がんについて正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
がんの発生は、遺伝的要因だけでなく、喫煙、飲酒、食生活、運動不足、肥満、感染症(例:B型・C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルスなど)、紫外線、特定の化学物質といった環境要因や生活習慣が大きく関与しています。これらは細胞のDNAに損傷を与え、がん化を促進するリスク因子となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。喫煙、飲酒、食生活、紫外線曝露、特定のウイルス・細菌感染、化学物質への接触など、様々な環境因子や生活習慣ががん発生のリスクを高めることが知られています。これは「環境は発生要因である」という内容に忠実であり、がん発生の多因子性を説明しています。
- 2. 緩和ケアは、病気の診断時から、治療中、終末期まで、どの病期においても患者と家族のQOL(生活の質)向上を目的として提供されます。術後に限定されるものではありません。正しくは:緩和ケアは、がんの診断時から病気の進行度に関わらず、いつでも提供され、患者と家族の身体的、精神的、社会的な苦痛を和らげることを目指します。選びやすい理由:「緩和ケア」という言葉から、終末期医療や、何らかの治療の後に行われるイメージを持つ学生がいるかもしれませんが、実際はもっと広範囲で早期から適用されます。混同注意:緩和ケアとターミナルケア(終末期医療)を混同している可能性があります。緩和ケアは病期を問わず提供されるのに対し、ターミナルケアは予後が限られた終末期のケアを指します。
- 3. 日本では、医療の進歩や検診の普及により、がんの年齢調整死亡率は長期的に見て減少傾向にあります。これは、高齢化の影響を除外して評価した場合の動向です。正しくは:日本では、がんに対する医療技術の進歩やスクリーニング検査の普及により、年齢調整死亡率は近年減少傾向にあります。選びやすい理由:「がん死亡数」自体は高齢化により増加しているため、その事実と混同しやすいです。年齢調整死亡率は、高齢化の影響を除いた、疾患自体のリスク変化を見る指標です。混同注意:がんの「粗死亡率」(全人口に対する死亡率)と「年齢調整死亡率」の違いを混同している可能性があります。粗死亡率は高齢化の影響で増加していても、年齢調整死亡率は減少していることがあります。
- 4. がんの発生は多段階的なプロセスであり、複数の遺伝子変異(がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化など)の蓄積によって引き起こされると考えられています。単一の遺伝子異常だけで発症することは稀です。正しくは:がんは、複数の遺伝子(がん遺伝子やがん抑制遺伝子など)の異常が累積することで発症することが多い、多段階的な疾患です。選びやすい理由:遺伝子異常ががんの原因であるという知識は正しいですが、「単一」という限定に気づきにくい可能性があります。混同注意:遺伝子異常ががんの原因であるという大まかな知識と、がん発生の「多段階説」や「多遺伝子説」を混同している可能性があります。
- 5. 日本の統計において、がんの死亡者数が最も多いのは肺癌です。胃癌は以前は上位でしたが、近年は肺癌、大腸癌、膵臓癌などに続いています。正しくは:現在の日本の統計では、肺癌ががん死亡者数において最も多くなっています。選びやすい理由:高齢者にとって胃癌は馴染み深い疾患であり、また以前は胃癌が最多だった時代もあったため、その古い知識と混同しやすいです。混同注意:過去の統計データや、部位別がん罹患数(発生数)のトップと死亡数のトップを混同している可能性があります。
国試ポイント
がんに関する基本的な知識が問われています。特に、がんの発生要因、緩和ケアの適用時期、統計データ(年齢調整死亡率や主要ながん部位)、がん発生のメカニズム(遺伝子異常)について、正しい理解があるかを確認する問題形式です。
混同注意
がんの粗死亡率と年齢調整死亡率の違い、緩和ケアと終末期医療の概念の違い、がん発生の単一要因説と多段階説、過去の統計データと現在の統計データの違いなどが混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、がんの発生要因を多角的に捉えているか、緩和ケアの開始時期を正しく理解しているか、日本の最新のがん統計(罹患数・死亡数)を把握しているか、がん発生の分子メカニズム(遺伝子変異の累積)について基本的な知識があるか、といった点に着目して判断する。
関連知識
がん予防の一次予防・二次予防(検診)、がんの疫学(罹患率・死亡率)、がんの診断・治療法(手術、放射線療法、化学療法、免疫療法など)、緩和ケアの原則、がん医療におけるチームアプローチ。