上肢装具と目的について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
指用ナックルベンダーは、スプリングなどの力でPIP関節を他動的に屈曲させたり、屈曲を補助したりする機能装具です。このため、PIP関節の屈曲補助という目的は正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. ウェブスペーサーの主な目的は、母指と示指(第1中手指節間)の間の指間を広げ、母指内転拘縮を予防または軽減することです。母指外転筋の短縮予防とは異なります。正しくは:ウェブスペーサー:母指内転拘縮の予防または軽減、母指と示指間の開大保持選びやすい理由:母指に関する装具であるため、一見正しく見えるかもしれませんが、具体的な筋肉の短縮予防という点で誤りです。混同注意:母指の機能に関わる他の装具や、拘縮予防の目的と混同しやすいです。
- 2. Thomasスプリントは主に大腿骨骨折や股関節疾患などで下肢を牽引・固定するために用いられる装具であり、上肢用装具ではありません。したがって、手関節の固定を目的とするものではありません。正しくは:Thomasスプリント:主に下肢の牽引・固定(上肢装具ではない)選びやすい理由:スプリントという名称から何らかの固定具であることは連想できますが、適用部位が異なります。混同注意:様々なスプリントや装具の名称、適用部位、目的と混同しやすいです。
- 3. 正解。指用ナックルベンダーは、スプリングなどの機構を用いて、主に中手指節関節(MP関節)または近位指節間関節(PIP関節)の屈曲運動を補助したり、屈曲拘縮を改善したりするために使用されます。この選択肢はPIP関節の屈曲補助としており、目的と合致します。
- 4. 肘屈曲型アームスリングは、肘関節を屈曲位に保ち、上肢全体の重みを支えることで、主に肩関節や肘関節の安静保持を目的とします。肩関節を外転位に保持する目的ではなく、通常は腕を体側に沿わせるような肢位になります。正しくは:肘屈曲型アームスリング:肩関節や肘関節の安静保持、上肢の免荷(通常は内転位)選びやすい理由:アームスリングが上肢の装具であることは正しいですが、具体的な保持肢位が誤りです。混同注意:肩関節の他の装具(例:外転装具)の目的と混同しやすいです。
- 5. フレクサーヒンジ・スプリントは、装具自体が手関節の屈曲機能を利用するのではなく、手関節の背屈を利用して指の屈曲(把持)を可能にする装具です。主に脊髄損傷などで指の伸筋機能が麻痺している場合に、テノデーシスアクションを補助するために用いられます。正しくは:フレクサーヒンジ・スプリント:手関節の背屈を利用して指の屈曲(把持)を補助する選びやすい理由:把持動作を補助する装具である点は正しいですが、そのメカニズム(手関節の『屈曲機能を利用』ではなく『背屈を利用』)が誤りであり、この点が引っかかりやすいです。混同注意:手関節の運動と指の運動の関係性、特にテノデーシスアクションの原理と混同しやすいです。
国試ポイント
上肢装具の名称、その具体的な目的、および適用される関節や機能について正確に理解しているかが問われます。特に、装具のメカニズムや、どの関節にどのような作用をもたらすかという詳細な知識が重要です。
混同注意
類似した名称の装具、同じ部位に用いられるが目的が異なる装具、または異なる部位に用いられるが機能が似ている装具と混同しやすいです。また、装具の名称と目的が合致しない選択肢や、一部だけが正しい選択肢にも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、装具の名称だけでなく、その装具が具体的にどの関節に作用し、どのような運動を補助・制限するのか、あるいはどのような拘縮を予防・改善するのかといった、より詳細な機能的側面を問う問題が出題される可能性があります。特に、その機能がどのような疾患や障害に適用されるかまで関連付けて理解しておくことが重要です。
関連知識
各装具の適応疾患、装具の素材と種類(静的装具、動的装具)、装具の製作原理(例:テノデーシスアクション)、上肢各関節の運動解剖学、筋力低下や拘縮に対する装具療法の原理。