咳をしたときに生じる尿失禁はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
咳をしたときに生じる尿失禁は、腹圧性尿失禁の典型的な症状です。これは、咳やくしゃみ、重い物を持ち上げるなどの腹圧がかかる動作によって、骨盤底筋群や尿道括約筋の機能が一時的に尿道の閉鎖圧を上回ることができず、尿が漏れてしまう状態を指します。
選択肢ごとの解説
- 1. 膀胱からの尿排出障害や排尿筋の収縮力低下により、膀胱が過度に充満し、あふれるように尿が漏れる状態であり、咳による腹圧上昇とは直接関連しません。正しくは:膀胱の過伸展により、尿が少量ずつ持続的に漏れ出す状態です。選びやすい理由:尿が漏れるという点で共通しますが、漏れるメカニズムが根本的に異なります。混同注意:膀胱の充満感や残尿感と関連する排尿障害と混同しやすいです。
- 2. 身体機能(運動能力)や認知機能の障害により、トイレの場所まで行けない、衣服の着脱ができない、排尿の意思を伝えられないなど、排泄行動に支障が生じることで起こる失禁であり、咳による腹圧上昇が直接の原因ではありません。正しくは:身体的または精神的な制約のために、排尿設備を適切に利用できないことによって生じる失禁です。選びやすい理由:高齢者によく見られる失禁であるため、幅広い状況を想定して選択肢として考えるかもしれませんが、咳との直接的な因果関係はありません。混同注意:他の尿失禁タイプと異なり、排尿器系の問題ではなく、身体的・精神的な環境要因によって引き起こされる点で区別が必要です。
- 3. 突然の強い尿意(尿意切迫感)があり、我慢できずに尿が漏れてしまう失禁であり、咳による腹圧上昇が直接の引き金ではありません。過活動膀胱が主な原因です。正しくは:強い尿意を突然感じ、トイレに間に合わず漏れてしまう失禁です。選びやすい理由:咳が誘因となって尿意を催し、結果的に間に合わないと考えるかもしれませんが、本質的な原因は異なります。混同注意:排尿反射の亢進や過活動膀胱と密接に関連します。腹圧性失禁と混同することは少ないですが、両者が合併することもあります。
- 4. 脊髄の病変などにより、排尿中枢からの上位抑制が働かず、膀胱に尿がたまると反射的に排尿が起こり、尿意がないまま漏れてしまう状態であり、咳による腹圧上昇とは直接関連しません。正しくは:脊髄損傷などにより排尿反射の中枢性制御が失われ、膀胱が一定量に達すると無意識に反射的に排尿してしまう状態です。選びやすい理由:神経学的な疾患による失禁という点で重篤感があり、何かしらの原因がトリガーとなる失禁の一種だと考えるかもしれませんが、メカニズムが異なります。混同注意:神経因性膀胱における失禁の一つですが、溢流性失禁や機能性失禁とは原因が異なります。
- 5. 正解。咳やくしゃみ、重い物を持ち上げるなどの腹圧上昇時、骨盤底筋群や尿道括約筋の機能が弱まっているために尿道が閉鎖しきれず、尿が漏れてしまう失禁です。設問の状況に直接合致します。
国試ポイント
尿失禁の種類とその具体的な症状(特に誘発因子)を結びつける知識が問われます。それぞれの失禁タイプの定義だけでなく、どのような状況で発生するかを理解しているかが重要です。
混同注意
腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁は、日常生活で頻繁に耳にするため、混同しやすいことがあります。切迫性は突然の強い尿意が特徴であるのに対し、腹圧性は腹圧上昇が誘因となります。また、高齢者においては複数のタイプの尿失禁が合併している混合型尿失禁も多く見られます。
次に同じ論点が出たら
問題文で示されている『尿が漏れる状況』や『尿意の有無・強さ』が、どのタイプの尿失禁の典型的な誘発因子や症状に合致するかを判断します。特に、腹圧上昇(咳、くしゃみ、運動など)、突然の強い尿意、尿が出しきれない感覚、トイレに行き着けない状況、尿意がないといったキーワードに注目します。
関連知識
尿失禁の種類(腹圧性、切迫性、溢流性、機能性、反射性、混合型など)、それぞれの原因(骨盤底筋の脆弱性、過活動膀胱、神経因性膀胱、身体機能・認知機能低下など)、評価方法(排尿日誌、パッドテスト、問診)、および治療・介入方法(骨盤底筋体操、薬物療法、生活指導、環境調整、手術など)。