広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
クレーン現象は、他者の手を自分の手のように用いて目的を達成しようとする行動であり、自閉スペクトラム症の診断基準である対人相互作用の質的な問題の一つとして典型的に観察される現象です。これは、他者を道具として認識する傾向や、自発的な指差し要求の欠如と関連しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 自閉スペクトラム症の特性として、聴覚過敏は比較的よく見られる感覚特性の一つです。正しくは:聴覚過敏はよく見られる感覚特性の一つである。選びやすい理由:定型発達児には見られない特徴であるため、一般的な情報として知られていないと誤解しやすい。混同注意:感覚鈍麻(感覚刺激への反応が鈍いこと)と混同しやすいですが、過敏と鈍麻の両方が見られる可能性があります。
- 2. 正解。クレーン現象は、自分の手を使わずに他者の手を道具のように使って、目的を達成しようとする行動であり、自閉スペクトラム症の診断基準である対人相互作用の質的な問題の一つとしてよく観察されます。選びやすい理由:「クレーン現象」という専門用語を知らないと、その意味が分からず正誤を判断できない可能性があります。
- 3. 自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症(ADHD)は、高い確率で併存することが知られています。両方の特性を持つ人も少なくありません。正しくは:注意欠如・多動症(ADHD)との合併は見られます。選びやすい理由:かつては併存診断が認められなかった経緯があるため、古い知識だと誤解する可能性があります。DSM-5以降は併存診断が可能です。混同注意:別々の診断名であるため、それぞれ独立した障害であり併存しないと誤解しやすいですが、実際は多くの共通点や併存例があります。
- 4. 自閉スペクトラム症の人は、対人関係において相手の目を見たり、表情を読み取ったりすることが苦手な場合があり、視覚情報よりも聴覚情報、特に言葉そのものへのこだわりが強いことがあります。また、視覚情報への過集中や、逆に視覚情報の処理の困難さを示す場合もあります。一般的に、視覚情報への優位な注目が特徴とは言えません。正しくは:聴覚情報への注目よりも視覚情報への注目が優位とは限りません。個人差が大きいです。選びやすい理由:視覚的なこだわりや特定の視覚刺激への過集中が見られることがあるため、視覚情報全般に優位と誤解しやすい。混同注意:視覚優位(視覚からの情報処理が得意)と、特定の視覚刺激へのこだわりや過集中を混同しやすい。
- 5. 「サリーとアン課題」は心の理論の発達を評価する課題であり、定型発達の子供は4~5歳でできるようになります。自閉スペクトラム症の子供は、心の理論の発達に遅れや困難があるため、この課題をクリアするのが難しいことが多いです。正しくは:「サリーとアン課題」は定型発達の子供が4〜5歳でできるようになる課題であり、自閉スペクトラム症の子供は困難を示すことが多い。選びやすい理由:発達段階の目安となる年齢と、自閉スペクトラム症の特性を把握していないと判断が難しい。混同注意:単なる記憶力の課題と混同しやすいが、他者の意図や信念を理解する「心の理論」の発達を評価する課題であることを理解していないと間違いやすい。
国試ポイント
自閉スペクトラム症の診断基準となる行動特性や、関連する概念(感覚特性、併存症、心の理論など)について正確な知識が問われています。特に、発達障害の具体的な行動観察に基づいた理解が重要です。
混同注意
自閉スペクトラム症の具体的な行動特徴と、他の発達障害の特性や、一般的な子どもの発達段階が混同されやすいです。特に、「心の理論」のような概念的な理解と、具体的な行動例を結びつけることが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後も自閉スペクトラム症の診断基準、特に社会的コミュニケーションの問題や限定的・反復的行動パターンに関する具体的な行動例が問われる可能性が高いです。また、感覚特性や他の発達障害との鑑別、療育的アプローチについても注意が必要です。
関連知識
DSM-5における自閉スペクトラム症の診断基準(社会的コミュニケーションおよび相互作用の持続的な障害、限定された反復的な行動、興味、活動)、感覚特性(過敏・鈍麻)、併存しやすい精神疾患(ADHD、不安症、うつ病など)、心の理論、共同注意、クレーン現象、エコラリアなど。