疾患と支援機器の組合せで最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
関節リウマチでは手指の関節変形や疼痛により、爪切りを保持・操作する微細な動作が困難になります。台付き爪切りは、爪切り本体を固定することで、握力や指先の巧緻性への要求度を下げ、少ない力で安定して爪を切ることを可能にするため、関節リウマチ患者にとって非常に有効な自助具です。
選択肢ごとの解説
- 1. アテトーゼ型脳性麻痺では不随意運動が顕著であるため、対象物を正確に掴む必要があるリーチャーの操作は極めて困難が伴います。正しくは:不随意運動を考慮した、より操作が単純な自助具や、固定式の環境制御装置などが適切です。選びやすい理由:脳性麻痺でリーチ動作が困難になることは事実ですが、アテトーゼ型の特定の運動特性(不随意運動)が考慮されていません。混同注意:脳性麻痺全般におけるADL困難と、アテトーゼ型に特有の不随意運動による操作困難。
- 2. キーボードカバー(キーガード)は、主に不随意運動や振戦によって誤入力が生じるのを防ぐ目的で使われます。片麻痺では、片手が使えないためにタイピングが困難となることが多く、キーボードカバーは直接的な解決策にはなりません。正しくは:片麻痺の場合、片手で操作しやすい特殊キーボードや、音声入力システムなどがより適切です。選びやすい理由:片麻痺によりキーボード操作が困難になることは事実ですが、キーボードカバーの主な使用目的とは異なります。混同注意:振戦や不随意運動による入力困難と、片麻痺による片手操作困難。
- 3. 正解。関節リウマチでは、手指の関節に変形や痛みが生じやすく、爪切りを握る、指で操作するといった細かい動作が困難になります。台付き爪切りは、安定した土台に爪切りが固定されているため、少ない握力や器用さで爪を切ることができ、手指への負担を軽減し、自助具として非常に有効です。
- 4. 第2腰髄完全損傷では、体幹筋(特に腹筋群)の一部に麻痺が残りますが、高位胸髄損傷(例:T2完全損傷)では腹筋・背筋が広範囲に麻痺するため、座位保持に必要な体幹の安定性が著しく損なわれます。スライディングボードを用いた移乗には、ある程度の体幹の安定性が必要であり、T2完全損傷のような高位胸髄損傷では極めて困難です。正しくは:体幹の安定性がある程度保たれる(例:第6胸髄以下の損傷)か、体幹を支持する装具や補助具を用いる場合にスライディングボードが有効です。高位胸髄損傷の場合は、リフトなどを用いた移乗が安全で適切です。選びやすい理由:脊髄損傷患者の移乗にスライディングボードが一般的に用いられるため、損傷レベルを深く考えずに選んでしまう可能性があります。混同注意:脊髄損傷における移乗方法全般と、損傷レベルに応じた体幹機能の有無。
- 5. BFO(Balancer Forearm Orthosis)は、主に上肢の近位筋(肩や肘の周囲)の著しい筋力低下がある場合に、重力の影響を軽減して上肢のリーチ動作を補助する目的で用いられます。パーキンソン病の主な症状は、振戦、固縮、動作緩慢であり、通常は上肢近位筋の重度な筋力低下を主訴とする疾患ではないため、BFOは最も適切な支援機器とは言えません。正しくは:パーキンソン病では、振戦を軽減する加重スプーンや、動作緩慢に対応した自助具、転倒予防のための歩行補助具、または食事補助具などがより適切です。選びやすい理由:パーキンソン病でも動作困難が生じるため、何らかの上肢装具が必要だと誤解する可能性があります。混同注意:筋力低下による麻痺性疾患と、パーキンソン病に特徴的な運動症状(振戦、固縮、動作緩慢)による機能障害。
国試ポイント
国家試験では、特定の疾患の特性を理解し、その特性に合わせた適切な自助具や支援機器を選択できる知識が問われます。特に、各疾患の主症状や、支援機器の具体的な機能・使用目的を正確に把握しているかが重要です。
混同注意
疾患の一般的な症状と、特定の運動特性(不随意運動、振戦、筋力低下の部位など)によって必要とされる支援機器の違いを混同しやすいです。また、支援機器の名称と機能が一致しない場合も誤答につながりやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず疾患の主たる機能障害(筋力低下、協調運動障害、不随意運動、疼痛など)を特定し、その障害を直接的に補う、あるいは軽減する機能を持つ支援機器であるかを確認します。特に、具体的な動作(握る、リーチする、入力するなど)に対する機器の効果を考えましょう。
関連知識
各疾患の病態生理、主な症状、ADLへの影響。様々な自助具や支援機器の種類、機能、適応・禁忌。環境調整の原則。