頸椎に不安定性のある急性期頸髄損傷の関節可動域訓練で角度を制限する関節はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
頸椎に不安定性がある急性期の頸髄損傷では、頸椎に負担がかかる動作は避けるべきです。肩関節の大きな動き(特に屈曲、外転、挙上)は肩甲骨の動きを伴い、腕神経叢の牽引や、胸郭と頸部の連動により頸椎にストレスを与えやすく、不安定な頸椎の状態を悪化させるリスクがあるため、その可動域を制限するか、慎重に行う必要があります。他の手関節、股関節、膝関節、足関節は頸椎から物理的に離れており、そのROM訓練が頸椎に直接的な悪影響を及ぼす可能性は非常に低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。頸椎に不安定性がある場合、肩関節の大きな動き、特に屈曲や外転、挙上といった動作は、頸部に不要な負担やストレスを与える可能性があります。これらの動きは肩甲骨の動きを伴い、結果的に頸椎に伝わる力が大きくなるため、不安定な頸椎の状態を悪化させるリスクがあるため、角度を制限したり、適切な範囲で慎重に行う必要があります。選びやすい理由:肩関節は体幹に近い大きな関節であり、その動きが頸椎に影響を与えやすいという直感から、正しい選択肢と判断しやすいです。混同注意:他の四肢の遠位関節と比べて、頸椎との位置関係や運動連鎖を理解しているかで判断が分かれるかもしれません。
- 2. 手関節は頸椎から比較的離れており、その可動域訓練が直接的に頸椎に大きな影響を与えるリスクは非常に低いです。正しくは:手関節のROM訓練は、頸椎の不安定性がある急性期でも、患者の状態に合わせて比較的安全に実施できる場合が多いです。ただし、腕神経叢への牽引を考慮し、痛みのない範囲で行うことは重要ですども、頸椎への直接的な力学的な影響は小さいです。選びやすい理由:上肢の関節ではあるものの、頸椎への影響が少ないため、この選択肢が誤りだと判断しやすいです。混同注意:上肢の関節だからといって、全て頸椎に大きな影響があるわけではないことを理解していないと混乱するかもしれません。
- 3. 股関節は下肢の関節であり、頸椎から非常に遠いため、その可動域訓練が頸椎に直接的な不安定性をもたらすことはほとんどありません。正しくは:股関節のROM訓練は、頸椎の不安定性がある急性期でも、体幹や頸椎への影響を最小限に抑えつつ安全に実施できます。ただし、疼痛管理や全身状態の確認は必要です。選びやすい理由:下肢の関節であるため、頸椎への直接的な影響が少ないことは明らかです。混同注意:体幹の捻転など、間接的な影響を考慮しすぎると迷うかもしれませんが、直接的な不安定性という点では影響は小さいです。
- 4. 膝関節は下肢の関節であり、頸椎とは物理的に非常に離れています。その可動域訓練が頸椎の不安定性を悪化させる直接的なリスクはほとんどありません。正しくは:膝関節のROM訓練は、頸椎に不安定性がある急性期でも、体幹や頸椎に負担をかけずに安全に実施できることが一般的です。選びやすい理由:下肢の関節であるため、頸椎への直接的な影響が少ないことは明らかです。混同注意:特に混乱する要素は少ないでしょう。
- 5. 足関節も下肢の遠位にある関節であり、頸椎とは物理的に非常に離れています。この関節の可動域訓練が頸椎の不安定性に直接影響を及ぼすリスクは皆無に近いです。正しくは:足関節のROM訓練は、頸椎の不安定性がある急性期において、最も安全に実施できる関節の一つです。選びやすい理由:下肢の関節であり、頸椎への直接的な影響が少ないことは明らかです。混同注意:特に混乱する要素は少ないでしょう。
国試ポイント
この問題は、頸髄損傷患者の急性期管理における解剖学的な知識と運動連鎖の理解、および安全管理の原則を問うものです。特に、頸椎の不安定性という重要な条件が与えられているため、どの関節の動きが頸椎に影響を与えやすいかを正確に判断する能力が求められます。国試では、特定の病態における禁忌や制限事項を問う問題が頻出します。
混同注意
上肢の関節であれば全て頸椎に影響がある、という誤った一般化をしないことが重要です。肩関節は頸部との運動連鎖が強く、特に肩甲帯の動きは頸椎に影響を及ぼしやすいですが、手関節などはその影響が限定的です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず「頸椎の不安定性」というキーワードに注目し、どの関節の動きが頸椎に物理的・力学的に影響を与えるかを考える。特に体幹に近い大きな関節や、神経叢の走行を考慮することが重要になるでしょう。また、急性期か慢性期かによっても対応が変わる可能性があります。
関連知識
頸髄損傷の急性期管理、脊椎固定の原則、関節可動域訓練の禁忌と注意事項、運動連鎖、肩甲上腕リズム、腕神経叢の解剖学。