13歳の男子。現在、Duchenne型筋ジストロフィーのステージ6(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類による。)。学校生活を送る上で優先的に行う支援はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Duchenne型筋ジストロフィーの患者は、通常10歳前後で歩行能力を失い、車椅子生活に移行することが多いです。13歳の男子が学校生活を送るにあたり、校内での移動は大きな課題となります。電動車椅子は、筋力低下が進行しても自力での長距離移動を可能にし、活動範囲の拡大、疲労の軽減、自律性の向上に大きく貢献するため、最も優先的に導入すべき支援と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. Duchenne型筋ジストロフィーの13歳男子の場合、この病気の進行度から考えると、歩行器ではすでに移動能力を十分に補うことが難しい段階である可能性が高いです。多くの場合、この年代では車椅子での移動が中心となります。正しくは:この段階では、歩行器よりも移動の安定性と効率性を高めるための電動車椅子や、状況によっては手動車椅子がより適切であると考えられます。選びやすい理由:一般的な歩行補助具として思いつきやすいですが、疾患の進行度を考慮すると不適切です。混同注意:歩行補助具全般と、疾患の進行による移動手段の変遷について混同しやすいです。
- 2. Duchenne型筋ジストロフィーの主な症状は骨格筋の進行性筋力低下であり、嚥下機能への影響は病期が進んだ後期に現れることが多いです。13歳という年齢で、学校生活を送っている段階では、嚥下障害が優先的に対応すべき問題である可能性は低いです。移動の困難さの方が、学校生活での喫緊の課題と考えられます。正しくは:嚥下障害が顕著でない限り、食事形態の変更は優先順位が低いです。選びやすい理由:全身の筋力低下を考えると食事に関する問題も起こりうると想像しやすいですが、発症早期から嚥下障害が前面に出る疾患ではありません。混同注意:全身性疾患における筋力低下と、特定の部位(嚥下筋)の機能低下がどの病期で現れるかについて混同しやすいです。
- 3. 長下肢装具は、主に膝折れを防ぎ、立位や歩行を補助するために使用されます。Duchenne型筋ジストロフィーの13歳男子では、すでに歩行能力が著しく低下しているか、またはほとんど失われている段階である可能性が高く、長下肢装具で効果的な歩行を維持することは困難です。通常、この時期には車椅子での移動が主要となります。正しくは:この段階では長下肢装具よりも、移動手段そのものを確保する支援(車椅子など)が優先されます。選びやすい理由:装具による機能補助はリハビリテーションでよく行われますが、疾患の進行度を適切に判断する必要があります。混同注意:装具の適応時期や目的と、Duchenne型筋ジストロフィーの自然経過における歩行能力の変化を混同しやすいです。
- 4. 正解。Duchenne型筋ジストロフィーの男子は、通常10歳前後で歩行能力を失い、車椅子移動が中心となります。13歳であれば、学校生活において広範囲の移動を自力で行うことが非常に困難であるため、活動範囲を広げ、自律的な学校生活を送る上で電動車椅子の導入が最も優先される支援と考えられます。正しくは:記載されている通り、この年代のDuchenne型筋ジストロフィーの患者には、活動範囲の拡大と自律性の維持のため電動車椅子が非常に有効です。選びやすい理由:移動手段の確保は重要だと理解しやすいです。混同注意:手動車椅子や他の移動補助具と電動車椅子のメリット・デメリットを比較検討する際に、自力での操作能力や移動距離を考慮しないと誤る可能性があります。
- 5. トイレの手すり設置は排泄動作の補助として重要ですが、これは移動手段の確保が大前提となります。電動車椅子の導入がなされなければ、トイレまでの移動自体が困難なため、手すりの設置だけでは学校生活における移動の問題は解決されません。優先順位としては、移動手段の確保が先になります。正しくは:手すり設置は生活環境整備の一部ですが、全身的な移動能力の補助が優先されます。選びやすい理由:日常生活動作の支援として適切に見えますが、最も優先すべきは移動能力の確保です。混同注意:ADLに関する環境整備と、基盤となる移動能力の確保の優先順位を混同しやすいです。
国試ポイント
Duchenne型筋ジストロフィーの病期の進行と、それに応じた適切な支援(特に移動手段)の知識が問われています。患者の年齢から病期の段階を推測し、その段階で最も効果的な介入を選択できるかが重要です。
混同注意
各選択肢が個々の支援としては有効に見えるため、疾患の進行度に応じた支援の優先順位を見誤ると間違えやすいです。特に歩行器や長下肢装具など、進行期の患者には不適切な補助具を選んでしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
同様の病態で他の年齢が提示された場合、その年齢での標準的な機能障害度を判断し、それに合致する最も適切な支援を選択できるか。また、移動以外のADL(更衣、入浴、排泄など)や精神心理面での支援の優先順位も問われる可能性があります。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーのステージ分類(厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類)、各病期における特徴的な症状とADLの変化、およびそれぞれの時期に推奨されるリハビリテーションや支援具。特に移動能力の変遷(歩行期、車椅子期)と、それに伴うQOLへの影響について理解していることが重要です。