頓服として使用されることはありますが、依存性や耐性の問題があるため、根本的なうつ病治療の第一選択薬ではありません。正しくは:薬物療法の第一選択はSSRIなどの抗うつ薬です。選びやすい理由:不安や不眠といったうつ病の随伴症状によく効くため、第一選択として有効だと誤解しやすいです。混同注意:対症療法と根本治療薬の役割を混同しやすいです。ベンゾジアゼピンは対症療法薬であり、根本的な気分を改善する抗うつ作用は持ちません。
国試ポイント
うつ病の鑑別診断、特に双極性障害との区別に関する知識が問われています。また、各選択肢を通じてうつ病の主要な治療法(心理療法、薬物療法、修正型電気けいれん療法)と、その選択・適用に関する基本的な理解が求められています。
混同注意
単極性うつ病と双極性障害の鑑別が最も重要なポイントです。気分障害という大きな枠組みで捉えがちですが、それぞれの診断基準や治療方針の違いを正確に理解しているかが試されます。
次に同じ論点が出たら
今後も気分障害の鑑別診断、特に双極性障害のうつ状態と単極性うつ病の区別、それぞれの治療薬の選択に関する問題が出題される可能性が高いです。また、各精神疾患の主要な心理療法の適応についても繰り返し問われるでしょう。
関連知識
DSM-5やICD-10/11におけるうつ病と双極性障害の診断基準。抗うつ薬の種類(SSRI, SNRI, NaSSAなど)と作用機序。ベンゾジアゼピン系薬物の作用と副作用。修正型電気けいれん療法の適応と安全性。認知行動療法、対人関係療法、心理教育の概要。