アルコールの離脱症候群はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
アルコール離脱症候群は、アルコールの摂取を中止または減量した際に、過興奮状態となった中枢神経系が原因で生じる一連の身体的・精神的症状を指します。主な症状には、振戦、発汗、不安、不眠などがあり、重症化するとけいれん発作や振戦せん妄を引き起こすことがあります。病的酩酊や複雑酩酊はアルコール摂取時の異常反応であり、Wernicke脳症は慢性的なアルコール摂取によるビタミンB1欠乏症が原因の栄養障害です。したがって、けいれん発作と振戦せん妄がアルコール離脱症候群の症状として適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 病的酩酊は、少量のアルコール摂取で生じる異常な行動や意識障害であり、アルコール離脱症候群とは異なる病態です。正しくは:アルコール離脱症候群の症状は、アルコールの摂取を中断または減量した際に発生する一連の身体的・精神的症状を指します。選びやすい理由:アルコール関連の問題として一括りに考えがちですが、酩酊状態とその後の離脱症状は発生機序が異なります。混同注意:アルコール精神病、急性アルコール中毒
- 2. 正解。けいれん発作(アルコール性てんかん)は、アルコール離脱症候群の主要な症状の一つで、特に離脱後12〜48時間以内に発生しやすいとされています。GABA神経系の抑制が急激に解除されることが原因です。
- 3. 複雑酩酊は、通常量のアルコール摂取によって引き起こされる、精神病症状を伴う酩酊状態を指し、アルコール離脱に伴う症状ではありません。正しくは:アルコール離脱症候群の症状は、アルコールが体内から排出され、中枢神経系の過興奮状態によって引き起こされます。選びやすい理由:病的酩酊と同様に、アルコール摂取時の問題と離脱時の問題が混同されやすいです。混同注意:単純酩酊、病的酩酊
- 4. 正解。振戦せん妄(Delirium Tremens)は、アルコール離脱症候群の中でも最も重篤な症状の一つで、高度な震え、発汗、意識障害、幻覚、見当識障害などを特徴とします。離脱後48〜96時間で出現することが多いです。
- 5. Wernicke脳症は、アルコール依存症患者に多く見られるチアミン(ビタミンB1)欠乏によって引き起こされる脳症であり、眼球運動障害、運動失調、意識障害(GCS低下)を特徴とします。アルコールの離脱そのものによって直接的に引き起こされる症状ではなく、長期的なアルコール摂取による栄養障害が原因です。正しくは:Wernicke脳症は、アルコール依存症による栄養障害(特にビタミンB1欠乏)で発症するものであり、離脱症状とは区別されます。選びやすい理由:アルコール依存症に合併しやすい病態であるため、離脱症状と誤解しやすいですが、原因が異なります。混同注意:Korsakoff症候群、アルコール性認知症
国試ポイント
アルコール関連障害の中でも、特に『アルコール離脱症候群』の具体的な症状を問う問題です。アルコール摂取中に生じる酩酊状態や、長期的な飲酒による栄養障害と混同しないように、それぞれの病態生理と症状を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
アルコール摂取に伴う急性症状(病的酩酊、複雑酩酊、急性アルコール中毒)と、アルコール離脱に伴う症状(離脱症候群全般)、および長期飲酒による合併症(Wernicke脳症、Korsakoff症候群など)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、アルコール離脱症候群の初期症状(振戦、発汗、不安など)や、各症状の出現時期(早期離脱症状、後期離脱症状、振戦せん妄の発症タイミング)についても問われる可能性があるため、時系列での症状理解が重要です。また、治療薬(ベンゾジアゼピン系薬剤など)に関する知識も確認しておきましょう。
関連知識
アルコール依存症の診断基準(DSM-5)、アルコールの代謝経路、GABAおよびグルタミン酸神経系の作用、ビタミンB1の代謝と欠乏症状。