42歳の女性。左の末梢性顔面神経麻痺と診断された。味覚の異常を訴えている。舌の異常部位を網かけにした図を示す。症状がみられる部位として正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
末梢性顔面神経麻痺では、顔面神経の枝である鼓索神経の障害により、同側の舌前2/3の味覚が障害されます。本症例は左の麻痺であるため、左側の舌前2/3であるCが正解となります。舌の後方1/3の味覚は舌咽神経、舌根部の味覚は迷走神経が支配しています。
選択肢ごとの解説
- 1. Aは舌の右側前2/3を示しており、顔面神経麻痺による味覚障害は麻痺側の舌前2/3に発生します。このケースは左側の麻痺なので、Aは適切ではありません。正しくは:左の末梢性顔面神経麻痺の場合、左の舌前2/3(C)が障害されます。選びやすい理由:図から単純に前方の部位を選ぼうとすると間違える可能性があります。左右の区別と舌のどの部分が味覚に関わるかを正確に理解する必要があります。混同注意:右と左、または舌の前方と後方の味覚支配の違いを混同しやすいです。
- 2. Bは舌の右側後方1/3を示しており、舌の後方1/3の味覚は舌咽神経(Ⅸ)に支配されます。顔面神経麻痺は舌咽神経の機能には直接影響しません。正しくは:舌の後方1/3の味覚は舌咽神経に支配されるため、顔面神経麻痺では影響を受けません。また、麻痺は左側のため、右側は適切ではありません。選びやすい理由:舌全体をなんとなく捉えてしまうと、後方の部位を選んでしまう可能性があります。混同注意:味覚を支配する神経と、その支配領域(舌前2/3と後1/3)を混同しやすいです。
- 3. 正解。Cは舌の左側前2/3を示しています。顔面神経(Ⅶ)の枝である鼓索神経は、同側の舌前2/3の味覚を支配しています。したがって、左末梢性顔面神経麻痺の場合、左側の舌前2/3に味覚障害が生じます。選びやすい理由:この選択肢が正しいと判断するためには、顔面神経の味覚支配領域(舌前2/3)と、麻痺の側性(左側)を正確に理解している必要があります。
- 4. Dは舌の右側後方1/3を示しており、舌の後方1/3の味覚は舌咽神経(Ⅸ)に支配されます。顔面神経麻痺は舌咽神経の機能には直接影響しません。また、麻痺は左側です。正しくは:舌の後方1/3の味覚は舌咽神経に支配されるため、顔面神経麻痺では影響を受けません。選びやすい理由:舌の部位を漠然と捉えてしまうと、前方と後方の味覚支配の違いを見落とす可能性があります。混同注意:舌咽神経と顔面神経の味覚支配領域を混同しやすいです。
- 5. Eは舌の根本の中央部を示しており、舌の最奥部の味覚は迷走神経(Ⅹ)に支配されます。顔面神経麻痺は迷走神経の機能には直接影響しません。正しくは:舌の最奥部の味覚は迷走神経に支配されるため、顔面神経麻痺では影響を受けません。選びやすい理由:味覚障害が広範囲に及ぶという誤解から、より深部の部位を選んでしまう可能性があります。混同注意:各脳神経が支配する味覚の領域(舌前2/3, 舌後1/3, 舌根部)を混同しやすいです。
国試ポイント
脳神経(特に顔面神経、舌咽神経、迷走神経)の機能、中でも味覚の支配領域とその側性を正確に理解しているかが問われる。末梢性顔面神経麻痺の主要症状の一つとして、味覚障害の部位を特定できる能力が必要。
混同注意
顔面神経の運動枝と知覚枝(味覚)、および他の脳神経(舌咽神経、迷走神経)による味覚支配領域の混同。左右の区別を誤る。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず麻痺の側性(左右)を確認し、次に味覚に関わる主要な脳神経(顔面神経、舌咽神経、迷走神経)とその支配領域(舌前2/3、舌後1/3、舌根部)が正しく対応しているかを見る。
関連知識
顔面神経麻痺の他の症状(顔面筋麻痺、涙腺・唾液腺分泌障害、アブミ骨筋麻痺による聴覚過敏)、顔面神経の走行と主な枝、他の脳神経(舌咽神経、迷走神経)の味覚以外の機能。