聴理解と読解は良好であるが復唱が障害される。漢字より平仮名が書きづらい。考えられる失語症はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
伝導失語の主要な特徴は、聴理解と読解が良好に保たれているにもかかわらず、復唱能力が著しく障害される点にあります。これは、音韻情報が聴覚野から運動性言語中枢へ伝達される経路(弓状束など)の損傷によって生じると考えられています。また、書字に関しては、特に音韻的書字経路の障害から仮名文字の書字が困難になる傾向が強く、『漢字より平仮名が書きづらい』という症状は伝導失語の特徴と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。伝導失語の中心的特徴は、聴理解と読解が良好であるにもかかわらず、復唱が著しく障害されることです。さらに、音韻性書字経路の障害により、仮名文字の書字が漢字に比べて困難になる傾向があることも、この失語症の特徴と一致します。
- 2. 感覚性失語(ウェルニッケ失語)では、聴理解が著しく障害されることが主たる症状です。問題文の「聴理解は良好」という記述と矛盾するため、不適切です。正しくは:感覚性失語では聴理解が障害されます。選びやすい理由:失語症の中でも代表的なタイプであるため、深く考えずに選びやすいかもしれませんが、聴理解の障害の有無で容易に鑑別できます。混同注意:聴理解の障害という非常に明確な特徴があるため、伝導失語との混同は避けられるべきです。
- 3. 失名詞失語は主に呼称障害(物の名前が出てこない)が特徴であり、復唱能力は比較的良好に保たれていることが多いです。問題文の「復唱が障害される」という記述と矛盾します。正しくは:失名詞失語では復唱が良好です。選びやすい理由:聴理解や読解が良好である点は問題文と一致しますが、復唱が障害されるという点が異なります。混同注意:呼称障害と復唱障害を混同して、失名詞失語が復唱も障害されると誤解しやすいです。
- 4. 超皮質性運動失語では、自発話が非流暢になりますが、復唱能力は一般的に良好に保たれています。問題文の「復唱が障害される」という記述と矛盾します。正しくは:超皮質性運動失語では復唱が良好です。選びやすい理由:聴理解や読解が良好である点は問題文と一致しますが、復唱が障害されるという点が異なります。混同注意:非流暢性失語の一種であるため、発話の困難さから復唱も困難だと誤解するかもしれませんが、皮質下の経路が保たれているため復唱は良好です。
- 5. 超皮質性感覚失語では、聴理解が障害されることが主たる症状です。問題文の「聴理解は良好」という記述と矛盾するため、不適切です。正しくは:超皮質性感覚失語では聴理解が障害されます。選びやすい理由:超皮質性失語というカテゴリーに属するため、他の失語症と区別がつきにくい場合があるかもしれませんが、聴理解の障害の有無が明確な鑑別点です。混同注意:復唱が良好である点は超皮質性失語に共通する特徴ですが、聴理解の障害がある点で超皮質性運動失語とは異なります。
国試ポイント
失語症の分類とそれぞれの臨床的特徴(聴理解、読解、復唱、自発話、書字などの能力)を正確に理解しているかが問われる。特に、それぞれの能力の「良好」と「障害」の組み合わせを正確に把握しておくことが重要である。また、特定の失語症に特徴的な書字障害(例:伝導失語における仮名書字障害)も知識として求められる。
混同注意
復唱能力の障害は伝導失語の非常に重要な特徴であるが、感覚性失語や全失語でも復唱は障害される。しかし、これらの失語症は聴理解も障害される点で伝導失語と区別される。また、超皮質性運動失語や超皮質性感覚失語では復唱が保たれるため、この点でも区別が可能である。書字障害については、失語症全般で見られることが多いが、『漢字より平仮名が書きづらい』という具体的な記述は伝導失語の特徴の一つであるため注意が必要である。
次に同じ論点が出たら
次回同様の症例問題が出題された場合は、まず提示された症状(聴理解、読解、復唱、自発話、書字)を正確に把握し、特に「良好」と「障害」の有無をリストアップする。特に復唱の良好/障害は重要な鑑別点となる。その上で、各失語症の典型的なパターンと照合し、最も一致する選択肢を選ぶ。特定の書字障害の記述があれば、それも重要なヒントとして活用する。
関連知識
失語症は、古典的な分類としてブローカ失語、ウェルニッケ失語(感覚性失語)、伝導失語、全失語、超皮質性運動失語、超皮質性感覚失語、超皮質性混合失語、失名詞失語などに分類される。それぞれの失語症の病巣と、聴理解、復唱、自発話の流暢性の3つの主要な指標を軸とした鑑別が重要である。書字障害は、失語症のタイプによって異なる特徴を示すことがあり、特に漢字と仮名の処理経路の違い(漢字は意味表出、仮名は音韻表出と関連が深い)も理解しておくべきである。