線維素溶解系で働く因子はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
線維素溶解系は、形成されたフィブリン血栓を分解し、血管の開通性を維持するための生体システムです。このシステムの中心的な役割を担うのがプラスミンで、プラスミノゲンはその不活性な前駆体です。プラスミノゲンが活性化因子(例:組織プラスミノゲン活性化因子 t-PA)によってプラスミンに変換されることで、フィブリンが分解され血栓が溶解します。したがって、プラスミノゲンは線維素溶解系に直接働く因子です。
選択肢ごとの解説
- 1. カルシウムイオンは血液凝固反応において重要な役割を果たす凝固因子であり、多くの段階で必須の補因子として機能しますが、線維素溶解系に直接関与する因子ではありません。正しくは:カルシウムイオンは血液凝固系の多くのステップで不可欠な補因子である。選びやすい理由:血液凝固全体において重要な因子であるため、広義に捉えると関連があるように見え、選択肢として魅力的かもしれない。混同注意:血液凝固系と線維素溶解系は密接に関連していますが、それぞれ異なる役割を持っています。カルシウムイオンは凝固を促進する因子です。
- 2. フィブリノゲンは血液凝固の最終段階で、トロンビンによってフィブリンに変換され、血栓の主成分となるタンパク質です。線維素溶解系においては、溶解の対象となる「線維素(フィブリン)」の元となる物質であり、線維素溶解を「行う」因子ではありません。正しくは:フィブリノゲンは凝固系の最終段階でフィブリンに変換され、血栓を形成する主要な前駆体である。選びやすい理由:「線維素溶解系」という言葉の中に「線維素」という言葉が入っているため、フィブリノゲンと直接関連があるように感じられるかもしれない。混同注意:フィブリンが線維素溶解の『対象』であり、フィブリノゲンはその『前駆体』です。線維素溶解を『促進する』因子ではありません。
- 3. 正解。プラスミノゲンは、線維素溶解系の中心的な酵素であるプラスミンの不活性な前駆体です。組織プラスミノゲン活性化因子(t-PA)などによって活性型のプラスミンに変換され、フィブリン(線維素)を分解することで血栓溶解を促進します。
- 4. プロトロンビンは血液凝固系の主要な酵素であるトロンビンの不活性な前駆体です。凝固反応の際に活性化され、トロンビンとなってフィブリノゲンをフィブリンに変換するなど、血栓形成に重要な役割を果たします。線維素溶解系に直接関与する因子ではありません。正しくは:プロトロンビンは凝固系の中心的酵素であるトロンビンの前駆体であり、血栓形成に関わる。選びやすい理由:プラスミノゲンと同様に「〜ノゲン」という名称であるため、同様の役割を持つと誤解される可能性がある。また、凝固系全体の重要な因子であるため、知識の混乱を招きやすい。混同注意:プロトロンビンは凝固系、プラスミノゲンは線維素溶解系に属します。どちらも不活性な前駆体タンパク質ですが、作用する生体システムが異なります。
- 5. フォン・ヴィレブランド因子は、血小板の接着や凝集を促進する因子であり、また血液凝固第VIII因子を安定化させる働きを持ちます。これらの機能を通じて血液凝固系に関与しますが、線維素溶解系には直接関与しません。正しくは:フォン・ヴィレブランド因子は血小板の接着や凝集、および第VIII因子の安定化を通じて凝固系に作用する。選びやすい理由:血液凝固や止血といった血液のシステム全体に関わる因子であるため、線維素溶解系にも関係があるように思われるかもしれない。混同注意:凝固系や血小板機能に関与する因子であり、線維素溶解とは逆の、止血を促す作用を持ちます。
国試ポイント
この問題は、血液凝固系と線維素溶解系の基本的なメカニズム、特にそれぞれの主要な構成要素とその役割を正確に区別できるかを問うものです。各因子がどちらの系に属し、どのような機能を持つかを理解していることが重要です。
混同注意
血液凝固因子と線維素溶解因子は名称が類似しているもの(例:フィブリノゲンとプラスミノゲン、プロトロンビン)や、共通して血液の恒常性維持に関わるため混同しやすいです。特に、『〜ノゲン』がつく不活性前駆体は、その後の活性化によって異なるシステムに働くことを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合は、問題文が「血液凝固系」と「線維素溶解系」のどちらを指しているのかを明確に把握することが最も重要です。その上で、それぞれのシステムの主要な因子(活性化因子、前駆体、最終産物、阻害因子など)を正確に識別できるかを判断基準とします。
関連知識
線維素溶解系には、プラスミノゲンの他に、プラスミノゲンを活性化する組織プラスミノゲン活性化因子(t-PA)やウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(u-PA)、および線維素溶解を抑制するプラスミノゲン活性化因子インヒビター-1(PAI-1)やα2-プラスミンインヒビター(α2-AP)などがあります。これらの因子がバランスを取りながら、血管内の血栓形成と溶解を制御しています。