アポトーシスによる細胞の変化はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
アポトーシスは、個々の細胞がプログラムに従って秩序だって死滅する過程です。この過程では、細胞は収縮し、核が凝縮・断片化し、最終的にアポトーシス小体と呼ばれる断片に分解され、周囲の食細胞によって速やかに処理されます。そのため、細胞内容物が周囲に漏れ出すことがなく、炎症反応を引き起こしません。選択肢4の「個々の細胞が散らばって死滅する」は、アポトーシスが通常、組織全体に広がる壊死とは異なり、局所的・選択的に発生するという特徴を正しく示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. アポトーシスでは核は凝縮(濃縮)し、断片化(核断片化)しますが、融解することはありません。核の融解は壊死でみられる変化です。正しくは:核が凝縮し断片化する。選びやすい理由:「核の変化」という点では共通していますが、具体的な変化の内容が異なります。アポトーシスも核に変化が生じるため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:核の融解(壊死)と核の凝縮・断片化(アポトーシス)を混同しやすいです。
- 2. アポトーシスでは細胞は通常、収縮し小さくなります。細胞の膨化(膨張)は壊死の初期段階で観察される変化です。正しくは:細胞が収縮する。選びやすい理由:細胞の形態が変化する点では共通するため、一見すると正しいように思えるかもしれません。混同注意:細胞の膨化(壊死)と細胞の収縮(アポトーシス)を混同しやすいです。
- 3. アポトーシスでは、細胞の内容物はアポトーシス小体としてカプセル化され、細胞膜の完全性が保たれるため、周囲に放出されることはありません。内容物の放出は壊死の特徴です。正しくは:細胞内容がアポトーシス小体に収められ、周囲に放出されない。選びやすい理由:細胞が死滅すれば内容物が漏れ出すと誤解しやすいため、細胞死の一般的なイメージから選びやすいかもしれません。混同注意:細胞内容の放出(壊死)とアポトーシス小体への封じ込め(アポトーシス)を混同しやすいです。
- 4. 正解。アポトーシスはプログラムされた細胞死であり、通常は特定の刺激に応じて個々の細胞または少数の細胞が散発的に選択的に除去されます。これは広範囲の組織が影響を受ける壊死とは対照的です。
- 5. アポトーシスでは細胞内容物が周囲に漏出せず、アポトーシス小体が速やかに貪食されるため、原則として周囲の組織に炎症反応を引き起こすことはありません。炎症反応は壊死に特徴的です。正しくは:周囲に炎症反応が原則として起こらない。選びやすい理由:一般的に「細胞死=炎症」というイメージがあるため、細胞が死滅すれば炎症が起きると誤解し、選択してしまう可能性があります。混同注意:壊死による炎症反応と、アポトーシスが炎症を引き起こさないことを混同しやすいです。
国試ポイント
アポトーシスと壊死の違いを理解しているかどうかが頻繁に問われます。特に、細胞の形態変化(膨化 vs 収縮、核の融解 vs 凝縮・断片化)や、炎症反応の有無、細胞死のパターン(散在性 vs 広範性)が重要な鑑別点となります。
混同注意
アポトーシスと壊死の区別が最も混同されやすい点です。特に、核の変化(融解、凝縮、断片化)や細胞の大きさの変化(膨化、収縮)、炎症の有無に関する特徴が誤解されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合は、まず「細胞死の種類(アポトーシスか壊死か)」を特定し、それぞれの特徴的な細胞形態の変化、核の変化、細胞内容物の運命、そして周囲の組織に与える影響(特に炎症の有無)に注目して判断してください。
関連知識
アポトーシスは、発生過程における組織の形成、老化した細胞や異常な細胞の除去、免疫応答の調節など、生体にとって重要な生理的機能を持つプログラムされた細胞死です。一方、壊死は、外傷、虚血、毒素などによる細胞の急性障害によって引き起こされる病理的な細胞死であり、細胞膜の破壊と内容物の放出を伴い、炎症を誘発します。