乳癌患者のリハビリテーションで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
放射線治療中の有酸素運動は、倦怠感、貧血、吐き気などの治療に伴う有害反応を軽減し、身体機能やQOLの維持・向上に寄与することが報告されています。運動は体力の維持だけでなく、精神的な健康にも良い影響を与えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 倦怠感は乳がん治療において一般的な副作用ですが、適切な強度と頻度での運動療法は、倦怠感の軽減に効果があるとされています。完全に中止するのではなく、症状に応じて内容を調整することが重要です。正しくは:術後に倦怠感がある場合でも、症状の程度に合わせて運動内容を調整し、運動療法を行うことができます。運動は倦怠感の軽減に役立つこともあります。選びやすい理由:倦怠感が強いと、体を動かすことが逆効果に思えるため、運動を控えるべきだと判断しやすいです。混同注意:運動が身体への負担となるという一般的な考えと、がん患者の倦怠感に対する運動療法の効果が混同されやすいです。
- 2. 乳がん術後の肩関節可動域訓練は重要ですが、術直後の積極的な運動は、リンパ浮腫のリスク増加や創部の治癒を妨げる可能性があります。一般的には、段階的に開始し、創部の状態や疼痛に配慮しながら進めます。正しくは:患側の肩関節可動域訓練は、術後の状態や疼痛、リンパ浮腫のリスクを考慮し、段階的に開始します。術後早期から無理なく動かすことは重要ですが、積極的すぎる訓練は避けるべきです。選びやすい理由:早期からのリハビリテーションが回復を早めるという一般的な考えから、積極的に行うべきだと誤解しやすいです。混同注意:安静臥床による弊害を避けるための早期離床の原則と、手術部位への過度な負荷の区別がつきにくいことがあります。
- 3. 遠隔転移がある進行期の乳がん患者でも、個々の状態や転移部位を考慮し、安全な範囲で運動療法を行うことは可能です。運動は症状緩和、QOL向上、体力維持に寄与することが示されています。ただし、骨転移がある場合は、骨折のリスクを避けるために特に注意が必要です。正しくは:遠隔転移がある進行期の乳がん患者でも、個々の状態や転移部位(特に骨転移の有無)を慎重に評価した上で、運動療法は安全に実施可能です。症状緩和やQOL向上に効果が期待できます。選びやすい理由:病状が進行していると、身体に負担をかける運動は避けるべきだと考えがちです。混同注意:重度の病態での安静の必要性と、がん患者の運動療法の適応が混同されやすいです。
- 4. 放射線治療中の不安感に対して、運動療法は心理的なストレス軽減や気分改善に効果があるとされています。不安感があるからといって運動を中止するのではなく、個人の状態に合わせて運動を取り入れることが推奨されます。正しくは:術後放射線治療中に不安感を認める場合でも、運動療法は不安の軽減や精神的な安定に役立つ可能性があります。患者の状態に合わせて運動を継続することが望ましいです。選びやすい理由:不安感が強いと、まずは精神的なケアを優先し、運動は後回しにするべきだと考えやすいです。混同注意:心身の状態が不安定な場合の運動の適応と、運動が気分改善に寄与する効果が混同されやすいです。
- 5. 正解。放射線治療中の有酸素運動は、倦怠感の軽減、貧血などの副作用の管理、免疫機能の維持、QOLの向上に効果があることが複数の研究で示されています。適切な運動は、治療に伴う有害反応を緩和し、治療完遂をサポートする上で有効です。
国試ポイント
乳がん患者のリハビリテーションに関する最新の知見、特にがん治療中の運動療法の効果と適応が問われています。誤解されやすい「安静第一」という考え方ではなく、積極的なリハビリテーションの重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
がん患者に対するリハビリテーションの適応範囲、特に治療中や進行期における運動療法の効果と安全性に関する誤解。安静にすることが最善と考える古い認識と、活動的に過ごすことのメリットが対比されます。
次に同じ論点が出たら
がん治療中の運動療法の具体的なプロトコル、各治療段階での運動療法の適応と禁忌、QOL向上のためのリハビリテーション介入について問われる可能性があります。
関連知識
がんリハビリテーションガイドライン、運動療法とがん治療の副作用管理、リンパ浮腫の予防と管理、心理社会的ケア。