急性膵炎で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
急性膵炎の主要な病態は、膵臓内で消化酵素が異常に活性化し、自己消化を引き起こすことにあります。この自己消化が膵臓の炎症と壊死の根幹です。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性膵炎の最も一般的な原因はアルコール性膵炎であり、特に日本ではその傾向が顕著です。胆石も重要な原因の一つですが、全体として見るとアルコールがより多くを占めます。正しくは:最も一般的な原因はアルコールです。選びやすい理由:胆石も急性膵炎の主要な原因であるため、正しい選択肢と誤解しやすい。混同注意:急性胆嚢炎や胆管炎など、胆道系の疾患と原因を混同しやすい。また、地域や人種によって原因の割合が異なることを考慮する必要がある。
- 2. 重症急性膵炎の死亡率は1%前後よりも高く、約1割に達します。正しくは:重症の急性膵炎では、死亡率は約15〜20%です。選びやすい理由:一般的な疾患の死亡率の感覚から、5%という数字を妥当だと感じてしまう可能性がある。混同注意:急性膵炎全体の死亡率と重症急性膵炎の死亡率を混同しやすい。治療の進歩により死亡率は改善傾向にあるものの、重症例のリスクは依然として高い。
- 3. 急性膵炎では、膵臓の炎症により膵酵素(アミラーゼやリパーゼなど)が血液中に漏れ出すため、血中アミラーゼ値は著しく上昇します。正しくは:急性期には血液中のアミラーゼ値が上昇します。選びやすい理由:疾患の末期や慢性膵炎の急性増悪期など、一部の状況で酵素産生能力が低下してアミラーゼ値が上がらないケースがあるため、その知識と混同してしまう可能性がある。混同注意:他の疾患や病態での酵素値の変化と混同しやすい。特に「急性期」というキーワードに注目しないと誤解を招く。
- 4. 正解。急性膵炎の病態生理学的特徴は、何らかの原因で膵臓の内部で本来不活性な状態で分泌されるべき消化酵素(特にトリプシンなど)が prematurely に活性化され、それによって自己消化が始まることです。これが膵臓の炎症と組織破壊を引き起こします。混同注意:消化酵素が胃や十二指腸で活性化されることと、膵臓内で活性化される異常な状態を区別できない場合。
- 5. 急性膵炎による腹痛は、多くの場合、前かがみの姿勢(体幹を屈曲させる)で軽減し、体幹を伸展させると増悪する傾向があります。これは、膵臓が後腹膜に位置するため、伸展により圧迫が増すことに関係しています。正しくは:体幹を屈曲させると痛みが軽減することが多いです。選びやすい理由:一般的な腹痛では体幹の伸展で楽になることもあるため、その感覚と混同しやすい。混同注意:腰痛や筋肉痛など、他の疾患による痛みの軽減姿勢と混同しやすい。特に「伸展」と「屈曲」の解剖学的・生理学的影響を正しく理解していないと誤る。
国試ポイント
急性膵炎の病態生理、原因、診断基準、臨床症状、治療、予後に関する基本的な知識が問われています。特に、病態生理の中核である『自己消化』に関する理解が重要です。各選択肢は、原因の割合、重症度分類と予後、検査値の変化、症状の特徴といった、急性膵炎を多角的に理解しているかを測る内容になっています。
混同注意
急性膵炎の原因(アルコール、胆石)の相対的な頻度、重症度別の死亡率、血中酵素の動態、痛みの軽減体位など、類似疾患や一般的な生理現象と混同しやすい点が複数含まれています。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、診断基準(特に画像所見やその他の検査値)、治療の選択肢、合併症の種類と対応、慢性膵炎への移行に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
・急性膵炎の診断基準(上腹部痛、アミラーゼ/リパーゼ高値、画像所見) ・重症度判定基準(APACHE II、CTグレード、全身性炎症反応症候群 SIRSなど) ・主な合併症(仮性嚢胞、感染、多臓器不全) ・治療(絶飲食、輸液、鎮痛、蛋白分解酵素阻害薬) ・慢性膵炎との鑑別と関連性