アルコール依存症の作業療法を行うにあたって、適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
アルコール依存症患者はしばしば自身の飲酒問題を否認する傾向があり、治療初期にこれを強く指摘すると、患者の抵抗感を高め、治療関係の構築を妨げる可能性があります。まずは信頼関係を築き、患者自身の気づきを促すアプローチがより効果的です。直接的かつ強引な介入は避けるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 酒害教育はアルコール依存症の治療において重要な要素であり、作業療法と並行して行うことで、患者さんの病識を高め、回復への動機付けを促すことができます。これは適切な対応です。正しくは:この選択肢は既に適切です。選びやすい理由:アルコール依存症の治療には多角的なアプローチが必要であることを理解していれば、並行して行うことが適切だと判断できるため、迷うことは少ないでしょう。混同注意:他の治療プログラムとの連携の重要性について誤解している場合、適切でないと考えるかもしれませんが、実際には連携が推奨されます。
- 2. 離脱症状の有無やその期間を把握することは、患者さんの身体的・精神的な状態を理解し、作業療法のプログラムを安全かつ効果的に計画するために不可欠です。適切な対応と言えます。正しくは:この選択肢は既に適切です。選びやすい理由:離脱症状はアルコール依存症の治療において重要な要素であり、作業療法の介入を考える上で必ず考慮すべき点であるため、適切だと判断しやすいでしょう。混同注意:離脱症状への医学的対応は医師の役割であると限定的に考え、作業療法士の介入範囲外と誤解するかもしれませんが、作業療法士もその状態を把握し、活動調整に活かす必要があります。
- 3. アルコール依存症は家族全体に影響を及ぼす疾患であり、家族が健康的な生活を送れるよう支援することは、患者さん自身の回復を間接的に支えることにも繋がります。これは適切な視点です。正しくは:この選択肢は既に適切です。選びやすい理由:家族支援は精神科リハビリテーション全体において重要な側面であるため、アルコール依存症においても適切だと判断しやすいでしょう。混同注意:患者さん本人への介入が最優先だと考え、家族支援を二の次にしてしまうかもしれませんが、家族の健康が患者さんの治療環境に与える影響は大きいです。
- 4. 正解。アルコール依存症の患者さんは、自身の飲酒問題を否認する傾向が強いことが多いです。治療初期から否認に対して強く指摘したり、積極的に介入したりすることは、患者さんの抵抗を強め、治療関係を損なう可能性があります。まずはラポール形成と信頼関係の構築を優先し、患者さん自身の気づきを待つアプローチがより適切とされています。正しくは:患者さんの飲酒問題の否認に対しては、治療初期は信頼関係の構築を優先し、共感的・支持的な態度で接することが重要です。患者さん自身の気づきを促すような関わり方が求められます。選びやすい理由:飲酒問題の否認は治療の障害となるため、早く解決したいという気持ちから、積極的に介入すべきだと誤解する可能性があります。混同注意:「否認への介入は必要」という部分的な知識と、「初期からの強制的介入の不適切さ」という知識が混同されやすいです。介入のタイミングと方法が重要になります。
- 5. 回復初期の患者さんは感情的に不安定になりやすく、衝動的な言動が見られることがあります。作業療法士は、これらの言動に振り回されず、冷静かつ一貫した態度で対応することで、患者さんに安心感を与え、治療構造を維持することができます。これは適切な対応です。正しくは:この選択肢は既に適切です。選びやすい理由:回復初期の患者さんの特性を理解していれば、冷静な対応が必要だと判断できるため、迷うことは少ないでしょう。混同注意:患者さんの感情に寄り添うことと、振り回されず一貫した態度を保つことの区別がつきにくい場合、誤解する可能性がありますが、冷静な対応は患者支援の基本です。
国試ポイント
アルコール依存症患者に対する作業療法の原則、特に否認への対応のタイミングと方法が問われています。患者さんの心理状態や治療段階に応じた適切な介入方法を理解しているかが重要です。
混同注意
「否認への介入は必要」という認識と、「治療初期からの強引な介入は不適切」という原則が混同されやすいです。介入の必要性と、そのタイミング・方法が区別できるかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、精神疾患全般における「患者の抵抗や否認への初期介入の適切性」や「治療関係構築の優先順位」について着目し、特に衝動性や病識の低い疾患における対応の原則を確認する。
関連知識
アルコール依存症の病態理解(否認のメカニズム)、精神科リハビリテーションにおけるラポール形成の重要性、動機づけ面接の原則、治療段階に応じた介入の原則(準備期、行動期など)。