術後せん妄への対応で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
夜間の完全な暗闇は、せん妄状態にある患者さんの不安を増強させ、見当識を失わせ、幻覚や妄想を悪化させるリスクがあります。せん妄の予防・管理においては、昼夜のリズムを整えつつも、夜間でも患者が見当識を保てる程度の薄明かり(常夜灯など)を残し、安心できる環境を提供することが重要です。他の選択肢はすべて、せん妄の予防や症状軽減に有効な非薬物的介入として推奨される適切な対応です。
選択肢ごとの解説
- 1. これはせん妄の予防・管理において適切な対応です。感覚遮断や認知機能の低下を防ぐため、眼鏡や補聴器の使用を促し、視覚・聴覚を良好に保つことは重要です。患者が周囲の状況を把握しやすくなり、不安の軽減にもつながります。
- 2. 脱水はせん妄のリスク因子の一つであるため、適切な水分補給や電解質バランスの維持はせん妄の予防・改善に不可欠です。身体的な不調の改善は精神状態の安定に直結します。
- 3. 患者さんの見当識を保つことは、不安を軽減し、現実との乖離を防ぎ、せん妄の発生を抑制したり症状を軽減したりする上で極めて重要です。繰り返し、優しく声かけをすることで、患者は安心感を得やすくなります。
- 4. 早期からの運動や離床は、身体活動性の低下による合併症(肺炎、深部静脈血栓症など)を防ぎ、昼夜のメリハリをつけることで、せん妄の予防に有効です。また、心身の機能維持にも寄与します。
- 5. 正解。夜間に病室を完全に真っ暗にすることは、患者が見当識を失いやすく、不安が増大したり、幻覚や妄想を悪化させたりする可能性があります。せん妄の患者さんにとっては、夜間でもごくわずかな常夜灯を残すなど、周囲をある程度認識できる明るさを保つことが推奨されます。これにより、患者は自分がどこにいるか、何が起こっているかを把握しやすくなります。正しくは:夜間は完全消灯ではなく、見当識を保てる程度の常夜灯を残す、あるいは患者の不安を増強させない程度の薄明かりを保つ。選びやすい理由:一般的な安眠を促すためには部屋を暗くするのが良いとされているため、患者の安眠のために完全消灯が良いと誤解しやすいです。しかし、せん妄の患者においては、暗闇が見当識を失わせ、不安や錯覚を悪化させるリスクがあるため不適切です。混同注意:通常の睡眠衛生(暗く静かな環境が望ましい)と、せん妄状態にある患者に対する特別な環境調整の必要性。
国試ポイント
この問題は、術後せん妄に対する非薬物療法、特に環境調整や基本的なケアに関する知識を問うものです。患者の見当識を維持し、不安を軽減するための具体的な介入策を理解しているかが重要となります。
混同注意
一般的に健康な人が良質な睡眠をとるための環境設定(暗く静かにする)と、せん妄状態にある患者に特化した環境調整(見当識を保つための配慮)の違いについて混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、せん妄患者の「見当識の維持」と「不安の軽減」という二つの側面から、各選択肢がどのような影響を与えるかを判断することが重要になります。特に、一般的なケアがせん妄患者には逆効果となるケース(例:夜間の完全消灯)に注意が必要です。
関連知識
せん妄の危険因子(高齢、認知症、脱水、痛み、多剤併用、感覚器障害、術後など)、非薬物的介入(見当識の確認、環境調整、家族の面会、早期離床、痛みコントロール、適切な水分・栄養補給、感染症・貧血の治療)、薬物的介入(少量・短期間の抗精神病薬の使用など、最終手段)。