作業療法に関する歴史について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
作業療法は、活動を通じて心身の健康回復を目指すアプローチであり、その原点は18世紀後半の道徳療法に遡ることができます。道徳療法は、精神疾患患者を人間として尊重し、規則的な生活、労働、レクリエーションなどを通して回復を促す試みであり、これが現代の作業療法に繋がる重要な概念です。
選択肢ごとの解説
- 1. ADLという概念は、より以前から医療やリハビリテーションの分野で存在していました。IL運動は、ADLの自立を重視しつつも、障害者が自らの意思で生活を選択し、地域で暮らす権利を主張する社会運動であり、ADL概念の直接的な起源ではありません。正しくは:ADLという概念は、IL運動より以前に存在しており、IL運動はADLの自立を達成するための社会的な側面を強調しました。選びやすい理由:IL運動が障害者の自立を強く推進したことから、ADLとの関連性が深いと感じられやすいですが、ADL概念の誕生と直接結びつくわけではありません。混同注意:ADLの評価や訓練の重要性と、社会運動としてのIL運動の目的を混同しやすいです。
- 2. 正解。18世紀後半から19世紀にかけてヨーロッパで広まった道徳療法は、精神疾患を持つ人々に対し、身体拘束を減らし、規則正しい生活、労働、レクリエーションなどを通じて人間的に尊厳を持って接することで回復を促す実践でした。これは、活動を通じて治療を行うという作業療法の基本的な考え方に直接つながるものです。
- 3. 呉秀三は日本の精神医学の父と称され、精神科病院の環境改善や患者の人権尊重に尽力しましたが、彼が実践したのは認知行動療法ではありません。彼は『精神病者私宅監置の実況』などを通じて、精神障害者の処遇改善を訴えました。正しくは:呉秀三は、精神病者の処遇改善や精神科医療の発展に尽力しました。選びやすい理由:呉秀三が精神医療に大きな貢献をしたことは事実なので、何らかの精神療法と結びつけられやすいです。混同注意:日本の精神医学の歴史における著名な人物であることと、特定の治療法を考案・実践したことを混同しやすいです。
- 4. 加藤普佐次郎は日本における肢体不自由児医療・療育のパイオニアですが、肢体不自由児施設の創始者ではありません。彼は整形外科医として肢体不自由児の治療と教育に尽力し、多くの療育機関の設立に貢献しましたが、創始者という表現は適切ではありません。正しくは:加藤普佐次郎は、肢体不自由児医療・療育の発展に大きく貢献しました。選びやすい理由:加藤普佐次郎が肢体不自由児の分野で非常に重要な人物であるため、何かを「創始した」というイメージを持たれやすいです。混同注意:分野のパイオニアであることと、具体的な施設の創設者であることを混同しやすいです。
- 5. 理学療法士及び作業療法士法が制定されたのは、昭和40年(1965年)です。昭和20年は第二次世界大戦終戦の年であり、リハビリテーション関連法の整備は戦後の復興期を経てからとなります。正しくは:理学療法士及び作業療法士法は、昭和40年(1965年)に制定されました。選びやすい理由:日本のリハビリテーションの歴史が戦後急速に進展したという漠然とした知識から、戦後の早い時期である昭和20年を想起する可能性があります。混同注意:日本の主要な法律が制定された時期に関する一般的な知識と、PTOT法という特定の法律の制定時期を混同しやすいです。
国試ポイント
作業療法の歴史に関する基本的な知識、特にその起源や主要な出来事、重要人物の業績を正確に理解しているかを問う問題です。各選択肢の年代や人物、概念が正しく結びついているかが重要になります。
混同注意
各選択肢で提示される人物や出来事の名称は知っていても、それが具体的に何と結びつくのか、あるいはどの年代に発生したのかといった詳細が曖昧だと誤答しやすいです。特に、日本のリハビリテーション関連法の制定年や、著名な人物の具体的な業績については、細かな知識が問われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、作業療法の国際的な歴史の流れだけでなく、日本の作業療法における主要な人物とその貢献、および関連法の制定年を正確に記憶しているかを確認する問題が予想されます。特に、特定の概念(例: ADL)の誕生時期や背景も問われる可能性があります。
関連知識
・作業療法の起源(道徳療法、アーツアンドクラフツ運動) ・日本の作業療法史(呉秀三、加藤普佐次郎、PTOT法制定、OT協会の設立など) ・関連概念の歴史(ADL、IL運動)