28歳の女性。頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)。車椅子とベッド間の移乗は前・後方移動で自立し、ADLは自助具や環境整備で自立の見込みを得た。住宅改修を図に示す。正しいのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
この問題は、頸髄損傷C6機能残存の車椅子使用者の住宅改修に関する具体的な知識を問うものです。選択肢1の廊下幅140cmは、車椅子と歩行者のすれ違いに必要な最低寸法であり適切です。選択肢3の開口部通過幅90cmは、車椅子の通行に十分な余裕を持たせた寸法であり適切です。その他の選択肢は、車椅子の回転スペース、シャワーフックの高さ、屋外スロープの勾配に関して、それぞれ推奨される基準値から外れています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。車椅子使用者と歩行者が安全にすれ違うためには、最低140cmの廊下幅が必要です。これは基本的な住宅改修の知識です。
- 2. 車椅子がその場で回転するためには、最低150cm×150cmのスペースが必要です。100cm幅では十分ではありません。正しくは:車椅子がその場で回転するためには、最低150cm×150cmのスペースが必要であるため、ポーチの奥行きは150cm以上が望ましい。選びやすい理由:ポーチの幅は車椅子にとって重要であるため、一見正しいように見えるかもしれませんが、回転に必要な寸法を正確に理解しているかが問われます。混同注意:車椅子が『直進で通過する』幅(75〜85cm)と、『方向転換・回転する』幅(150cm)の混同。
- 3. 正解。車椅子の標準的な通行幅は約70cmであり、介助や余裕を考慮すると80〜90cmの有効開口幅が推奨されます。90cmは適切です。選びやすい理由:通過幅は狭いと困るという認識から、広い数値を選ぶ傾向がある。
- 4. 車椅子使用者が座位でシャワーを使う場合、シャワーフックの適切な高さは80〜120cm程度です。150cmは立位利用者向けであり、座位の使用者には高すぎます。正しくは:車椅子使用者が座位でシャワーを使う場合、シャワーフックの適切な高さは80〜120cm程度に設定する。選びやすい理由:一般的な浴室でのシャワーフックの高さ(立位用)を思い浮かべると、150cmが適切と感じるかもしれません。混同注意:立位使用者と座位使用者の身体寸法の違いからくる適切な高さの混同。
- 5. 屋外スロープの勾配は1/12〜1/15程度以下の緩やかなものとします。1/4は急すぎて危険です。正しくは:屋外スロープの勾配は、一般的に1/12以下が推奨される(自力で走行できる範囲であれば1/15以下が望ましい)。選びやすい理由:スロープの勾配に関する基準を知らない場合、数値だけでは判断しにくいため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:屋内スロープの許容勾配(短距離であれば1/8程度まで許容される場合がある)と屋外の推奨勾配、または手すり設置時の緩和基準との混同。
国試ポイント
この問題は、車椅子使用者向けの住宅改修に関する具体的な寸法基準(廊下幅、開口部幅、回転スペース、スロープ勾配、設備の位置など)の正確な知識を問うものです。個別の数値だけでなく、その数値がなぜ適切なのか、または不適切なのかという理由まで理解していることが重要です。
混同注意
車椅子の通過幅と回転スペースの必要な寸法、屋内と屋外のスロープ勾配の基準、立位使用者と座位使用者のための設備高さの基準などが混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、主要な住宅改修の推奨寸法(廊下幅、ドア幅、スロープ勾配、回転スペース、手すりの高さや便器のスペースなど)を網羅的に確認し、特に数値に関する記憶の正確性を問われることに注意する。
関連知識
・車椅子寸法:標準車椅子の幅は約60-70cm。・通路幅:単独通過75-85cm、すれ違い140cm以上。・回転スペース:その場回転150cm×150cm、方向転換120cm×150cm。・スロープ勾配:屋外1/12以下(推奨1/15以下)、屋内1/8以下(短距離)。・浴室設備:シャワーフック(座位用)80-120cm、手すりの高さなど。・出入り口:有効開口幅80cm以上(車椅子)。